校長室より

一汁一菜

一汁一菜

 一汁一菜(いちじゅういっさい)というのは、主食(白米や玄米や雑穀米)に汁物(味噌汁等)一品と菜(おかず、総菜)一品を添えた、日本における献立の構成の一つです。菜(おかず)としては、香の物(漬物類)も含まれます。つまり、唐揚げもハンバーグもなくて、ご飯と味噌汁と漬物だけということですから、若い高校生の皆さんは「えー、それだけー」と思うでしょうね。

 土井善晴(どい よしはる)さんという人がいます。この人の父親は土井勝(どい まさる)さんといって関西の家庭料理研究家で「土井勝料理学校」を作った人です。勝さんの次男の善晴さんは、大学卒業後、スイスとフランスでフランス料理を学び、帰国して日本料理を学び、料理研究家として料理番組に多数出演しています。善晴さんが書いた本のタイトルが「一汁一菜でよいという提案」です。この本は次の文で始まります。「この本は、お料理を作るのがたいへんと感じている人に読んでほしいのです」そして「一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います」と続きます。

 ご飯の炊き方、味噌汁の作り方から始まり、旬のものを食べる、器を吟味する等、当たり前と言えば当たり前のことを、一つずつ丁寧に解説していきます。ファストフードやコンビニ弁当が流行る時代ですが、カロリーの取りすぎ、肥満や生活習慣病等は「飽食」が原因の一つだと考えられています。江戸時代から続く一汁一菜を、もう一度見直してみる必要があるかもしれません。一汁一菜なんて、一歳になっても、一切知らなかったと言わないように。