校長室より

杜撰

杜撰

 さて今回は杜撰(ずさん)です。物事が大雑把でいい加減、中途半端な様子を表す言葉ですが、私はこの言葉には語源があることを知りませんでした。

 中国の宋の時代(960~1279)に実在した詩人である杜默(ともく)にあるとされています。名前の「杜(と)」と詩文を作成するという意味の「撰(さん)」が組み合わさり生まれたものです。杜默が作る詩や文章は、定型詩の形式に当てはまらないものが多く、当時いい加減と批判されました。その故事から、詩や文章など著作物において誤りが多い、ひいては、いい加減な様子を著す四字熟語として「杜默詩撰(ともく しさん)」という言葉ができ、「杜撰」という言葉が生まれたと言われています。

 杜默にすれば迷惑な話ですが、それから千年も使われている言葉として残っているということは、逆にありがたい話なのかもしれません。計画性がなかったり、詰めが甘いということで、悪い意味で用いられてきました。私たちも杜撰な仕事をしないように心がけたいものですね。杜撰なことをすれば、悲惨な予算を組むことになり、遺産や資産をなくして破産してしまうかもしれません。