西山太吉
西山太吉
西山太吉さんという、元毎日新聞社の記者だった人がいます。第二次世界大戦の終了から、沖縄の施政権はアメリカ合衆国のものとなり、アメリカ軍の基地が多数置かれ、特にベトナム戦争では沖縄の基地から爆撃機等がベトナムに向かっていました。このままではいつまでたっても、沖縄はアメリカの統治下のままです。そのころ沖縄出身の歌手、南沙織さんはパスポートを持って、日本本土に来ていました。
当時の佐藤栄作首相は、アメリカのリチャード・ニクソン大統領と1971年に沖縄返還協定を結び、72年5月15日に沖縄が日本に返還されました。その功績から、佐藤栄作首相にはノーベル平和賞が授与されました。しかし、この交渉の中では、功を焦る日本政府は
①アメリカが沖縄の基地を、これまで通り自由に使い続けること
②沖縄返還にかかる費用は日本が負担すること
③その代わり、アメリカ軍が沖縄に保管していた核兵器はすべて撤去すること
という交渉をしていました。「していました」というのは、後になってアメリカの公文書が公開されて明らかになったことで、「アメリカが沖縄の地権者に支払う土地原状復帰費用400万ドルを、日本政府がアメリカ政府に秘密裏に支払う」という密約が存在していました。ここで「西山事件」が起こります。西山太吉記者が外務省事務官からこの機密情報を聞き出し、それを当時の日本社会党国会議員に漏洩したのでした。
事務官と西山さんは逮捕され、裁判で有罪判決を受けますが、この時政府は「密約は存在しない」の1点張りでした。日本政府がウソをついていたわけですが、問題は西山さんの国家公務員法違反という罪に置き換えられてしまいました。また、アメリカの公文書公開からこの密約の存在が確認された後、西山さんは国家賠償請求訴訟を起こしますが、これも敗訴してしまいます。形としては国家に楯突いた西山さんが、嵌められたという構図です。
この時も「公文書は存在しない」と言われました。最近にも同じような事件がありましたね。また、①のように、現在でも沖縄にはアメリカ軍基地が存在し、辺野古に新しい基地を作りつつあります。②のように、費用負担で言えば「思いやり予算」という名前で継続しています。
西山さんは1931年生まれですから、現在92歳です。2022年に出版された「西山太吉 最後の告白」という集英社新書では、西山太吉さんと評論家の佐高信さんが対談をしながら、多くの出来事を振り返っています。私も大変勉強になりました。密約の存在を許すと、お金を節約して、活躍することができません。
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サンテレビ「4時!キャッチ」2020/7/15
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