校長室より

人生は目撃

人生は目撃

 ラジオを聞いていると、作詞家の秋元康さんがこのように発言していました。

 「人生とは目撃である」

 そのときに、その場にいて、実際の現場や、テレビ中継であっても、目撃することが大切だ、という話です。1958年生まれの秋元康さんは、父親に連れられて、1964年の東京オリンピックを見に行き、2021年の東京オリンピックも見ることができたと言われていました。巨人の王、長島の現役時代を知っているとか、アントニオ猪木対モハメド・アリの対戦も見たよ、ということです。美空ひばりさんが歌った「川の流れのように」という曲の作詞を担当したのは、秋元康さんが30歳のときで、「あーあー、かわのながれのよーうーにー」と歌う美空ひばりさんを見たときには鳥肌が立ったそうです。それまでは自分の肩書きを「放送作家」と名乗っていましたが、それ以降は「作詞家」としたそうです。現在でも活躍している矢沢永吉さんですが、昔組んでいたバンド「キャロル」の解散ライブを見たとも話していました。

 「色々な目撃体験をみんな大切にした方がいい。今しか見られないものを見た方がいい。自分の中で最後に残るのは記憶しかないわけだから、それはすごく大事だと思うんですよね」

 私が目撃した中で、いまでも強烈に覚えているのは、1969年のアポロ11号が月に着陸して、アームストロング船長が月に降りたときのテレビ映像です。私が8歳のときで、多分日本時間では夜中で、私自身は眠たかったはずですが、両親に起きて見なさいと言われて見ていたと思います。当時の事ですから、当然白黒テレビで、解像度も良くなかったはずですが、画像は今でも覚えています。

 生徒の皆さんも、香寺高校で行われる文化祭や合唱コンクール、体育大会等は、その年次では高校生活で1回だけのものです。その現場で頑張って競技したこと、見聞きしたことは、かけがえのない自分の経験です。これからも大事にしていきましょう。演劇を目撃したら、激痛が走るかもしれません。