校長室より

シェイクスピアはなぜ、今も上演されるのか

シェイクスピアはなぜ、今も上演されるのか

 ウィリアム・シェイクスピアはイングランドで1564年に生まれ、1616年に亡くなりましたから、16世紀末から17世紀に活躍した劇作家です。四大悲劇と呼ばれる「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」「ヴェニスの商人」など、数多くの傑作を残し、現在でもその戯曲は上演されています。当時のロンドンでは多くの演劇が上演されていましたが、シェイクスピア以外の作品は、今ではほとんど上演されません。なぜでしょうか。

 この疑問に答えているのが、劇作家、演出家で、兵庫県立・芸術文化観光専門職大学の学長である、平田オリザさんが書いた朝日新書の「名著入門 日本近代文学50選」です。この本によると、シェイクスピアの時代は、身分が固定され、自由な恋愛ができない封建社会からイギリスでは、エリザベス朝ルネッサンスと呼ばれる時代への過渡期である。ルネッサンス以降、人々は自らの努力によって、恋愛や冨や権力を獲得できるようになった。いや、なったというのは正確ではない。その可能性が生まれた。シェイクスピア劇は近代の黎明の時代に書かれた。人々は「もしかしたら、俺達って、とっても自由なんじゃない?」と考え始めた。新しい文学、新しい芸術は、こうした新しい秩序とともに生まれる。あるいは新しい秩序の完成途上に、その矛盾と向き合う形で生まれていく。その意味でシェイクスピアの戯曲は、新しさを失わない。このような内容です。

 またこの本の主題は、明治以降の日本の近代文学の歴史なのですが、明治、大正、昭和と時代が進む中で、やはり戦争の影響はとても大きいものがあったと書かれています。早く戦争のない世界を作らないと、運送や演奏ができないし、真相や人相もわからないし、連想や論争ができるように、奔走したいと思います。