校長室より

プーチンが目指すもの

プーチンが目指すもの

 ロシア軍がウクライナに侵攻して1ヶ月になります。世界中からの非難を受けながら、プーチンは何を、そして誰を目指しているのでしょうか。現在のロシアとその前のソ連、そのまた前の帝政ロシアを振り返ってみましょう。

 1人目はソビエト連邦を形作った「ヨシフ・スターリン」です。1917年のロシア革命でロマノフ王朝が倒され、ウラジミール・レーニン(プーチンと同じ「ウラジミール」というファーストネームです)率いるソビエト連邦が成立しました。1924年にレーニンが死去した後、ソ連共産党書記長として最高指導者となったのがスターリンです。スターリンはソ連という国家を作り、第二次世界大戦ではドイツ軍を撃退し、戦後は国連の常任理事国となり、多くの成果を上げたという一面もあります。しかし猜疑心が強く、数知れない多くの人々を粛清と称して処刑や投獄、追放処分を行った独裁者でもあります。現在でも否定的な存在だと思われるので、プーチンが目指す目標ではないと思われます。

 2人目は約300年続いたロマノフ王朝の皇帝「ピョートル1世」です。彼は1672年から、亡くなる1725年までツァーリの地位にあり、軍隊を整備し、他国との戦争の結果、ロシアの領土を増やすことに成功しました。当然、ロシア側からすれば「英雄」になるのでしょうが、侵略された側からすると憎き悪人ということになります。プーチンは大統領執務室にピョートル1世の肖像画を飾っていたと伝えられているので、彼が目標だと思われます。

 そうすると、軍隊を強化して「ロシアの安全のため」という理由をこじつけて、他国に攻め込む政治指導者、ピョートル1世とプーチンが重なる存在となります。本当にプーチンがピョートル1世を目指しているのなら、これはすぐに解決する戦争ではないような気がしてきます。ピョートルではなく、平和をトルにしたいものです。