非家の人
非家の人
読書をしていると、それまで自分が知らなかった言葉を発見することがあります。私にとっては「非家(ひか)」という言葉もそうでした。この言葉は「専門家ではない、素人(しろうと)である」という意味だと知りましたが、この言葉の使用例として、兼好法師の「徒然草」第187段が挙げられていました。
万(よろず)の道の人、たとひ不堪(ふかん)なりといへども、堪能(かんのう)の非家(ひか)の人に並ぶ時、必ず勝る事は、弛み(ゆるみ)なく慎しみて軽々しくせぬと、偏へ(ひとえ)に自由なるとの等しからぬなり。
芸能・所作のみにあらず、大方の振舞・心遣いも、愚かにして慎めるは、得の本なり。巧みにして欲しきままなるは、失の本なり。
それぞれの道の専門家は、専門家の中では劣っていても、素人の中で上手な人と並んだ時には、必ず勝つようになっている。これは、専門家がこれこそが自分の生きる道(天職)であると思い、その技芸・知識を慎んで訓練して軽々しく扱わないことと、素人が自由気ままに練習して上達を目指すことの違いである。
芸能や儀礼の所作だけではなくて、普段の振舞いや心づかいにしても、自分の未熟さを認めて慎むのであれば、熟達・成功の原因となる。技術が優れているからといって好き勝手にやるのは、失敗・失策の原因である。
「万の道の人」は「非家の人」に負けるはずがない。なるほど、プロゴルファーとアマチュアゴルファー、プロ将棋棋士とアマチュア将棋棋士、これは勝てそうにないですね。ではベテランの先生と初任の先生、ではどうでしょうか。ちょっと怪しい気持ちもしてしまいます。「愚かにして慎める」ことが大事です。非家の人に負けないように、イカをヌカ漬けして食べながら、丘を散歩して、坂を登り、墓参りをしましょう。
学校紹介・美術工芸部紹介
サンテレビ「4時!キャッチ」2020/7/15
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