暴君
暴君
さもなければ
完璧だったのに。大理石の堅固さ、盤石(ばんじゃく)のゆるぎなさ
万物を蔽(おお)う大気の自由さを手にできたはずだ。
ところが今や、疑惑と恐怖に押し込められ、
閉じ込められ、苦しめられる。
野望と被害妄想に取り憑かれた男のこの言葉は、ロシアのプーチン大統領のものではありません。今から400年以上前に「ウィリアム・シェイクスピア」によって書かれた戯曲「マクベス」第3幕第4場からのものです。「マクベス」は、勇猛果敢だが小心な一面もある将軍マクベスが、妻と謀って主君を暗殺し王位に就くが、内面・外面の重圧に耐えきれず錯乱して暴政を行い、貴族や王子らの復習に倒れるという物語です。
シェイクスピア研究の大家である「スティーブン・グリーンブラッド」が書いた「暴君」では、マクベスの台詞を引用しつつ、次のように書いています。
「シェイクスピア作品を通してずっとそうであるように、暴君の態度は病的なナルシシズムに傾く。ほかの連中の命などどうでもよいのだ。重要なのは、自分が『完全』で『揺るぎない』と感じられることだ。宇宙など粉々になるがいいのだ。そうマクベスは妻に語っていた。天地がひっくり返ればいいのだ」
「暴君とは、際限のない自意識、法を破り、人に痛みを与えることに喜びを感じ、強烈な支配欲を持つ人物。病的にナルシシストであり、この上なく傲慢だ。何だってやれると思い込み、自分には資格があるとグロテスクに信じている」
歴史上に名前を残した「暴君」の例として、ヒトラーやスターリンが挙げられますが、プーチンも彼らの仲間入りをするのでしょうか。また、日本も含めいろいろな国家の「指導者」たちにも、どこか当てはまることはないでしょうか。もっと言うと、企業の社長や官庁の事務次官、権力を行使できる立場にある人たちは、いつの間にかこのような傾向を持ってしまわないでしょうか。暴君は校訓をもとにして、王君の真似をすべきです。
学校紹介・美術工芸部紹介
サンテレビ「4時!キャッチ」2020/7/15
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