校長室より

言葉と人は、不思議に出会う

言葉と人は、不思議に出会う

 ミステリー作家の米澤穂信さんが、毎日新聞に書いていました。劇作家の寺山修司の作品に「ポケットに名言を」という角川文庫があり、その中にフランスの作家アルベール・カミュの「手帖」という作品からの言葉で、次のようなものが収められています。

「性格を持たないとき、人はたしかに方法を身につけなければならない」

「私(米澤さん)はこの言葉を、天才でないなら技を磨かねばならないと解釈した。書くべき内面がないならば、せめて上手くなれ。その技は、もしかしたら、ひょっとしたら、何かの「性格」に届くかもしれないと思った。言葉と人は、不思議に出会う」

 世の中には天才と呼ばれる人が、いるにはいるのでしょう。例えば将棋の藤井聡太さんは多分天才なのでしょう。しかし藤井聡太さんは自分を天才だとは思っていないのだと思います。そうすると世の中に存在する人は、私も含めて、ほぼ凡人だらけということになります。それならば、せめて「上手くなれ」「技を身につけよ」ということです。何かを求めて格闘していると、人は不思議と良い言葉に出会う、という訳です。

 3月、4月は、別れと出会いの時期です。「さよならは別れの言葉じゃなくて、再び会うまでの遠い約束」1995年、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」の冒頭の一節です。今回はいつものように(?)真面目に終了します。