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国際インターンシップ4日目各種施設の見学

8月8日(土)

国際インターンシップ4日目、行程最終日。生徒14名と教員2名はホテルをチェックアウトし、クアラルンプールとその周辺の施設を巡りました。ヒンドゥー教とイスラム教の文化、マレーシアの歴史、現地の食事や買い物に触れ、これまでの実習や大学訪問とは異なる角度から、多文化社会への理解を深める一日となりました。

この日の見学を貫く三つの学習視点

  • 宗教と共生:バトゥ洞窟と国立モスクで、異なる信仰の場と礼儀に触れる
  • 国家の仕組みと歴史:王宮と国家記念碑から、国の成り立ちと平和について考える
  • 暮らしの中の多文化性:食事と市場を通して、文化が日常に息づく様子を知る

マレーシア政府観光局は、同国の多文化性が宗教、伝統、祭り、言語、食などに表れていると紹介しています。この日の行程は、点在する観光名所を巡るだけでなく、「信仰」「国家と歴史」「日常生活」という三つの面からマレーシアを立体的に理解できるようにつながっていました。

ヒンドゥー教の聖地・バトゥ洞窟

最初に訪れたバトゥ洞窟(Batu Caves)は、約4億年前の石灰岩丘陵に形成された洞窟群で、1891年からヒンドゥー教の宗教施設として発展してきました。現在もタイプーサム祭で多くの信者が集う、マレーシアを代表するヒンドゥー教の聖地です。洞窟内のスリ・スブラマニアール・スワミ寺院は、マレーシアの「国家遺産(National Heritage)」にも指定されています。イスラム教徒が多数を占めるマレーシアで、異なる信仰が社会に根づいていることを実際の祈りの場から学べる点に、この訪問の大きな意義があります。

当日は少し曇っていたため、強い日差しが和らぎ、暑さもいくらか穏やかに感じられました。生徒たちは、カラフルな272段の階段を上るグループと、地上付近から洞窟周辺を見学するグループに分かれて行動しました。「多文化共生」という言葉を、建物だけでなく、そこを大切にする人々の営みとともに捉える機会となりました。

階段の周辺では、野生の猿がすぐ近くを行き来していました。「バナナを食べていてかわいい」と目を輝かせる生徒がいる一方、予想以上に近づく猿に思わず距離を取る教員の姿もあり、朝から笑い声が広がりました。


バトゥ洞窟前での集合写真

黄金色のムルガン神像と、洞窟へ続くカラフルな階段を背に記念撮影をしました。

階段を上った先では、天井が大きく開いた壮大な洞内と、岩肌に囲まれた寺院を見学しました。外から差し込む光、ひんやりとした空気、洞窟内に響く音など、写真だけでは分からない空間の大きさを全身で感じました。

バトゥ洞窟の内部

長い階段を上り、巨大な洞窟とその中にある寺院を見学しました。

生徒の振り返りから(読みやすさを考慮し、句読点等を整えています)

「山の上の洞窟に寺院があり、中もとてもきれいでした。」

「洞窟の上部に大きな開口部があり、とても神秘的でした。」

王宮と国家記念碑で歴史に触れる

続いて訪れた王宮(イスタナ・ネガラ)は、マレーシアの国王であるヤン・ディプルトゥアン・アゴンの公邸です。マレーシアは、議会制民主主義と立憲君主制を組み合わせた国で、国王は9州の君主の中から選ばれ、任期は5年です。王宮を実際に見ることで、日本とは異なる統治の仕組みや、王室が国のまとまりを象徴する役割を、具体的な場所と結び付けて理解することができます。

生徒たちは、正門の奥に見える宮殿や、白と金を基調とした門の装飾を眺めながら、立憲君主制についてガイドの説明を聞きました。

王宮(イスタナ・ネガラ)

王宮の正門前で、建物や門の装飾を見学しました。

国家記念碑(ナショナル・モニュメント)は、第一次・第二次世界大戦および戦後の非常事態で犠牲となった1万1千人を超える兵士たちを追悼する場所です。1975年に爆破被害を受けた後、国民からも修復のための寄付が寄せられ、現在は民族や宗教を超えた団結の象徴として受け継がれています。マレーシアの「国家遺産」にも指定され、現在の平和や国家の成り立ちが、多くの人々の経験の上にあることを考えるための重要な施設です。

生徒たちは大きな像を見上げ、ガイドの説明を聞きながら、現在のマレーシアに至るまでの歴史へ思いを巡らせました。とりわけ日本から訪れた私たちにとって、東南アジアの側から歴史を見つめ直す大切な機会にもなりました。王宮と国家記念碑を続けて訪ねることで、現在の国家の仕組みと、そこに至る歴史の双方を学ぶことができました。

国家記念碑

大きな兵士像を前に、マレーシアの歴史について学びました。

国立モスクで文化とスコールを体感

国立モスク(国立回教寺院/マスジッド・ネガラ)は、独立後の1965年に完成したマレーシアを代表するイスラム教の礼拝施設で、最大1万5千人を収容できます。マレーシア・イスラム開発局は、この施設を「マレーシアにおけるイスラムの象徴」と紹介しており、「国家遺産」にも指定されています。信仰の場であると同時に、独立後の国づくりと宗教文化を近代建築で伝える場所でもあります。午前中にヒンドゥー教の聖地とイスラム教の国立モスクをともに訪ねることで、異なる宗教の作法や建築を比較しながら、マレーシア社会の多様性を理解することができました。

国立モスク(国立回教寺院/マスジッド・ネガラ)に到着すると、空には次第に黒い雲が広がってきました。入場にあたり、女子生徒は肌や髪の露出を抑えるため、フードの付いた紫色のローブを借り、靴を脱いで中へ入りました。普段とは異なる服装や決まりを実際に体験することで、宗教施設を訪れる際に相手の文化を尊重することの大切さを学びました。

国立モスクでの集合写真

女子生徒は紫色のローブを借り、施設の決まりを守って見学しました。


紫色のローブを着用

全身を覆うローブを身に着け、イスラム文化への理解を深めました。

生徒たちがローブを着て入場する頃、ついに激しいスコールが降り始めました。雨はまるで滝のようで、開放された回廊の向こうが白くかすむほどでした。この4日間で初めて目にする南国のスコールに、生徒たちは驚きながら外の様子を見つめていました。

建物は、大きく開かれた回廊から風が通り、天井や壁面の開口部から自然光が入る構造になっています。強い雨が降る中でも、光や風と共存するように設計された空間を歩き、気候と建築の関係にも目を向けることができました。

光と風を取り入れる国立モスクの建築

採光と通風を生かした、開放感のある空間が印象的でした。

生徒の振り返りから(読みやすさを考慮し、句読点等を整えています)

「羽織物を借りて入り、礼拝する場所を見学したことは、なかなかできない経験でした。」

「文化を体験している実感が湧きました。」

「初めてスコールを見て、『こんなに降るのか』と驚きました。」

中華料理とセントラルマーケット

マレーシアの食文化には、マレー系・中華系・インド系をはじめとする多様な文化の影響が息づいています。そのため、現地で食事をすることも、国の多文化性を味覚や食卓の習慣から知る大切な学習です。午前の見学を終え、昼食は中華料理をいただきました。大きなテーブルを囲み、さまざまな料理を取り分けながら、午前中の出来事を振り返りました。たくさん歩いた後の食事に、生徒たちの表情も自然とほころびました。

昼食の中華料理

料理を取り分けながら、全員で昼食を楽しみました。

午後はセントラルマーケットを訪れました。ここは1888年に生鮮市場として始まり、現在はマレーシアの文化・芸術・工芸を発信する拠点となっています。歴史ある市場の建物を残しながら、伝統工芸と現代の商業や観光を結ぶ「生きた文化施設」へ役割を変えてきた場所です。展示を見るだけでなく、商品を選び、店員の方と言葉を交わすことで、文化が現在の暮らしや仕事の中で受け継がれていることを理解できます。

生徒たちはグループに分かれ、家族や友人へのお土産、菓子、コーヒー、ナマコ石けんなどを選びました。日本との物価や商品の違い、現金が使えない店舗があることなど、買い物を通して生活文化の違いも学びました。

セントラルマーケット前での集合写真

最終日の買い物を前に、全員で記念撮影をしました。


セントラルマーケットの館内

マレーシアらしい土産物や工芸品を見比べながら、買い物を楽しみました。

休憩中に隣り合わせた現地の方と、家族や旅行の話をした生徒もいました。相手が簡単な単語と身ぶりを使ってゆっくり話してくださったことで、会話が自然に続きました。店員の方が商品の味を一つずつ説明してくださるなど、人との距離の近さや親切さを感じる場面もありました。

生徒の振り返りから(読みやすさを考慮し、句読点等を整えています)

「中学で学んだ英語と身ぶりで会話が続きました。実際の対話だからこそ、学びの深さが違うと感じました。」

「店員の方がすべての味を丁寧に説明してくれて、とても親切だと感じました。」

「現金が使えるかどうかを、自分から尋ねるように工夫しました。」

マレー料理を囲み、帰国の途へ

夕食は、クアラルンプールでの最後の食事としてマレー料理をいただきました。昼の中華料理と夜のマレー料理を同じ一日の中で味わうことにより、一つの国の食文化を一種類にまとめることはできず、多様な文化が共存し、影響し合っていることを実感できます。香辛料の香りや日本とは異なる盛り付けを楽しみながら、大学での学び、店舗での実習、街で交わした会話など、それぞれが心に残った出来事を話しました。

最後の夕食・マレー料理

マレーシアでの経験を振り返りながら、全員で最後の食事をいただきました。

夕食後はクアラルンプール国際空港へ移動し、出国手続きへ。初日には入国審査で尋ねられる内容を動画で確認し、緊張しながら答えを練習していた生徒たちが、最終日には自分から英語で店員や現地の方に話し掛けていました。わずか数日間の中にも、一歩踏み出す勇気と確かな成長が表れています。

クアラルンプール国際空港(12_klia_departure.jpg)

たくさんの経験と思い出を胸に、帰国の途につきました。

生徒の振り返りから(読みやすさを考慮し、句読点等を整えています)

「聞き取れない部分も、言い直したり、ジェスチャーを使ったりして意思をつなげました。」

「これからは、積極的なコミュニケーションを大切にしたいです。」

「また新たな視点から、物事を考えられるようになりました。」

最終日の見学では、バトゥ洞窟と国立モスクから宗教と共生を、王宮と国家記念碑から国家の仕組みと歴史を、食事とセントラルマーケットから暮らしの中の多文化性を学びました。この国際インターンシップを通して、英語が完璧でなくても、相手をよく見て、知っている言葉や身ぶりを使い、自分から関わろうとすることの大切さを学びました。また、異なる宗教や生活習慣に触れ、自分の常識だけで判断せず、相手の背景を知り、尊重することも実感しました。この経験は、これからの学校生活や進路を考えるうえで、大きな財産になるはずです。

現地で温かく迎えてくださった大学・実習先の皆様、各施設・飲食店の皆様、移動や見学を支えてくださったガイド・関係者の皆様、そして本事業を支援してくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。