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2025年1月の記事一覧

高校生心のサポートシステム講演会 (12・16)  今年度の行事から

青年期の心の危機にどう向き合うか ~折れない心でピンチをチャンスに~

                  関西外国語大学  教授  新井 肇 先生

12月16日(月)3、4校時に、関西外国語大学教授  新井肇先生にご来校いただいて高校生心のサポートシステム講演会を実施しました。新井先生は、埼玉県の高校教員として30年間勤務された後、2006年から兵庫教育大学大学院教授としてお勤めになり、2017年より現職に就かれています。ご専門は、生徒指導論・カウンセリング心理学で、現在は、日本生徒指導学会副会長、文部科学省「いじめ防止対策協議会」座長を務められ、生徒指導提要の改訂にあたっては、「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」副座長を務めておられます。新井先生は、いじめ防止や自殺予防等を中心として、生徒指導の理論と実践を架橋する研究において日本の第一人者であり、youtube動画においても生徒指導提要の解説等をされています。

ご講演当日は、本校生徒及び職員だけでなく、他の中学校や高等学校からも多くの教員の参加がありました。

ご講演では、「危機の乗り越え」ということを基軸にして、レジリエンス、コミュニケーション力、人間関係づくりについてお話していただきました。

負荷がかかるとしなる竹のように、訪れる危機に対しての抵抗、復元、耐久、再起、回復等を意味するレジリエンス(折れない心・立ち直る心)を育てること、その中で人を信じて頼ったり、相談する力、リフレーミング(別の視点から見直す)を培うことの大切さ、さらに参考とすべき大切なこととして、生き心地のよい町の特徴は、「①異質の要素を受け入れ、多様性を尊重する ②人物の評価は多角的に長期的に行う ③自己信頼感・自己有用感を醸成できる ④緊張しすぎない、緩やかな繫がりを維持する ⑤問題を一人で抱えず、人に相談する」であること、また心理学者のクランボルツ教授の計画的偶発性理論にも言及され、この理論では、成功するキャリアを築くために、偶発する出来事を待つのではなく、自ら引き起こすべく行動することがポイントとなり、「好奇心(新しいことに興味をもつ)」「忍耐力(困難にあってもあきらめない)」「柔軟性(こだわりすぎない)」「楽観性(チャンスは必ず訪れる)」「冒険心(結果をおそれない)」の5つの行動特性を持つ人にチャンスが訪れやすく、危機に陥っても乗り越えていける・・・等についてスライド資料を用いて丁寧にゆっくりと話して頂きました。

最後は、『レジリエンス』『リフレ―ミング』『クランボルツ教授の5つの力』『人に相談する力』を培い、これからの人生の中で自分の可能性を信じて頑張ってください。いつでも、ためらわずに人に頼っていいということを皆さんに伝えたいと、お話を締めくくられました。

大変ご多用の新井先生のスケジュールの中で、貴重なご講演をいただくことができました。生徒・教員とも今後の人生の中で常に思い返したい内容が満載のご講演でした。