塔陵健児のひとりごと

2025年9月の記事一覧

宇宙人ジョーンズ、佐用高校体育大会を調査する。

この惑星の若者たちは、不思議な行動をとる。
全員で同じ方向を向き、腕を大きく振って「ラジオ体操」なる儀式を行っている。
彼らはこれを「準備運動」と呼ぶらしい。だが私には、体を伸ばすというより心をそろえる行為に見えた。

続いて始まったのは「ムカデ競争」
数人が一本の足かせでつながれ、転びながらも必死にゴールを目指す。
合理性はない。だが、そこには笑いと声援があった。

「ジャベリックスロー」という競技では、先端の丸い槍を力いっぱい投げ飛ばす。
人類は宇宙へ飛び出す時代に、まだ「どこまで飛ぶか」で歓声を上げている。
だが、その単純さがまた美しい。

「みんなでジャンプ」では長縄に挑む。
引っかかればゼロに戻るという理不尽に、何度も挑み続ける姿。
失敗してもまた跳ぶ。――人類の粘り強さの象徴だ。

午後には「綱引き」。女子も男子も声を張り上げ、土の上で一歩も譲らない。
「佐用マッスルコンテスト」なる謎の競技では、筋肉を誇示する者が出てきた。
この星では、力もまた一つの芸術らしい。

最後は「学年対抗リレー」
バトンがつながるたび、応援席の歓声は地鳴りのように響いた。
勝敗よりも、走り終えた仲間をたたえる拍手が、ここにはある。

この惑星の若者たちは、効率よりも「絆」を選ぶらしい。
その不器用さこそ、人類の強さなのだろう。

宇宙人ジョーンズ、今日も地球の未来を見た。

 

 

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