学校長ブログ

体育祭の開催について


新型コロナウイルス感染の終息が見通せないなか、今年度の体育祭では、保護者の皆さまの観覧をご遠慮いただき、無観客で実施することにつきましては、8月24日付の文書でお願いしたとおりです。

 その後、校長ポストに、ある生徒からのお願いの手紙が届きました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校行事が次々と中止に追い込まれるなか、高校生活の思い出をつくりたいという思いが便箋4枚に切々と綴られていました。そして、いろいろな情報を集め、それに基づいて、筋道立てて考え抜かれた要望が書かれていました。

 そこで、無観客での体育祭開催の決定に至る経緯について説明し、あわせて、我が子の頑張っている姿を見たいという保護者の皆さまの思いと、高校生活の思い出を形に残したいという生徒諸君の願いを少しでもかなえるために検討した結果についてお知らせします。

まず、無観客での開催ですが、我々も保護者の皆さまに観覧いただけるみちを探りました。「三密」を避けることという条件を満たすとなると、例年より生徒席を広くとって、その上、保護者の観覧席を設けるというのは、本校の狭いグランドではとても無理です。そこで、外部の広い会場を借りることにし、いくつかの会場をあたりました。神戸市の施設は市立学校や市民の団体が優先され、それ以外の団体が複数あれば、さらに抽選になります。結果は不調に終わりました。私の知る限り、神戸市の施設を借りることができた学校が1校あります。

このことについて、もう一つ私が重く受け止めたことがあります。それは、他の県立学校の対応です。社会全体で新型コロナウイルスの感染を抑え込もうとしているときに、抜け駆けは決して許されません。神戸市内はもとより、あまり感染者の出ていない地域の学校にも問い合わせましたが、例年通り保護者の観覧を受け入れる学校は、三密対策に十分な広さのグランドのある学校や外部の会場が確保できた学校に限られます。また一部に、3年生の保護者に限って観覧を受け入れる学校もありますが、先にも述べた通り、本校の環境ではそれも困難です。こうしたことを踏まえ、無観客による体育祭の開催について、改めてご理解をいただきますようお願いいたします。

次に、保護者の皆さまの思い、そして生徒諸君の願いを少しでもかなえるために何ができるか、生徒会役員の皆さんと一緒に知恵を絞った結果をお知らせします。

一つ目は、スマホによる写真撮影です。本校では、昨年度から、文化祭や体育祭でのスマホによる写真撮影を禁止しました。これは、スマホで撮影した写真がSNS上に拡散し、それがトラブルに発展してしまったという出来事に対応したものです。スマホが普及した現在、スマホの使用に関係するトラブルすべてに学校がかかわることはできませんし、またその立場にもないと考えます。しかし、それが学校の教育活動にかかわるものであれば、当然学校は責任を問われます。その責任を果たす一環としてこのようなルールを決めました。

このルール(校則)の見直しについて、生徒会で議論を重ね、検討を行いました。その結果は、近々生徒会から説明がありますので、ここでは述べませんが、生徒会が中心となって校則の見直しを実現したということは、大きな成果と受け止めています。

二つ目は、思い出の記録です。写真屋さんにお願いして、クラスの集合写真も含めて、競技や応援など、様々な場面の写真を撮っていただきます。皆さんは、ネット上で写真を閲覧し、希望の写真を注文し、購入できるようにします。

また、専門の業者に依頼し、競技や応援風景を動画におさめて、1~2時間に編集しDVDを作成することにしました。現在、予算を含めて、業者と協議を進めていますので、詳しいことが決まりましたらお知らせします。

プロのカメラマンが撮った皆さんのベストショットが高校時代のよい思い出になるとともに、それぞれのご家庭で、DVDを見ながらの会話に花が咲くことを願っています。

 

新型コロナウイルスの感染は、学校生活に様々な影響を及ぼし続けています。授業や部活動は普通に行われているのに、行事になるとなぜそんなに大げさに対応するの?と疑問に思っている人もいるでしょう。私自身、コロナ対応についてあれこれ思案していると、そんな思いにとらわれることがあります。

私はこのように考えています。感染のリスクをゼロにすることはできませんが、たとえ陽性反応者が出ても対応が可能であるという範囲を限定しながら教育活動を行っています。段階的にその範囲を広げ、現在では、授業や部活動などの日常的な教育活動はほぼ平常に戻りました。しかし未だに例年どおりには実施できない活動もあります。体育祭や文化祭、合唱祭などは、公開するという点が問題になりますし、修学旅行などでは、食事や宿泊に特に気をつかいます。何から何まで「自粛」するつもりはありませんが、新型コロナウイルス感染を抑え込むという社会的な合意に基づいて、一人ひとりが配慮と節度をもって責任ある行動をとるという信頼関係のなかで教育活動を展開していきたいと考えていますので、生徒の皆さん、そして、保護者の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

県立夢野台高等学校 

校長 北川 真一郎