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2026年2月の記事一覧

白にほどける朝、静けさの中で

大雪の次の朝。
佐用高校は、静かな白に包まれていました。

音が消えたような校舎、
ふんわりと雪をかぶった木々、
やわらかな朝の光にきらめく景色。

いつもの風景が、
少しだけゆっくりで、
少しだけやさしく見える朝でした。

寒さの中にも、
どこかぬくもりを感じるような、
そんな静かな時間。

今日も、ここから一日が始まります。

 

 

職員室前の廊下に、ぼくはいる。
言葉を持たず、名も呼ばれず、ただ静かに息をしている。

背中を向けて立つ子がいる。
体調の悪さよりも、心の冷えを抱えたまま。
ぼくは何も問わない。
ただ、ぬくもりを差し出すだけだ。

悩みを聞いてもらった帰り道、
叱られたあとの重たい足取り、
そのすべてが、ここを通る。

ぼくは慰めない。
励まさない。
導かない。

ただ、変わらぬ温度で、ここに在る。

誰かが立ち止まり、
少しだけ呼吸を整え、
また歩き出していく。

それでいい。
それだけでいい。

職員室前の廊下に置かれた、
ひとつのストーブ。
けれどそこには、
確かに、やさしさが灯っている。

三線

わたくし、生まれは南の島。
潮風育ち、名を三線(さんしん)と申します。
胴は蛇皮、糸は三本。
見た目は渋め、音色は人情派でございます。

もともとは琉球生まれ。
祝いも別れも、暮らしの真ん中で鳴らされてきた楽器です。
多くを語らず、でも胸にすっと染みる。
それが三線の持ち味。

さて今、わたくしは2年生の授業に出張中。
和楽器体験として、「海の声」を練習しております。
最初は指が届かないだの、音が出ないだの、
まあ賑やかなことこの上なし。
それでも少しずつ、音がつながってきました。

上手じゃなくていい。
揃わなくてもいい。
隣の音を聴いて、自分の音を出す。
それが三線流。

今日も教室の隅で、
そっと糸を鳴らすのを待っております。
さあ皆さん、
海の声、もう一曲いきましょうか。

そこには確かに

そこには確かに、声があった。

名前を呼ぶ声、
答えを間違えて笑う声、
眠気をごまかすための小さな咳払い。

今はもう、
床に光が落ちているだけだが、
その光の下に、
確かに時間が積もっていた。

机はない。
椅子もない。
だが、
ここで悩んだ背中があり、
ここで迷った視線があり、
ここで決心した沈黙があった。

がらんとした教室は、
空っぽではない。
思い出で満ちている。

別れは、まだ来ていない。
二十六日には、足音が戻り、
二十七日には、胸を張る姿が並ぶ。

それでもこの静けさは、
「もう同じ日は来ない」と
確かに知っている。

ここは通過点だった。
泣く場所でも、
留まる場所でもなく、
旅立つための、
ほんの一瞬の居場所だった。

それでも言おう。

そこには確かに、青春があった。
声があり、迷いがあり、
未完成のまま輝く時間があった。

そして今、
教室は何も語らず、
ただ静かに、
その証を抱いている。

 

マラソン大会

男子は8km。
女子は6km。
数字だけ見ると「まあまあじゃない?」と思うんですが、
これが走るとね、
8kmって永遠なんですよ。
6kmもね、だいたい途中で一回、人生を見つめ直します。

マラソンの起源は古代ギリシャ。
勝利を伝えるために走った兵士がいたそうですが、
今日の生徒たちも、
「なぜ走っているのか」を自分に問いかけながら進みます。

隊列を組んで走る姿は真剣そのもの。
最初は笑顔、途中から無言。
会話が消えるあたりから、本番です。

でも不思議なもので、
順位よりもタイムよりも、
最後に残るのは
「止まらずに走り切った」という事実。

ゴールした瞬間の顔が、何よりの証明です。
苦しかったはずなのに、
どこか誇らしい。

冬の寒さの中で走り抜けた8kmと6km。
これはもう、立派な物語です。

……ちなみに私は走っていません。
応援で声を出しすぎて、
一番息が上がりました。

 

地方国公立大学の魅力

 

1月30日(金)、2年生普通科文理類型を対象に講演会を実施しました。
テーマは「地方国公立大学の魅力について」
講師は、鳥取大学 教授の森川 修 先生です。

進路について考え始めたばかりの生徒から、すでに方向性を描きつつある生徒まで、2年生の今だからこそ響く内容を、分かりやすくお話しいただきました。

講義では、
・なぜ大学を目指すのか
・大学と専門学校の違い
・学費や生活費、奨学金などの現実的な話
・入試制度、面接、小論文のポイント
など、進路選択に欠かせないテーマを幅広く扱われました。

森川先生が繰り返し強調されていたのは、
**「知らないまま選ぶことが一番もったいない」**という言葉です。

地方国公立大学の強みとして、学生と教員の距離が近く、手厚い指導が受けられること、地域と結びついた学びができることなどが紹介されました。

生徒たちは資料にメモを取りながら、真剣な表情で話を聞いていました。

2年生の今は、まだ答えを出す時期ではありません。
しかし、考え始めること、知ろうとすることが、確実に次の一歩につながります。

今日の講演が、自分の将来を自分の言葉で考えるきっかけとなることを願っています。