総長・校長室より

2021年12月の記事一覧

真心つくせ 人知らずともー1年を振り返り、自覚と責任を持った行動で新年をー(中高合同全校集会)(R3.12.24)

 12月24日(金)、今年最後の登校日に、Web配信によって中高合同の全校集会を行った。

 校長挨拶では、私からは、坂本龍馬の「我がなすことは 我のみぞ知る」の言葉と、「あれを見よ みやまの桜 咲きにけり 真心尽くせ 人知らずとも」の言葉から、人が見ていようが見まいが、自分の信じる道を真心(誠意)を持って突き進めば、素晴らしい桜の花が咲くような結果になるので頑張って欲しいという思いを伝えました。新年を迎える覚悟、そして「自覚と責任」ある行動を伝えました。(概要は後に記載)

 附属中学校の生徒指導担当の下田先生と養護教諭の前川先生から、1年間で12月が交通事故や交通事故により死亡者が一番多いことから、交通事故対策の徹底を、漫才風に2人の息の合った掛け合いで伝えてもらいました。

 附属高校生徒指導担当の春名先生からは、新型コロナウイルス感染症対策、SNSの使用について、悩みを抱え込まずに相談することなどを、冬休みの過ごし方として伝えてもらいました。 

 全校集会終了後の表彰伝達では、附属高校生ののべ17人に表彰状を渡しました。 

 途中でトラブルによりWebが中断しましたが、生徒の活躍を大変うれしく思いました。生徒一人ひとりにとって、素晴らしい年が迎えられるように念じて、今年最後の登校日を終えました。

                                         校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第24回兵庫県高校生英文エッセーコンテスト 優秀賞 1年5組 谷内 隆人

 第60回全国高等学校生徒英作文コンテスト  入選  2年3組 榊 さくら

 第45回兵庫県高等学校総合文化祭放送文化部門決勝大会 テレビドラマ小部門 奨励賞 ほか14名

 

(校長挨拶の概要)

 今年も新型コロナウイルス感染症により、様々な行事が変更や縮小されました。そんな中でも、感染症対策をしながら、皆さんの頑張りをたくさん見られた1年で嬉しく思っています。

  冬休みを迎えるにあたって、今日は3つの話をします。

1 坂本龍馬の話、2 深い山奥に咲いている桜の話、3 新年を迎える決意と自覚と責任 についてです。

 坂本龍馬ですが、幕末の人物では、人気のトップになりすますが、その魅力は何なのでしょうか。龍馬は、政治の中心であった江戸から遠く離れた土佐(高知県)に生まれ、地位も学問もない若者でした。「薩長同盟」「大政奉還」「海援隊」などが思い浮かびますが、何が人の心を引き付けているのでしょうか。

 龍馬は少年時代、塾の勉強についていけませんでした。また、寝小便がやまず、友達から「泣き虫」と馬鹿にされていたといわれます。そんな龍馬は海が好きでした。土佐の桂浜に立ち、打ち寄せる白波を見つめていると心が癒されました。果てしなく広がる青い海と比べたら、人間なんて、小さな存在にすぎない。狭い陸の上で、差別され、傷つけられ、クヨクヨしていた悩みも、ちっぽけなことに思えて、モヤモヤを吹き飛ばすように、龍馬は、

 世の中の 人は何とも云えばいえ 我がなすことは 我のみぞ知る

と言っています。世間に流されず、自分のやるべきことは、自分で考えて、突き進む という意味です。

 龍馬のしようとしていたことは、歴史ある幕府に立ち向かうことであったため、強い信念が不可欠だったと思います。自分のしようとしていることに自信を持ち、堂々としている様子が人気なのだと思います。自分の進むべき道に、自信をもって取り組んで欲しいと思います。

  次に、「あれを見よ みやまの桜 咲きにけり 真心尽くせ 人知らずとも」

という、歌があります。作者はわかりません。中学生には、「夏休みのしおり」に書いたので覚えている人もあるかと思います。 みやまとは「深い山」という意味で、山の奥深くに咲いている桜は、人に見られることはありません。それを見て、あれを見ろ。奥深い人の知らない山にきれいな桜の花が咲いているぞ。誰も見ていなくても、奥深い山に咲く桜は、きれいな花を咲かせるように、人間も、他人が知らなくても、真心すなわち誠意を尽くして行動しよう。きっと素晴らしい桜の花が咲きますから。ということです。

 誰も見ていなくても、心を正して善い行いに努めれば、必ず善い結果が返ってくると歌われているのです。人が見ている時だけ、頑張るのでは、素晴らしい成果はあがりません。皆さん1人1人が、努力を惜しまず、誠意を尽くして頑張って、素晴らしい花を咲かせて欲しいと思います。今、自分が本当にすべきことなのか、やっても問題ない行動なのかの「自覚」、自分が行動していることに対して「責任」を持ってください。

 高校3年生は、いよいよ来年は新しい自分の決めた進路にはばたく時です。最後まで諦めずに頑張ってください。進路の決まった人も、まだの人を応援しつつ、今自分ができることを考えて過ごしてください。

 高校2年生は、高校の中心で本気で自分の進路を目指して頑張る年になります。3月に延期された研修旅行に行けると信じて、頑張りましょう。

 高校1年生は、それぞれのコース選択で、本格的に自分の進む路を歩み始める年になります。1年生でしか学ばない教科も、しっかり頑張ってください。先日の学年集会で皆さんにお話ししたことも、心にとめて行動をお願いします。

 中学生のみなさんは、冬休みのしおりに、「おまえは苦労がしたいのか~江州(ごうしゅう)商人の心意気~」という話を書きました。読んでくれましたか。成功は努力の結晶であり、人よりも努力すれば成果が現われるという話です。

  スマートフォンなどのSNSを使用する時間が多くて、勉強の妨げになっていませんか。無駄な時間を過ごしていませんか。SNSでの誹謗中傷やいじめなどが大きな問題になっています。何でも勝手にアップしていませんか。写真は一度、SNSにアップされたら、世界中に拡散されます。一生消えません。問題となることをアップした人を調べて、就職できなかった事例も起きています。SNSの普及で大変便利な時代になっていますが、今一度、情報モラル、情報リテラシー(情報を十分に使いこなせる能力。大量の情報の中から必要なものを収集し、分析・活用するための知識や技能のこと。)を身に付けて欲しいと思います。

  冬休みは、この1年間の行動を見直す機会にするとともに、新たな1年の目標をしっかりと決めて欲しいと思います。「一年の計は、元旦にあり」と言われます。1年間の計画、1年間の目標は、年初めの元日の朝である元旦にしっかりと、心に刻みましょう。「今年の目標は〇〇する!」「今年は、今年こそは、●●を実現する!」などなど。

 年末年始に親戚の家などに外出する人もあるかと思います。年末の大掃除を手伝うなどの親孝行をするとか、お祖父さんやお祖母さんに学校生活の様子などを伝えてください。きっと喜ばれると思います。高校3年生は、親と暮らす最後の時間になる人もあるかもしれません。

 新型コロナウイルス感染症は、現在落ち着いていますが、一昨日、大阪府で、昨日は京都府で変異ウイルス「オミクロン株」の感染経路がわからない、いわゆる市中感染の可能性が確認され、大変心配です。冬休み中も、三密対策を徹底して、マスクの着用や手指消毒など感染症対策を徹底してください。自分の生命を大切にして、健康に気を付けて、「自覚と責任」ある行動で過ごしてください。また新年にお会いしましょう。

                                 

 

「成功は努力の結晶」難を乗り越えてこそ光あり(附属中学校「冬休みのしおり」より」)(R3.12.21)

 令和3年も残りわずかとなりました。今年も、新型コロナウイルスに影響された1年が終わろうとしていますが、年末年始の貴重な時間を含めて、しっかり考えて冬休みを過ごして欲しい。

ーーーーおまえは苦労がしたいのか~江州(ごうしゅう)商人の心意気~ーーー

 昔、呉服物(和装用の織物類・衣類)をになって、いつも碓氷峠(群馬県と長野県の境にあり大変険しい峠として知られる)を歩いて越えていた二人の商人がいた。一人があるとき、さぞ疲れたように、道端の石に腰をおろす。

 「疲れたではないか、一休みしよう。この峠が、もう少し低かったら楽に越えられて、うんともうけられるのになァ。おまえ、そうは思わんか。」うらめしそうに、高い峠を見上げた。

 「オレはそうは思わない。それどころか、この峠が、もっともっと高くて、険しかったらいいと思っている。」そう答えたのは、連れの江州(近江国で今の滋賀県出身)商人である。

 先の商人は、「どうしてだ。おまえは苦労がしたいのか。おかしなやつだ。」と苦笑いした。

 「そうじゃないか。この峠が楽に越されたら、だれでも越して商売するから、あまりもうからないのだ。この峠が、もっと高くて険しければ、だれも、この峠を越えて商いをする者がいなくなる。それを越していけば、商売は大繁盛するのだ。」

 江州商人で成功した人が多いと言われる。(江州商人は、すばやく商機をつかみ、合理的で忍耐強いと言われる。)さすがに生き馬の目を抜く(すばしこく抜け目なく油断がならないことの例え)といわれる、江州商人の気迫ではないか。

 成功は努力の結晶である。楽にえられるものは、貧と恥のみである。難の難 乗り越えてこそ 光あり

 この話を聞いて、どう思うでしょうか。人間誰しも、無駄な「苦労はしたくない」と思うでしょうが、努力の結晶が「成功」となれば、努力を頑張る意味があります。

 楽して大きな結果が得られるのであれば、楽したいものですが、楽してえられるものは「貧と恥」と言われる。「貧」も「恥」も避けたいものです。

 人の行く ウラに道あり 花の山

という、言葉もあります。この言葉は、人と同じ道を歩いていれば失敗はしなくても、他の人が見られない素晴らしい「花の山」の発見はできない。人がしない苦労をして、別の道を歩んでこそ他の人が発見できない素晴らしい「花の山」を見つけることができる。という意味です。

 人よりも時間を惜しんで努力する。人よりも一歩でも半歩でも努力を忘れない。人が遊んでいても自分は目標のために頑張る。そんな気持ちが、いかに大切かと言うことです。努力が報われることになります。「難の難」を乗り越えるには、体力も精神力も忍耐も必要です。乗り越えてこそ「光あり」で、「花の山」を発見できる生徒であって欲しい。

 冬休みは、日頃から自分の行動は「努力」を惜しまずにしているか、先を考えずに身近な結果ばかり求めていないか、本当に目標を定めて全力を出し切っているか、自分の日頃の行動や、この1年間の行動を振り返る機会にして欲しいと思います。また、新しい1年の目標をしっかりと決めて欲しい。「一年の計は、元旦にあり」と言われますから、1年間の計画、1年間の目標は、新年初めの元日の朝である元旦にしっかりと、心に刻んで欲しい。

 昨年よりも一歩でも半歩でも前進し、「今年の目標は〇〇する!」「今年こそは●●を実現する!」と。コロナ渦の中で様々な行動が制限されても、皆さんは、「今しかできないこと、今だからできること」を頑張ってきたのですから。勉強だけでなく、年末年始の大掃除など、日頃はできない家族の手伝いやボランティアなども、是非やってください。しなければわからない大きな発見があるはずです。

 苦しいときも「附属中学校に入学したからこそ頑張れた」というものを持って欲しい。校訓「創進」を忘れず、感謝の気持ちを忘れず、附属中学校の皆さんが、新たな気持ちで新年をスタートし、令和3年よりも素晴らしい令和4年となるよう、心から願っています。

                                          校長 小倉 裕史

附属高校生「税に関する作文」3名入選ー安心と安全を守る税ー(R3.12.20)

 12月20日(月)、「税に関する作文」において相生税務署長から、附属高校生1年生3名が入選して、本校の総長・校長室で表彰された。本校は、先日の附属中学生5名に続いて、高校生8名表彰のうちの3名を本校生が占めた。

 附属高校1年生全員が、「私たちと税」に関する作文を書いて応募し、3名が選ばれた。

 相生税務署長賞の1年三輪 奏羽さんは、「普段の安心と安全を守るために」と題して、「スイミングスクールで突然停電になった時のことを、帰る道でも信号機が消え行きかう車が立ち往生していた時に、警察の車と救急車が来て交通整理をしてもらった」体験から、「信号機の設置に500万円、高速道路の掲示板に2000万円の高額の設置費用と維持費がかかること」や「緊急車両を見かけた経験から『緊急車両が優先』『命が一番大切』の意識の国で良かったと感じた」ことをまとめてくれている。

 また、1年兼本 祥羽さんは「犬税について考えてみた」という題で、ドイツ・オーストラリア・オランダなどにある犬税を取り上げ、日本にはない理由とともに、日本人が少しでも動物愛護というものに近づくきっかけのペット税が最適と伝えています。1年 寺元 悠渚さんは「税金で生きる」と題して、自分が熱中症で救急車で運ばれた経験から感じた救急車や相貌者がかけつけてくれるありがたさと、妊婦の健康診断や赤ちゃんの定期健診や予防接種が税金からまかなわれていることなどを取り上げ、税金によって命を救えると思うと税金を払うのは苦ではないと感じたことをまとめてくれています。

 3名の表彰者と、相生税務署長、作文指導をしてくれた地歴公民科の鳥居 柚希先生とともに写真を撮り、18歳で成人する高校生が、税金の大切さや税金の使い道を知って行動してくれることを嬉しく感じました。

                                      校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

 

 

今回の表彰者

相生税務署長賞

1年 三輪奏羽「普段の安心と安全を守るために」

相生税務署管内租税教育推進協議会長賞

1年 兼本祥羽「犬税について考えてみた」

1年 寺元悠渚「税金で生きる」

附属中学生「税に関する作文」5名入選ー税金がいきているー(R3.12.14)

 

 12月14日(火)、相生納税貯蓄組合連合会主催の「税についての作文」で、附属中学校3年生の5人と、長年指導をしてきた本校の岡山 修司先生が、相生税務署長から本校の総長・校長室で表彰を受けた。

 生徒たちは、それぞれの考えで、税金に関して作文にまとめた。

 相生税務署長賞を受賞した3年生山本 稀央さんは「平和な世界を実現するために」と題して、「学校に行きたくないと思ったことはありますか。」という問いから始まり、「しかし、学校に行くことはとても贅沢なことであり、日本の子供たちのほとんどが学校に通えている理由の一つに税金があり、税金は貧困や飢餓に苦しむ海外の人々に支援にも使われている。」という内容を書いている。最後は、「私はまだ、消費税しか払ったことがないけれど、大人になったときには、しっかりと税金を払おうと思う。そして、今よりももっと平和な世界を実現できるような人になりたい。」と結んでいる。他の4人の作文も、税金が欠かせない制度であり、感謝して生活を送ろうと、様々な観点からまとめている。

 中学生の今から、生徒たちが税金の使い道を知って、平和な世界を実現につなげれば素晴らしいと感じました。

 附属高校生も3名が入選しており、20日に表彰を受けることになっている。

                                   校長 小倉 裕史

 表彰を受けた生徒

 相生税務署長賞  3年 山本 稀央 「平和な世界を実現するために」

 西播磨県民局長賞 3年 上岡みちる 「思いやりの使い道」

 上郡町長賞    3年 官野 煕仁 「税の意味と役割」

 相生税務署管内租税教育推進協議会長賞 3年 日野 成美 「これからの税」

 相生納税協会長賞 3年 後藤 美温 「国民一人十万円配布」

兵庫県立大学へ特別推薦制度で44名合格ーおめでとう、最後までしっかりとー(R3.12.8)

 附属高校の特徴である、兵庫県立大学の特別推薦制度による入試が、11月27日(土)もしくは28日(日)に6学部で実施され、44名が合格した。

 昨年度は、特別推薦制度による合格者は29名であったが、今年度は基準を見直したことと志望者が大きく増えたことから、合格者が一気に増えた。

 それぞれの学部が指定する教科に関する内容や面接などが実施され、今日合否結果がすべてわかった。

 合格者の内訳は、国際商経学部3名、社会情報科学部1名、工学部8名、理学部4名、環境人間学部23名(うち1名は食環境)、看護学部5名の計44名である。

 私が面接練習をした生徒は、合格の報告に来て、喜びを伝えてくれた。「本当に良かったな。おめでとう。」と伝えた。現在までに、その他の国公立大学の推薦での合格者もあり、大変うれしく思っている。

 合格が決まっても、まだまだ他の頑張っている生徒もたくさんあるので、最後までしっかりと頑張って欲しい。

 難関の医学部医学科を目指したり東京大学を目指している生徒もいるが、兵庫県立大学と連携授業を行い、探究活動などを実施する本校の特色を活かして、兵庫県立大学に一番進学しやすい高校でもある。

 附属中学校よりも他の中学校からの入学者の方が多い附属高校なので、多くの中学生が高校から入学して頑張って欲しいと願っています。兵庫県立大学の特別推薦制度での合格者は、附属中学校からの一貫生が12名でしたが、その他の中学校から入学した高入生の方が32名とずっと多い。

 県立大学附属高校で、先輩に負けずに頑張りませんか。中学校3年生の皆さん、受検を待っています。

                               校長 小倉 裕史

人間とは何ぞやー自分で自分が一番わからないからこそー(附属中学校学年集会より)(R3.12.6)

 附属中学校の全校集会を実施した。11月末のアートフェスティバルでの取組や、12月3日に実施された「科学の甲子園ジュニア全国大会」や、4日に生徒会執行部を中心に17名が、西はりま特別支援学校での「0円ストア」のボランティアで頑張ったことなど称えました。

 生徒会執行部の各委員会から報告と提案をしてくれ、部活動の陸上競技部の駅伝大会や文化的活動の理数や国語、作文に関する生徒たちの活躍を表彰しました。3年生の生徒会執行部も残りわずかですが、頑張って欲しい。

(表彰の詳細は附属中学校の「生徒の活動」に詳細記載)

 全校集会の始めに、自分のことが一番わからないからこそ、人の言葉に耳を傾けて頑張って欲しいと伝えました。

今年も残り26日となりましたが、今年の1年を振り返りつつ、よい1年で終わって欲しいと願っている。

                                校長 小倉 裕史

(校長挨拶の概要) 

 エジプトの砂漠に沈黙しているスフィンクスを知っていますか。

 スフィンクスが通りかかる人間に問いかけます。「はじめは四本足で歩き、中ごろは二本足となり、終わりに三本足となる動物は何か」通りかかる旅人に問いかけ、答えられない者を食い殺したと言われます。

 これはギリシャ神話のなぞなぞです。

 「朝は四本足、昼は二本足、夕方には三本足となる動物は何か」と言われる場合もあります。

 答えは、「人間」。

 赤ちゃんの時は、四本足でハイハイして、その後二本足で歩き、老人になると、杖をついて三本足で歩きます。

つまり、人間に向かって「人間とはなんぞや」と問うているのです。

 科学も医学も、政治も経済も文学も哲学も、皆さんが学んでいることの最終的には、この問いに答えようとしていると言えると思います。誰も一人一人が、この問いに答えなくてはならないと思います。

 ある旅人(オイディプス)が正解を答えると、スフィンクスは崖から身を投げたといわれます。 

 自分のことは自分が一番知っている、と思いがちですが、「汝自身を知れ」と古代ギリシャから言われたように、もっともわからないのは自分自身だと思います。

 宇宙がわかっても、素粒子の世界が解明されても、三十億の遺伝子が解読されても、わからないのは自分自身だと思います。では、どうして本当の自分のことがわからないのでしょうか。ある話があります。

 乙姫さんが、魚たちに「この玉の色を見分けた者には褒美をあげよう」と尋ねると、黒鯛は「黒です」、鯖(さば)は「青色」、カレイは「薄茶色」と、みんな答えが違いました。「どれが本当の色ですか」と尋ねると、「玉は無色透明、みんなの色が映っただけです」と乙姫さんは笑ったと言われます。

 人間も、自分の考えや感情の色をすべて抜き取っては、何も見られないのではないか。とくに自分のことになると、欲目や色メガネを外して見ることは、不可能だと言われます。

 「ネクタイ曲がっていますよ。」と言われたら素直に直しますが、もし本当であったとしても「根性曲がっていますよ」と言われたら腹が立ちますよね。自分の心を大事にしているからこそです。

 そんな中でも、自分のことを心配したり大事に思ってくれる人の言葉に耳を傾けて、自分自身を見直して、しっかり頑張ってください。

 今年も、残り26日となりました。1月に「一年の計は元旦にあり」と今年の目標をそれぞれ決めたことと思います。みなさんにとって、目標が達成できるように残りの日を過ごすと共に、今年の1年間を見直して、来年に繋げて欲しいと思います。頑張ってください。