総長・校長室より

人間とは何ぞやー自分で自分が一番わからないからこそー(附属中学校学年集会より)(R3.12.6)

 附属中学校の全校集会を実施した。11月末のアートフェスティバルでの取組や、12月3日に実施された「科学の甲子園ジュニア全国大会」や、4日に生徒会執行部を中心に17名が、西はりま特別支援学校での「0円ストア」のボランティアで頑張ったことなど称えました。

 生徒会執行部の各委員会から報告と提案をしてくれ、部活動の陸上競技部の駅伝大会や文化的活動の理数や国語、作文に関する生徒たちの活躍を表彰しました。3年生の生徒会執行部も残りわずかですが、頑張って欲しい。

(表彰の詳細は附属中学校の「生徒の活動」に詳細記載)

 全校集会の始めに、自分のことが一番わからないからこそ、人の言葉に耳を傾けて頑張って欲しいと伝えました。

今年も残り26日となりましたが、今年の1年を振り返りつつ、よい1年で終わって欲しいと願っている。

                                校長 小倉 裕史

(校長挨拶の概要) 

 エジプトの砂漠に沈黙しているスフィンクスを知っていますか。

 スフィンクスが通りかかる人間に問いかけます。「はじめは四本足で歩き、中ごろは二本足となり、終わりに三本足となる動物は何か」通りかかる旅人に問いかけ、答えられない者を食い殺したと言われます。

 これはギリシャ神話のなぞなぞです。

 「朝は四本足、昼は二本足、夕方には三本足となる動物は何か」と言われる場合もあります。

 答えは、「人間」。

 赤ちゃんの時は、四本足でハイハイして、その後二本足で歩き、老人になると、杖をついて三本足で歩きます。

つまり、人間に向かって「人間とはなんぞや」と問うているのです。

 科学も医学も、政治も経済も文学も哲学も、皆さんが学んでいることの最終的には、この問いに答えようとしていると言えると思います。誰も一人一人が、この問いに答えなくてはならないと思います。

 ある旅人(オイディプス)が正解を答えると、スフィンクスは崖から身を投げたといわれます。 

 自分のことは自分が一番知っている、と思いがちですが、「汝自身を知れ」と古代ギリシャから言われたように、もっともわからないのは自分自身だと思います。

 宇宙がわかっても、素粒子の世界が解明されても、三十億の遺伝子が解読されても、わからないのは自分自身だと思います。では、どうして本当の自分のことがわからないのでしょうか。ある話があります。

 乙姫さんが、魚たちに「この玉の色を見分けた者には褒美をあげよう」と尋ねると、黒鯛は「黒です」、鯖(さば)は「青色」、カレイは「薄茶色」と、みんな答えが違いました。「どれが本当の色ですか」と尋ねると、「玉は無色透明、みんなの色が映っただけです」と乙姫さんは笑ったと言われます。

 人間も、自分の考えや感情の色をすべて抜き取っては、何も見られないのではないか。とくに自分のことになると、欲目や色メガネを外して見ることは、不可能だと言われます。

 「ネクタイ曲がっていますよ。」と言われたら素直に直しますが、もし本当であったとしても「根性曲がっていますよ」と言われたら腹が立ちますよね。自分の心を大事にしているからこそです。

 そんな中でも、自分のことを心配したり大事に思ってくれる人の言葉に耳を傾けて、自分自身を見直して、しっかり頑張ってください。

 今年も、残り26日となりました。1月に「一年の計は元旦にあり」と今年の目標をそれぞれ決めたことと思います。みなさんにとって、目標が達成できるように残りの日を過ごすと共に、今年の1年間を見直して、来年に繋げて欲しいと思います。頑張ってください。