塔陵健児のひとりごと
糸の記憶、年の瀬に
年末になると、学校の景色は少しだけ音を帯びはじめます。
今年も廊下に、ずらりと並んだ「こと」。木の色、糸の張り具合、静かに置かれているだけなのに、どこか凛とした存在感があります。
1年生の音楽の授業では、これから1月・2月にかけて、ことに挑戦します。
初めて触れる楽器に、最初は戸惑いながらも、糸をはじいた瞬間に広がる音に、きっと驚くことでしょう。
一音一音は控えめでも、重なれば確かな響きになる。ことの音色には、そんな日本の音楽らしい奥ゆかしさがあります。
ちなみに2年生は三線に挑戦。
こととはまた違う、南の風を感じさせる音。
学年が上がるごとに、出会う音楽の世界も少しずつ広がっていきます。
廊下に並ぶことを眺めていると、年の瀬が近づいていることを実感します。
カレンダーをめくるたび、「今年もあと少しだな」と感じるこの頃。
年内に学校へ来るのも、もう数日しかありません。
忙しかった一年、思うようにいかないこともあった一年。
それでも、こうして季節の風物詩に出会える時間が、学校にはあります。
静かな廊下に並ぶことのように、今はまだ音を出していなくても、心の中には確かに何かが積み重なっているはずです。
もうすぐ新しい年。
その前に、少し立ち止まって、この一年を振り返ってみませんか。
静かな音が、やがて確かな響きになるように。