総長・校長室より

2022年4月の記事一覧

附属中学校第16回並びに附属高等学校第29回入学式ー本校での胸を膨らませた新たなスタートをー(R4.4.8)

 4月8日(金)の午後、附属中学校第16回並びに附属高等学校第29回入学式を、中高合同で挙行しました。

 附属中学生70名、附属高校生153名の新たな門出をお祝いすることができました。コロナウイルス感染症対策の中で国歌や校歌は歌うことができませんでしたが、附属中学校、附属高等学校の校歌に込められた思いが進入生に届けば嬉しく思いました。ご参加頂きました多くの保護者の皆様、お子様の新たなスタートを見て頂き感謝いたします。本校へのご支援を6年間、または3年間よろしくお願いします。

                                         校長 小倉 裕史

【総長・校長式辞】

 うららかな春の光の中、満開の桜をはじめとする色とりどりの花が咲き誇り、春爛漫のこのよき日に、ご来賓として西播磨県民局長 渡瀬 康英 様をはじめとする地域の関係者、兵庫県立大学 副理事長 古川 直行 様をはじめとする大学関係者、中学校PTA会長 熊橋 亨 様、高等学校PTA会長 赤松 憲 様、同窓会長 岡田 慎平 様をはじめとする学校関係者の皆様にご臨席を賜り、兵庫県立大学附属中学校第16回並びに兵庫県立大学附属高等学校第29回入学式を挙行できますことに、深く感謝を申し上げます。

 ただいま入学を許可されました、附属中学校70名と附属高等学校153名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。私たち教職員はもとより、在校生も皆さんの入学を心から嬉しく思っています。合わせて、皆さんには、今日の入学まで支えてくれたご家族、お世話になった小学校や中学校の先生など、多くの方々に対する感謝の気持ちを忘れないで欲しいと思います。

 本校は、兵庫県立大学の附属学校として、また併設型中高一貫校として「科学技術における学術研究の後継者や、国際感覚豊かな創造性あふれる人材の育成」をねらいとした教育活動を展開しています。

 この体育館の右正面の額には、本校の「創造と進歩の人たれ」という創立理念を表した校訓「創進」が掲げられています。本校では、この「創進」の精神のもと「自ら考え、自ら学び、個性を伸ばす めざせ世界のパイオニア!」をテーマに生徒の自主性を尊重して教育活動を実施しています。

 本校の魅力・特色は、3つあります。1つ目は、兵庫県立大学の教員や研究者を招いたり、大学を訪問したりして行われる「中高大連携教育」、2つ目は、数学や理科を重視して観察・実験を取り入れた授業や、探究活動を行う「理数教育」、3つ目は、英語スピーチコンテストや、オーストラリア、タイなどの4か国との交流活動を行う「国際理解教育」です。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、今年度も本来の教育活動が制限されると思いますが、可能な限り今できることを、感染対策を講じながら実施していきますので、楽しんで取り組んでください。

 昨年度の附属中学校と附属高等学校の卒業生に、本校に入学して良かったかについてアンケートしました。「本校に入学して大変良かった」と「本校に入学して良かった」と回答した附属中学校の卒業生は100%で、附属高等学校の卒業生は95%でした。本校に入学して、本校で学んで良かったと思う卒業生がこれだけいることは、本校の誇りです。附属高校の卒業生の進路状況も、国公立大学後期試験の最後まで頑張ってくれた生徒も多く、国公立大学は、東京大学、神戸大学、東北大学、兵庫県立大学など卒業生の六割にあたる92人が合格してくれました。最後まで諦めずに、頑張り抜く精神も、本校で養われたことと嬉しく思っています。

 さて今、世の中は大きな変革の時期を迎え、インターネットによって全ての人とモノがつながり、AIによって必要な情報が必要な時に提供され、ロボット技術によって人の可能性が広がり、技術や社会の変革、イノベーションによって様々なニースに対応できる社会が実現するSociety 5.0と言われる時代が訪れています。

 このような時代において、①情報を正確に読み解いて対話する力 や、②科学的に思考・吟味し活用する力、③価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探究力が求められ、自ら答えを導く問題解決能力が重要になってきます。これらの力を育成するために、文部科学省が定めた学習指導要領が、中学校では昨年度から、高等学校では今年度の入学生の皆さんから改訂されました。学力は「知識・技能」の習得だけでなく、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力や人間性等」の3つの柱となり、高等学校でも観点別評価を実施します。また、一人一台端末を活用したICT教育も本格的にスタートし、ICTを効果的に活用しながら、主体的・対話的で深い学びの教育活動に取り組んでいきます。

 皆さんは、SNS等が普及し便利な情報化社会において、情報の発信や公開、利用において、他者への権利侵害を起こさない情報モラルを身につけるとともに、多くの情報から何が正しい情報かを読み解いて活用し、そして正しい情報を発信する情報リテラシーを身につけてください。

 附属中学校では、兵庫県立大学と連携して実施している探究活動のプロジェクト学習等をさらに発展させ、附属高校では、昨年度に設置したクリエイティブ サイエンス(CS)コース、ファンダメンタル サイエンス(FS)コース、2年生からのグローバル アーツ(GA)コースにおいて、探究活動や教科等横断的な学習に取り組んでいきます。皆さんは、希望を持ってチャレンジして欲しいと思います。

 世界に目を向けると、ロシアがウクライナを侵略して、多くの人が亡くなる痛ましい戦争が起っています。戦争は、絶対に許すことはできません。

 入学生の皆さんも、世界にも目を向けて、何が正しいことか判断できる力を身につけて生活してください。

 保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。お子様がこれからどのように成長していくのか、大きな期待と一抹の不安の両方を抱いておられることかと思います。

 本校では、今年度も新型コロナウイルス感染症対策を徹底するなどの安全対策を優先しつつ、保護者の皆様と連携して、教職員が一丸となって、お子様の成長を支えてまいります。これからの6年間、または3年間、本校に対するご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

 新入生の皆さん一人一人が、自らの目標を大切にし、何より楽しい充実した中学校生活、高校生活を送られることを祈念して、式辞といたします。

  令和四年四月八日

兵庫県立大学附属学校総長 武尾 正弘

兵庫県立大学附属高等学校長兼附属中学校長 小倉 裕史

 

【学長祝辞】

 桜の花が咲き誇る春爛漫の本日、兵庫県立大学附属学校に入学された、附属高等学校第29回、ならびに附属中学校第16回入学生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。この2年間、コロナ禍の中で勉強に頑張ってこられた皆さんの努力が報われ、今日の日を迎えられました。心からお祝いの言葉をお送りします。また、ここまで立派に育てられ、支えてこられましたご家族、関係者の皆様方の感慨も一入のことと拝察いたします。衷心よりお祝いを申し上げます。

 中学校に入学された皆さんは、小学校での算数が数学という少し難しい響きを持った科目名になり、英語も本格的に教わるようになるなど、学びの範囲が大きく広がります。新しい知識がドンドン増えていき、きっと勉強をするのが楽しくなっていきます。また、小学校とは違って、科目毎、授業をして下さる先生が代わります。個性の異なる色々な先生方から授業を教わるので、変化があって楽しいと思います。それぞれの先生からしっかり学んでください。

 高等学校に入学された皆さんは、附属中学校からそのまま進学された方と、新しく他の地域の中学校から入学されてきた方がおられます。昨年から入試会場を明石にも設けていますので、神戸や阪神地区からの入学生も増えています。新しく入学された方は、それぞれに勉強や部活動などに頑張ってこられたから入学を許可されました。附属学校は、校訓として、創進を掲げ、創造と進歩の人たれと謳っています。教育目標は、「自然科学を中心に社会・人文科学も広く学び、科学への関心を高める。また、国際感覚を養い、国際社会に貢献できる人間を育成する。」となっています。まさに、世界最先端の研究施設である大型放射光施設SPring-8やX線自由電子レーザSACLAなどがあり、世界各国から多くの優れた研究者が集まってくる播磨科学公園都市にある附属中学校・高等学校に相応しい教育目標となっています。

 附属中学校と高等学校に入学された皆さんは、それぞれに大きな可能性を秘めた選ばれた人達ばかりです。それだけに皆さんには大きな期待が寄せられています。新しい時代を切り拓く旗手となるべく、この恵まれた環境の中で未来を見据えてしっかり勉学に励んでください。

 兵庫県立大学は、附属学校が全国の範となるような先進的な中学校、高等学校になることを強く望んでおり、学校生活から教育面まで幅広い支援をしています。昨年は公立中学校では珍しい生活寮を整備して、数人の生徒さんに試行的に入寮していただきました。その評価が高く、今年は20人近くの生徒が入寮されると聞いております。この寮の整備により生徒募集の自由度が拡がり、兵庫県下の広い地域から入学を希望する受験生が増えました。

 附属学校の先生方は皆さん教育熱心で、色々と工夫をされた授業や校内行事で、皆さんの勉学への関心を高め、楽しく勉強することで学力が向上するよう努めています。目に見える教育成果の一つとして、「数学・理科甲子園ジュニア」での好成績が上げられます。昨年度は準優勝でしたが、一昨年度は優勝しています。

 また、大学との連携授業も活発で、例えば、本学の自然・環境科学研究所の先生方から、フィールドワーク等を通して自然の生態や環境保全の大切さ、あるいは宇宙天文科学などについて探究型「プロジェクト学習」として学び、3年生の終わりの発表会でプレゼンテーションを行い、課題探求力と成長した発表力を発揮しています。

 高等学校も生徒の皆さんが楽しく学校生活を送れるように、教育システムや校内行事、クラブ活動の指導などに様々な配慮と工夫をしています。本年度から高校の学習指導要領が改訂されましたが、附属高校では、その改訂の要旨を踏まえて、既に、昨年度入学生から新しくクリエイティブサイエンス、ファンダメンタルサイエンス、グローバルアーツの3コースを設置し、先行実施しています。グローバルアーツコースは2年生からのコースですが、生徒の適性と希望、勉学の進捗度に合わせてコース配属すると聞いています。このように常に時代の先を見て、生徒のためになる取組みを進めています。

 また、コロナ禍で多くの制約を受けながら、高校生という多感な時代の思い出を生徒の皆さんに作って貰おうと、学校内外における行事やクラブ活動も極力実施できるよう配慮しています。昨年度は、コロナ感染症の合間を縫って屋久島等への修学旅行を実施し、生徒の皆さんが大変喜んだと聞いています。多くの学校が中止や極端な縮小に追い込まれる中で、海外こそ断念せざるを得ませんでしたが、本格的な修学旅行を実施された決断には敬服しております。さらに、生活面でも生徒の自発的な活動を促し、県内の高校生を対象に実施した「令和3年度高校生アクションプログラム」無事故無違反チャレンジにおいて、兵庫県1位となり兵庫県警察本部長表彰を受けました。その前年は2位でした。

 このような心身の成長に繋がる多くの取組みを進める一方で、進学指導もしっかり行い、今回の大学入試では卒業生157名中、92名が東大、東北大、神戸大や兵庫県立大学を含めて国公立大学に合格されたそうです。また、早、慶、関学、近大など多くの私立大学や専門学校にも合格されており、殆どの卒業生が希望の道に進んでいます。生徒のことを親身になって考え、相談に乗って下さる先生ばかりで、附属高校の生徒は幸せだと思っています。

 本学へは特別推薦入試制度で44人が合格されました。まだ、定員枠が残っており、なるべく多くの附属高校生を迎え入れたいと考えています。しかし、大学では各学部に適応できる一定の学力レベルがないと卒業するのが難しくなります。入学後は、決められたカリキュラムに沿って卒業のために必要な科目の単位を揃えなければなりません。本学への入学を希望されている方は、しっかり勉学に励んで、各学部が求める力を身に付けて下さい。

 昨年実施された附属高等学校の生徒の満足度等に関するアンケート調査結果によると、「入学して良かったか」と「学校生活は楽しいか」という項目で、95%の方が「良かった」、「楽しい」と答えたそうです。また、ほとんどの寮生が「寮生活が楽しかった」と答えています。多くの生徒に楽しかった思い出があり、附属学校の魅力についても肯定的に捉えていることを知り、大変嬉しく思うと共に、附属学校の先生方の生徒を大切に思う気持ちが反映されていることを改めて強く感じ、感激しました。

 さて、皆さんが生まれてから現在まで、東日本大震災、熊本地震などの多くの地震や台風被害、集中豪雨などが発生し、加えて、現在進行形でCOVID-19パンデミックが2年以上も続くなど、度重なる大きな自然災害や感染症に見舞われています。皆さんも、自然や生命などについて考えを巡らせたことと思いますが、人智の及ばない自然の奥深さを、人間はもっと、もっと畏敬しなければなりません。

 折も折、このような時に、ロシアによるウクライナ侵攻が起こり、罪のない市民や多くの兵士が無意味に命を落としています。『この世界には、人間の命より大切なものは他に何もありません。』兵庫県立大学では、3月8日に武力行使の即時停止と平和的解決を求めてウクライナ侵攻への抗議声明を出しました。皆さんが、附属学校でしっかり勉強されて、全人類の幸せと世界の平和に貢献できる人になるべく成長されていかれることを願っています。

 最後になりましたが、大学本部は、附属学校の教育環境の整備や生徒の活動支援などに十分に配慮し、生徒の皆さんが楽しい学校生活をおくり、勉学に励み、学力の向上に繋がるようにしたいと考えています。どうか皆さん、この光の都、科学公園都市で、明るく、楽しく、未来を見据えて、活き活きとした学校生活を送ってください。最後に改めて、心からご入学のお祝いを申し上げて祝辞といたします。

  令和4年年4月8日

兵庫県立大学学長 太田 勲

 

 

 

令和4年度 中高合同の着任式・前期始業式ー満開の桜の中でのスタートー(R4.4.8)

 4月8日(金)、中高の2、3年生の生徒に対して着任式を行いました。今年度着任された、武尾正弘総長、東道恵子事務長をはじめ、中高合わせて10人の着任された先生方の紹介を行いました。高校の代表で挨拶をされた、谷口知明先生からは、本校の校訓「創進」は造語ですが、この校訓に込められた素晴らしい思いを語られました。中学校代表で挨拶された、森川ゆき子先生からは、2年前に中学校を送り出した生徒が附属高校の2年生で頑張っていることを嬉しく思うと共に、本校で新たな気持ちで頑張りたいと語られました。新着任の先生方、本校の為によろしくお願いしたいと思います、(着任者は4月1日の記事に掲載)

 その後、中高合同で、前期始業式を行い、総長式辞(後に掲載)、校長挨拶(後に掲載)を行いました。校内の満開の桜は、生徒達の進級を歓迎しているように思いました。

 部長、主任の紹介、各クラスの担任紹介発表を行って、新たな年度がスタートしました。生徒一人一人にとって、素晴らしい1年間になるように願っています。

                                         校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

【総長式辞】 附属学校総長 武尾 正弘 

 皆さん、お早うございます。学校総長の武尾です。まずは皆さん、ご進級おめでとうございます。

  私は、前総長の八重先生と同じで、姫路市書写にある兵庫県立大学大学院工学研究科の教授をしています。八重先生は金属メッキの研究者ですが、私は応用化学に所属し、環境とバイオテクノロジーを専門にしています。高大連携授業やプロジェクト学習などで皆さんに研究内容を披露する機会があればたいへん嬉しいです。

  さて、私が本校に着任する前に、本校の資料をいろいろ読みましたが、1番心に残っているのは「創進」という学校の校訓です。「創造と進歩の人たれ」ということですが、皆さんもこの言葉は耳にタコができるぐらい聞いたかと思います。

  自ら考え、自ら学び、個性を伸ばす、目指せ世界のパイオニア!とのことですが、皆さんが科学教育環境の優れた本校を選んだ時から、もうその第1歩は始まっています。

 皆さん、ソニーという会社をご存知でしょうか?プレーステーションで有名ですが、電子業界では、世界のバイオニアとして、テレビ、カメラ、ウォークマンなどの先端電子製品を世に送り出してきた会社です。

 この会社は、最近、ペーパーテストの入社試験の他に、新しい事業や新しい会社を起こす経験やプランを持った人を採用する入社枠を作りました。応募してきた学生さんにチームを作らせ、社員が協力しながら新しい事業を提案するという試験です。数ヶ月にわたり、それぞれが調査をし、アイデアを出し、それが実現しそうかどうか議論し合いながら、最終案を作り、それをプレゼンテーションします。ソニーはその中でリーダーシップを取れる人を採用し、将来、会社を引っ張っていってもらいたいのです。これは「創進」という本校の校訓をまるでテストしているみたいですよね。

 さて、私たちのところに戻って考えてみると、皆さんが経験されたプロジェクト学習とか探究の授業や実習が、実はそのような世界のパイオニアになるための第一歩なのです。本校は、兵庫県立大学という大学が身近にありますので、是非その設備や知識を存分に活用して、興味と熱意を持って探求の学習に取り組んで頂きたいと思います。きっと何か面白いことが見つかると思います。

  しかし、もし興味の湧くことが見つからなかった人は、とりあえず、学校から帰ったら、1つでも2つでも結構ですから、明日やるべきことを必ずノートなどに書いて、次の日に達成できたかどうか確認して下さい。その積み重ねが皆さんの知力・体力を培います。

  長々と喋りましたが、今日お話ししたことを要約すると、世界のバイオニアになるために、まず探求の授業や課題に頑張って取り組んで下さいということと、それから小さな目標でも結構ですから、目標をたてて日々それを確認しながら過ごして下さいということです。

  最後になりますが、コロナ感染症の第6波が十分に収束せず、へたをすると第7波がやってくる可能性もあります。このように勉強やスポーツなどの活動を始めるには素晴らしい気候になってきましたが、どうぞ附属学校生の自覚をもって注意しながら新しい生活をスタートして下さい。 

 これをもって、始業式の式辞といたします。 

 

【校長挨拶】 校長 小倉 裕史

 いよいよ令和4年度が始まりました。

 年度末には皆さんに4月8日に元気な姿を見せてください、とお願いしましたが、附属中学校と附属高等学校の間にある青空コートにある桜が満開で、皆さんの進級を心待ちにしていたかのように思います。

 3月の終わりの終業式で、皆さんには、禅宗のとんちで有名な一休が書いたともいわれる歌の話をしました。覚えていますか?

 『年毎に 咲くや吉野の 山桜 木を割りて見よ 花の在りかを』

 これは、春になると、桜の名所で有名な奈良県の吉野山に、山一面に桜の花が咲きます。桜の花の素はどこにあるかと、木を割ってみても、どこにも花びらのかけらすら、みあたりません。冬には枯れ木のように立っている桜の木も、春という陽気が来れば、素晴らしい花を咲かせるのです。桜の花を咲かせる力を蓄えていたからです。

 本校の桜の木も今が見頃です。

 人も同じで、目に見えなくても、日々の種まきが力として蓄えられるので、この春休みは「種まき」に徹してくれた人もあると思います。新年度をスタートするにあたり、目標を持って地道に種まきを続けてください。すぐに結果がでなくても、それは貯金していると信じて種をまきましょう。

 徳川家康が慶長11年(1606年)に、江戸城の増築工事を、諸大名に命じた時の話をします。大名は、労力と費用を無償で提供しなければならず、自分に割り当てられた部分がいかに早く終わるかが、経費の負担をおおきく左右しました。工事は、桜田から日比谷にかけての石垣づくりで、熊本城主の加藤清正と、若山城主の浅野幸長(よしなが)に命じられました。

 加藤家では、建設現場に沼が多いことを確かめると、大量のカヤを運んで沼に投げ込んで、さらに土をかぶせて平坦なグランドができると、多くの子供を呼んできて何日も遊ばせました。

 一方の浅野家では、沼を埋め立てたら、すぐに石を積み始めて、工事は順調に進みました。石垣が半分できあがるころになっても、加藤家の場所には石が運ばれず、「もっと真面目にやれ1」と浅野家の家臣が加藤家に言ったようです。加藤家の現場は、子供たちに踏み固められて、地盤を確かめてからようやく石垣を築きはじめて、完成したのは浅野家よりもずっとあとになりました。

 しばらくして、江戸をすさまじい暴風雨の台風が襲いました。大雨で地盤が緩み、浅野家の築いた石垣は何か所も崩れ落ちました。慌てず、急がず、じっくり基礎を固めてから築いた加藤家の石垣には、少しも損傷がなかったようです。基礎をおろそかにした浅野家は、修復工事に莫大な経費がかったようで、この教訓は江戸時代を通して、長く語り継がれたようです。

 皆さんも、新しいクラスで仲間づくりをして、新しい担任のもとで、時間がかかってもじっくり基礎を固めて、勉強にも部活動にも取り組んでください。

 民法が改正されて、高校3年生の皆さんは、誕生日(正確には誕生日の前日)がくれば成人となります。進路を決める大切な年ですから、新成人としてしっかり目標を持って頑張ってください。

 まだまだ新型コロナウイス感染症の影響があり、再拡大が心配されています。「学校に持ち込まない、学校内に広げない」を基本に、マスクの着用や、食事中の黙食、換気の徹底、大声を出さない、登下校中のバスや電車内で話をしないなど、今一度、気持ちを引き締めて、自覚と責任のある行動をお願いします。 

 

令和4年度新着任者ー新年度の始まりー(R4.4.1)

 4月1日(金)、令和4年度がスタートした。昨年度末で転出された教職員と入れ替わり、武尾正弘総長、東道恵子事務長をはじめ、附属高等学校及び附属中学校に新たな先生方が12人着任されました。

 兵庫県公立大学法人理事長からの辞令を武尾総長から、兵庫県教育委員会からの辞令を校長から手渡しました。

 教職員が一致団結して、素晴らしい学校になるように頑張ってきたいと思います。

 附属中学校と附属高等学校の校舎の間に咲いている桜も、まだ五分咲きくらいですが、8日の入学式までに満開になって新入生を迎えてくれることと思います。

                                          校長 小倉 裕史

令和4年度新規着任者

武尾 正弘 総長(県立大学大学院工学研究科)、東道 恵子 事務長(県立赤穂特別支援学校)、谷口 知明 先生(県立姫路東高等学校)、高濱 良枝 先生(県立太子高等学校)、荒木 敦士 先生(県立豊岡高等学校)、辻 芙夕希 先生(県立夢前高等学校)、田中 亜弥 先生(県立神崎高等学校)、森川 ゆき子 先生(姫路市立網干中学校)、榎本 成貴 先生(姫路市立白鷺小中学校)、秦 美香 先生(宍粟市立都多小学校)、西川 正浩 先生、小塚 竜渡先生

 

 

八重真治総長ご退任ー退任のご挨拶ー(R4.3.31)

退任のご挨拶

 兵庫県立大学附属高等学校・附属中学校のホームページを訪問くださり、誠にありがとうございます。
 また、平素は、両校の教育にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、本日、附属学校総長を退任し、今後は大学院工学研究科教授の職務に専念いたします。従来の附属高等学校長兼附属中学校長から名称変更された初代の附属学校総長として、2年間、同じく従来の副校長から名称変更された校長ならびに学校教職員と共にコロナ禍の下での学校運営に携わってまいりました。就任当初は、新型コロナウィルス感染症が早々に収まり通常の生活に戻れるものと期待いたしておりましたが、変異ウィルスの出現により現在まで蔓延が繰り返されております。両校でも学校行事や国際交流をはじめとした教育活動に様々な変更や制約がありました。さらに、令和4年に入り、ロシア連邦によるウクライナへの侵攻というとんでもないことが始まり、多くの命が失われています。兵庫県立大学からの声明にもあります通り、心が痛むとともに、一日も早い和平の訪れを念じずにはおられません。また、1.17と3.11に合わせて慰霊と防災について全校で話をした矢先に東北地方で大きな地震が起こりました。平和と安全があってこその学校教育であり、学校運営では生徒の皆さんの安全と健康が最優先です。
 附属高校では、令和元年度に始まった「県立大学附属学校改革プログラム」に従って、令和3年度の新入生(28回生)より新しいコース制を開始いたしました。生徒一人一人の学習志向・志望進路・学習進度・習熟度に応じて、CSとFSの2コース5クラスを編成しました。2年生に進級する来年度には、GAを加えた3コースとなり、新コース制の骨格が出来上がります。各コースともに「創進」を掲げる本校らしい充実した教育を実践いたします。また、昨年から光都の校舎に加えて県立大学明石看護キャンパスでも高校入試を行い、県東部の受検者の利便性向上を図っております。一方、附属中学校では、改修した黎明寮への試行的入寮を昨年から行い、希望する在校生が楽しく充実した生活を送りました。これにより、来年度の入寮希望者約20名を円滑に迎えることができます。黎明寮には学習室が新設され、寮居住の県立大理学部学生を中心とする講師陣によるアフタースクールゼミを開始しました。高校教員と情報交換しながら生徒の個性に合わせた指導を行っており、学習塾にはできない大きな教育効果をあげております。加えて、ふるさと納税制度を利用した兵庫県立大学附属中学校・高等学校応援基金を創設し、保護者をはじめとする多くの方々から150万円を超えるご寄附をいただき、ポスター発表用のボードや図書、部活動用品など学校活動の充実に活用いたしました。皆様に、厚く御礼申し上げます。
 両校では、「豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成」するとの兵庫県立大学の基本目標のもと、「科学技術における学術研究の後継者や、国際感覚豊かな創造性あふれる人材の育成」をねらいとした教育を展開いたしております。学校としての充実した設備と教職員はもとより、県立大学との連携、さらに播磨科学公園都市に立地という優れた教育研究環境に恵まれております。生徒の皆さんには、「創進」の校訓にある通り、本校でさまざまな分野に挑戦して、自ら道を切り拓くたくましさと、人類と地球に思いを致す豊かな心を養っていただきたいと願っています。そのためには、生徒自身の努力はもちろんですが、学校と大学、それぞれの教職員、保護者、地域社会をはじめとする関係者すべての協力が必要です。
 在任中のご支援に厚く御礼申し上げますとともに、今後の両校への変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げ、退任のご挨拶といたします。

 令和4年3月31日

                兵庫県立大学
                附属学校総長 八重 真治

令和3年度末のお別れー本校の為にお世話になりましたー(R4.3.31)

 3月31日(木)、令和3年度末の人事異動で、八重真治総長、尾崎隆博事務長をはじめ多くの教職員が、退任、退職、異動となりました。

 八重総長と、尾崎事務長は、2年間本校に勤務頂き、多くの改革にご尽力を頂きました。

 勤務時間の終了時に、中学校及び高等学校の教職員一同から花束をお渡しし、お見送りをしました。

 また、附属高等学校の小林ひとみ先生も、定年退職となりご挨拶を頂きました。

 先生方の本校に対する熱い思いを、残された教職員が受け継ぎ、令和4年度はさらに、附属中学校と附属高等学校が素晴らしい学校になるように、頑張っていきたいと思います。

 今年度に、お世話になりました方々に、心から感謝申し上げます。

                                          校長 小倉 裕史