令和2年度 1学期スタートの会

皆さん、あらためまして、この4月から、本校の校長に就任しました、川崎芳徳(かわさき よしのり)と申します。どうぞよろしくお願いします。

令和2年度、第1学期のスタートにあたり、一言、ごあいさつを述べさせていただきます。

さて、新型コロナウイルス感染拡大防止にともなう休校、そして、緊急事態宣言が発令され、様々な活動が制限されている今日(こんにち)、皆さんは、どのような日々を過ごされていましたでしょうか。

先日、ようやく「学校再開」のニュースが流れたかと思えば、再び、5月6日まで臨時休校となり、なかなか、通常どおりの教育活動を展開することはできない、非常に悲しい状況が続いています。

ただ、皆さんの、そして、ご家族をはじめとする皆さんにとって大切な方々の「命」に関わる事態でありますので、どうか、ご理解いただくとともに、それに沿った行動も心がけていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

 

今日は、年度初めですので、「旅人の話」という短いお話を聞いてください・・・

 

ある町がありました。一人の旅人がその町にやってきました。

町の入口の門のところに一人の老人が立っていました。

 旅人は老人に聞きます。

「おじいさん、この町はどんな町?」

  すると、逆におじいさんは旅人に聞きます。

「あなたが、いままでいた町はどんな町でしたか?」

  旅人は答えました。

「いやあ、前にいた町は嫌な人ばかりで、ろくな町じゃなかったよ」

  おじいさんは旅人に言います。

「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

 

また別の日に、違う旅人が来ました。

旅人が老人に聞きます。

「おじいさん、この町はいったいどんな町ですか?」

 逆に、おじいさんは旅人に聞きます。

「あなたが、これまでいた町はどんな町でしたか?」

 旅人は答えました。

「私がこれまでにいた町は、すばらしい町で、人々は親切で、あんなによい町はありませんでした」

「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

  と答える。

 

さあ、皆さん、どんな感想を持たれましたか。これは、“心の持ち方”“考え方”が、いかに大切かを考えさせられるお話です。

周囲の人に対し、置かれている環境に対し、自らを振り返ることなく、常に不平不満を口にし、取り組まなければならないことをおろそかにする人、逆に、周囲の人、置かれた今の環境に「感謝」の心を持ち、うまくいかない時は自らを反省しながら、取り組まなければならないことを誠実に継続する人

・・・この違いを高校3年間続けると、歩む人生に大きな差が生じます。
 
新年度は、新しいクラスです。「前のクラス、どんなクラスだった?」こんなやりとりがあるかもしれません。いつも、皆が楽しく過ごせ、活気ある素晴らしいクラスにするよう努めている人は、「いい友達ばかりで素晴らしいクラスだった。だから、新しいクラスもいいクラスにしよう!きっといいクラスにできるよ!」と答えるのではないでしょうか。その逆は・・・「最低のクラスだった。嫌なやつばっかりだった・・・」こんな感じでしょうか・・・この人は、1年後にも同じように、「前のクラスは最低で・・・」と語るのではないでしょうか。

 

皆さん、人間関係は財産です。とりわけ、高校時代の「友」は、生涯の「友」となります。同じ時代に同じこの国で、同じ須磨友が丘高校で出会う確率は、まさに奇跡的な確率であり、この深い「ご縁」を大切に、一人でも多くの生涯の「友」をつくってください。

 

 それでは、一日も早く、平常の教育活動が展開され、充実した第1学期となりますことを祈念し、あいさつとします。

 皆さん、決して、油断せず、どうか健康にだけは気をつけた日々を過ごしてください。

 
令和2年4月8日
    
兵庫県立須磨友が丘高等学校校長 川崎 芳徳