「進路のしおり 2020年度版」巻頭言

「人生の目的」に向かって
                        兵庫県立須磨友が丘高等学校
                        校 長   川 崎 芳 徳

  

唐突(とうとつ)ですが・・・皆さん、どのような路(みち)を進んでいきますか?

これを考える時、まず、押さえておきたいこと・・・それは、「人生の目的」とは何かということです。

さて、私たちは、いったい何を「目的」に人生を歩んでいくのでしょうか?

そもそも、「目的」とは何でしょうか? 「目標」とは違うのでしょうか・・・・・

「目的」と「目標」は、まったく違います。「目的」は、最終的に到達したい「的(まと)」であり、「目標」は、そこに到達するための、途中の「標(しるべ)」なのです・・・道標(みちしるべ)と考えればわかりやすいですね。

そこで、「人生の目的」ですが・・・私は、こう考えています。

「人生の目的は、幸いにも両親からいただけた『命』に深く感謝し、この『命』が尽きるまで『魂』を磨き自らを高め、たとえ少しでも、世のため人のために役立つよう努めていくこと」、これこそが「人生の目的」だと考えています。

これは、人間の真の喜び・・・「自分自身が、世のため人のために役立っていると実感できた時の深い喜び」に合致しているとも考えています。

私自身も、この「目的」のための歩みを続けている道半ばです。これまで、途中の「目標(道標)」も通過できず、落胆したことが多々あります。しかし、何とか「目的」に迫っていこうと、逆境に出合った時には、「自らを高める『修養』の機会」ととらえ、日々を過ごしているところです。

 

この「人生の目的」に向かっていくことにおいて、高校卒業後にどのような路に進んでいくかは重要です。私を含め学校の先生は、教育界に身を投じ、それを生涯の生業(なりわい)とし、「人生の目的」に向かっているということなのです。

皆さん、どのような路を進んでいきますか!?

本当に進みたい路はどの路ですか!? 幸いにもこの世に生を受け、たった一度の大切な人生を歩む中、どの路で「人生の目的」に迫っていくか・・・熟考せず、安易に、目先だけが快適そうな路を選択してはいけません。

かつて、「百年に一度の頭脳」とも評された、幸田露伴(こうだ ろはん:1867年~1947年、日本の小説家)の「努力論」に次のような内容が書かれてあります。

「運命の移り変わる法則は運命のみが知っている。ただ、運命と人力の関係は我々にも知ることができる。注意深い観察者となって世の中を見渡すと最良の教訓を得ることができる。失敗者を見、成功者を見、幸運な人と不幸な人を見比べよう。いったい誰がどんな綱(つな)をつかんで幸運を引き出しているか、また誰がどんな綱を手にして悪運を引き寄せているか。幸運を引き出した綱を握っている手のひらには血が滴(したた)っており、悪運を引き寄せた綱を持つ手のひらが、やさしく柔らかい滑らかなものであることに気がつくだろう。つまり、幸運を引き出す人は常に自分を責め、手のひらから血を流し、痛さに耐えながら運の綱を引き動かして、ついに大きな幸運の神を招き寄せるのである」と。

 

さあ、皆さん! 「人生の目的」を果たすべく路を、自らとしっかり向き合い対話し決定してください。そして、決定したなら、その後は、さまざまな道において、成功に求められる「究極の能力」と言われる「GRIT(グリット)=やり抜く力」を発揮し、粘り強く大切な「命」を、「人生の目的」に向かい「運」び進めてください! これが、あなたの「運命」となります。