酸・塩基の濃度調節

酸・塩基の濃度調節

試薬名

市販試薬
(ラベルを参照)

モル濃度
mol / L

調製法 簡易体積比
濃:水

塩酸
HCl

濃塩酸 = 36.46
約36%
密度1.18 g / cm3

約12mol / L 刺激臭  
6mol / L 濃塩酸1に水を加えて全量を2倍の体積にする 1:1
1mol / L 濃塩酸1に水を加えて全量を12倍の体積にする 1:11

硝酸
HNO3

濃硝酸 = 63.01
約61%
密度1.38 g / cm3

約13mol / L    
6mol / L 濃硝酸1に水を加えて全量を2.2倍の体積にする 1:1.2
1mol / L 濃硝酸1に水を加えて全量を13倍の体積にする 1:12

硫酸
H2SO4

濃硫酸 = 98.08
約97%
密度1.84 g / cm3

約18mol / L 希釈時に発熱大(必ず水に硫酸)  
6mol / L 濃硫酸1に水を加えて全量を3倍の体積にする 1:2
3mol / L 濃硫酸1に水を加えて全量を6倍の体積にする 1:5
1mol / L 濃硫酸1に水を加えて全量を18倍の体積にする 1:17

酢酸
CH3COOH

氷酢酸
約99.5%
密度1.05 g / cm3

約18mol / L 氷点16.7℃ 冬場、長期保存で凍ることがある  
6mol / L 氷酢酸1に水を加えて全量を3倍の体積にする 1:2
3mol / L 氷酢酸1に水を加えて全量を6倍の体積にする 1:5
1mol / L 氷酢酸1に水を加えて全量を18倍の体積にする 1:17

アンモニア水
NH4OH

濃アンモニア水
約28%
密度0.9 g / cm3

約15mol / L 刺激臭  
6mol / L 濃アンモニウム1に水を加えて全量を2.5倍の体積にする 1:1.5
1mol / L 濃アンモニウム1に水を加えて全量を15倍の体積にする 1:14

水酸化ナトリウム
NaOH

個体 = 分子量40
密度2.13 g / cm3

  潮解性(保存時シリコンゴム栓使用)  
6mol / L 水酸化ナトリウム24gを水に溶かし100mLにする  
1mol / L 水酸化ナトリウム4gを水に溶かし100mLにする  

※簡易体積比 使用上の注意

 水に原液を加えると体積が減り、厳密にいうと正しい濃度ではない。特に硫酸では体積が大きく減る。しかし、高校の実験で厳密な濃度を要求されるのは、中和滴定等の定量実験に限られるので、定性実験にはこの方法で調整しても差し支えない場合が多い。

指示薬

試薬 調製方法 備考
フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエタノール80mLに溶かし、水を加えて100mLにする。 強酸と強塩基・弱酸と強塩基の中和滴定の際の指示薬
メチルオレンジ溶液 メチルオレンジ0.1gを温水100mLに溶かし、冷えてからろ過して使う。 強酸と強塩基・強酸と弱塩基の中和滴定の際の指示薬
BTB(ブロムチモールブルー)溶液 BTB 0.1gをエタノール20mLに溶かし、水を加えて100mLにする。 酸塩基の指示薬
リトマス液

リトマス粉末1gを温水50mLに溶かし、上澄み液を静かに取り、これに水を加えて100mLにする。

赤紫をおびている時は、微量のアンモニア水を入れると青色になる。赤色の液にする場合は、微量の塩酸を加える。

酸塩基の指示薬

万能指示薬
(ユニバーサルインジケーター)

チモールブルー 5mg、メチルレッド 12.5mg、ブロムチモールブルー 50mg、フェノールフタレイン 100mgをエタノール100mLに溶かし、0.05mol / L水酸化ナトリウム液を加えて緑色にし、さらに純粋を加えて200mLにする。 酸塩基の指示薬

検出試薬

試薬 調製 備考

ヨウ素ヨウ化カリウム溶液(ヨウ素溶液)

ヨウ化カリウム 1gとヨウ素 0.6gを水500mLに溶かし、褐色ビンに入れて冷暗所に保存する。 デンプンや還元剤の検出
ヨウ化カリウムデンプン溶液

デンプン 0.1gに水 10mLを加えて、よくかき混ぜながら煮沸する(A)。ヨウ化カリウム 0.1gを水 10mLに溶かした液(B)を、(A)の液に加えてかき混ぜる。

塩素・過酸化水素・オゾンなどの検出
フェーリング溶液

A液:硫酸銅の結晶 7gを水に溶かして100mLの液を作る。
B液:酒石酸ナトリウムカリウムの結晶 35gと水酸化ナトリウム 10gを取り、水に溶かして 100mLの液を作る。

使用する直前にA,B両方を同体積ずつ混ぜる。

還元性の有機化合物の検出
ネスラー試薬

ヨウ化カリウム 5.0gを水 10mLに溶かし、塩化水銀(Ⅱ)2.5gを水 40mLに溶かした液を少しずつ加えながらかき混ぜる(1)。溶けきれなくなったら、水酸化カリウム 15gを水 30mLに溶かした液を(1)の液に加える。さらに水を加えて100mLになるようにして静置し、上澄み液を使う。

アンモニウムイオンの検出

使用後は、水銀化合物を含むので回収

シッフの試薬 フクシン 0.2gを温水 120mLに溶かした液に、無水亜硫酸ナトリウム 2gを水 20mLに溶かした液を加えて、さらに塩酸 2mLと水を加えて全体を 200mLにする。 アルデヒド(紫)・臭素(青紫)・炭水化物(赤)の検出

染色液・その他の試薬

薬品 調製方法 備考
ワラップ ワセリン 2 : ラノリン 2 : パラフィン 1 の割合に混合して溶かす。 永久プレパラートの作成
サフラニン塩酸液

サフラニン 0.25gをエタノール 10mLに溶かす(A)。
(A)を水で5倍に薄め、1mol / L塩酸と 1 : 1 の割合で混ぜる。
褐色ビンに入れて保存する。

 

核・仁・染色体などの染色

酢酸オルセイン溶液

酢酸カーミン溶液

氷酢酸 45mLに 1gのオルセインを加えて還流しながら湯せん加熱し、よく振り交ぜて溶かす。加熱の際、酢酸が揮発しすぎないように図のようにして還流する。
冷却後、水を加えて全体を100mLにして、よく混ぜてろ過をする。
酢酸カーミン溶液の場合も同様にして作るが、1%鉄ミョウバンを数滴加えると染色状態が向上する。

核・染色体・組織の染色
酢酸ダーリア溶液 30~45%酢酸 100mLにダーリア(ホフマン紫)を0.5~0.75g溶かす。使用直前にろ過したものを使用する。 核の染色
メチレンブルー溶液 メチレンブルー 0.1gをエタノール 30mLに溶かし、水 100mLを加えてよく混ぜる。 核・骨・筋肉組織の染色
フクシン亜硫酸液

塩基性フクシン粉末 1gを熱湯 200mLに放置冷却しながら溶かす。50℃に冷えたらろ過し、1mol / L塩酸 20mLを加える。さらに25℃まで冷えたら無水亜硫酸ナトリウム 2gを加え、よく振る。冷蔵庫に一晩保存し、透明な淡黄色なら良いが、赤色が脱色していなければ、もう 1gを追加してよく振り冷蔵庫に保存する。

(もし赤色が消えない場合は、活性炭粉末を少量加えて振りろ過する。冷蔵していても1ヶ月経過した場合は作り変えたほうが良い。)

DNAの染色
ファーマー液

アルコール 3 : 酢酸 1 を使用直前に混合する。

体細胞分裂・花粉母細胞・昆虫の染色体・発生材料の固定
カルノア液

アルコール 6 : クロロホルム 3 : 氷酢酸 1 を使用直前に混合する。

ブアン液

ピクリン酸飽和溶液 15 : ホルマリン 5 : 氷酢酸 1を混合する。
固定後は50%アルコールで十分に洗浄する。

動物細胞・花粉や胚のう母細胞・胚の固定