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校長室より

令和5年度1学期始業式(令和5年4月10日) 式辞(要旨)

皆さん、おはようございます。 山根前校長先生の後任として、着任しました上出 正彦と申します。どうぞよろしくお願いします。本校は今年で創立100周年を迎えます。歴史と伝統の重みを感じながらの着任となりました。

 さて、いよいよ令和5年度の始まりです。日も長くなり、すっかり春めいてきました。新型コロナ感染症もそろそろ出口が見えてきました。みなさん春休みはどうでしたか。部活、勉強、友人との遊びなどがあったのではないかと思いますが、何よりも元気に始業式に来ていることが一番です。新しいクラスとなり、これまでとは違う環境の中での学校生活が始まります。

新年度のスタートにあたって一つお話をします。それは、イソップ物語にある一節「旅人の話」です。

 
ある町がありました。 一人の旅人がその町にやってきました。

町の入り口の門のところに一人の老人が座っていました。

旅人は聞きます。「この町はどんな町?」

おじいさんは聞きます。「あなたが今までいた町はどんな町でしたか?」

旅人は答えます。「いやあ、前にいた町は嫌な人ばかりでろくな町じゃなかったよ」

それを聞いたおじいさんは答えます。「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

また別の日に旅人が来ます。「おじいさん、この町はいったいどんな町ですか?」

おじいさんは聞きます。「あなたが今までいた町はどんな町でしたか?」

旅人は、「私が今までいた町は、すばらしい町で、人々は親切で、あんなにいい町はありませんでした」

おじいさんは答えます。「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

 

先に訪れた旅人には、ろくでもない町、次に訪れた旅人には、いい町とおじいさんは答えますが、2人の旅人が訪れた町は同じ町です。皆さんはこの物語から何を感じますか。

 

この物語が伝えたいことは、環境というものは「その人の心が決める」ということです。“心の持ち方” “考え方”が、いかに大切かを考えさせられるお話です。

つまり、その人がいつも周りに対して、感謝しているか。それとも、いつも不平・不満を言っているかということです。同じ環境でもあなたがどう考えるかによって、楽しく充実した日々を送るか、苦痛の中での日々となるかということです。・・・この違いを高校3年間続けると、歩む人生に大きな差が生まれてきます。

環境は人の心がつくります。皆さん、協力して仲良く、楽しいクラス、楽しい学校にしていきましょう。皆さんひとりひとりに秘められた素晴らしい能力は、誠実にそして楽しみながら取り組む中で、大きく開花します。抑圧やいがみ合いの環境下では、大きな成長は期待できません。

 

相手の気持ちを理解してこそ、自分の為すべきことが見えてきます。社会マナーやルールは、「思いやり」の精神をもつことで十分に守れるはずです。他人を思いやり、親切な行動をとれば、光が鏡に反射するように、自分にもどってくるものです。自分を大切に、他者を大切にして互いに高めあっていきましょう。

以上、令和5年度 第1学期 始業式の「式辞」とします。

令和5年4月10日

兵庫県立高砂高等学校長  上出 正彦

 

PDFは、こちらから。

  ↓

令和5年度1学期始業式式辞要旨(高砂高校).pdf

 

新校長 上出正彦が着任いたしました。

令和5年度の人事異動で、本校校長に、上出正彦(かみで  まさひこ)が着任しました。

 

ごあいさつ 

 令和5年4月、兵庫県立高砂高等学校長に着任しました上出正彦(かみで まさひこ)と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。兵庫県内有数の伝統を誇る高砂高校にご縁をいただけたことは大変光栄であり、大きな喜びを感じると同時に、本校に寄せられる生徒、保護者、同窓生、地域からの期待の大きさに身の引き締まる思いです。

 本校は、大正12年に地域の方々の期待に応えて創立されました。それから約1世紀にわたり「敬愛・勤勉・奉仕」の校訓のもと、文武両道を実践し、明るく活気に満ちた校風と、地域に愛される学校づくりをすすめ、多くの有為な卒業生を世に送り出してきました。

 さて、社会が目まぐるしく変化し、複雑で予測困難な時代を迎えている今、教育に求められていることは多岐にわたります。教育においては、どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)と、社会の変化を受け止め、「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)があります。生徒たちが、将来、自己実現を図りながら、変化の激しいこれからの社会をたくましく生きていく資質や能力を育むためには、これら「不易」と「流行」を見極めつつ教育を推し進めていく必要があります。また、新型コロナウイルス感染症の流行により、教育活動も一部制限を余儀なくされてきましたが、制限の緩和により、活発な展開が期待されます。

 本校は本年度創立100周年という大きな節目の時期を迎えます。教職員一同、決意を新たにして、校訓「敬愛・勤勉・奉仕」の精神の涵養に努め、生涯を通し主体的に学ぶ意欲や態度・能力を身に着け、人と社会に貢献できる、こころ豊かで自立する人づくりを進めてまいります。

 保護者や地域の皆様方の一層のご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

令和5年4月

兵庫県立高砂高等学校 第30代校長 上出 正彦

令和2年度3学期終業式式辞

 式辞

 みなさん、おはようございます。月日のたつのは早いもので、今日が令和2年度の終業式となりました。1年間、命に関わるような事故が無く、このように終業式が迎えられますことをうれしく思います。 
 新型コロナウイルスの影響でいろいろなことが大きく変わった一年でした。これまで当たり前にできてきたことの有難さを本当に実感させられました。発生から一年が経過してもまだまだ予断を許さない状況です。マスクや手洗い、ソーシャルディスタンスなど、これからも十分に対策を取っていかなければなりません。
 今日は終業式ですので、この1年間を振り返り、反省すべきは反省をし、自分を褒めるべきところは褒めて、自信にして欲しいと思います。
 昭和を代表する作家の一人に吉川英治がいます。
 昭和37年に亡くなった吉川英治さんは、「宮本武蔵」「新・平家物語」「三国志」など今も多くの人たちに愛読されているすばらしい作品をたくさん残した有名な作家です。この吉川さんは小学校しか出ていません。父親が事業に失敗し貧乏のどん底に落ちてしまったため、小学校も途中でやめ、働かざるを得ませんでした。それからは、造船所の職人、行商人など、たくさんの職業を次々と変えながら、自力で勉強と修行を続け、ついに自分の進むべき道を見つけ出し、小説家となりました。
 この吉川英治さんが生き方の指針としていたことが「われ以外皆我教師」という考え方です。「自分以外は、すべてが自分の先生である」「どんな人でも、山も河も、草も木も鳥も虫も、およそこの世にあるすべてから学ぶのだ」こう考えて生きていったのです。
世の中にあるものはすべて自分の先生であると言うと、世の中には悪い人間もいる、常に人を騙して自分の利を得ようとする者、人のものを盗む者など、そういう人間も自分の先生になるのか、こんな疑問が湧いてくると思います。吉川さんはおそらく、そういう人もやはり自分の先生だと考えたのではないかと思います。そのような「反面教師」、つまり逆の意味の先生からも、こうなってはいけない、それは人間として間違っている、ダメということを身をもって教えてくれる先生だと吉川さんは受け止め、学ぶべきところを吸収していったのではないでしょうか。
 「朝の来ない夜はない」 彼が残した言葉で私が最も大事にしているものです。父親が事業に失敗した後、とても辛い時期がありました。しかしそれを乗り越えて振り返ってみたときが、人生の中で一番愉快なときであったと言っています。そして次の波がきたときも、この言葉を胸に次もきっと乗り越えてみせると自分に言い聞かせたそうです。この言葉からも、まさに逆転の発想をもって、苦境に立った時でも、そこから何かをつかみ取って、生きていくことの糧を得ようとする意気込みが感じられます。
 校内の桜が咲き始めました。まさに君たちを応援してくれています。1年生は2年生に、学校の中心になります。2年生は3年生に、最高学年として学校の顔になります。「朝の来ない夜はない、そして朝はいつも新しい」 君たちの前途に幸あれと祈念して、式辞とします。