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卒業生(28回生)の巣立ちを見送って

雲一つない晴天に恵まれ、春の足音を感じる佳き日、第28回卒業証書授与式が晴れやかに挙行され、28回生193名は胸を張って、誇らしい姿で会場を後にしました。

本日ご多用の中ご臨席を賜ったご来賓の皆さま、誠にありがとうございました。

今日の卒業の日まで、お子様を支え励ましてこられた保護者の皆様には、お子様にとって大切な3年間を三田西陵高等学校に託していただき、これまで本校の教育活動にご支援・ご協力を賜りましたこと、心から感謝し、お祝いを申し上げます。

創立30周年の歴史の中で、8.020名の卒業生がそれぞれの場所でご活躍されています。

”翔陵会”の皆さま、本日、巣立った193名の”翔陵会”ニューフェースをどうぞよろしくお願いいたします。

 

(式 辞)

 コロナ禍のまっただ中に入学した28回生の皆さんは、入学したときからマスク生活で、お友達の表情も読み取りにくく不安なスタートだったのではないでしょうか。 

 日々の授業における数々の制約や学校行事の縮小、お友達と楽しく歓談したい昼食も黙食を強いられ、2年生のときは長寿命化工事による喧噪と、決して順風満帆とはいえない3年間の高校生活であったと思います。

 学校としてもこの想定外の事態の中で、皆さんの支援のために様々な対応をし、ときには厳しいお願いをしなければならないこともありました。しかし、皆さんは様々な制約の中で、知恵を出し合い、仲間とともに過ごしてくれましたね。

 西陵祭、文化の部、体育の部などの行事や部活動で見せてくれた一生懸命に取り組む姿、そして、創立30周年という大きな節目に最高学年として堂々と式典に臨む姿、28回生1人1人が輝く瞬間(とき)は、2年生、1年生にとっての憧れとなりました。この3年間は、平穏なときでは成しえない貴重な経験になったと信じています。

 ところで、皆さんは「アントレプレナーシップ」という言葉を聞いたことがありますか?

 日本語では「起業家精神」、「起業家活動」と訳されます。

 「起業家」と聞くと自分には関係ないと思った人もいるかもしれません。

 この言葉は、起業しようとする人に限らず、すべての人に求められる課題解決に向けた考え方やマインドであり行動様式を意味しています。

 つまり、この4月に本校のグランドデザインとして皆さんに示した「夢の実現力」に必要な考え方やマインド、行動様式であり、これからあなたが人生を切り拓いていくために必要な言葉だともいえます。

 それは、「アントレプレナーシップ」の本質が「どんな未来を自分の手でつくり出したいか」にあるからです。

 その、「アントレプレナーシップ」には3つの要素があるのだそうです。

 一つに、課題に対して前向きに向き合う『姿勢』です。

 「~だからできない」「現状はこうだから仕方ないよね」というできない理由を探すのではなく、「課題を解決するために、自分に何ができるだろうか?」と向き合い、できることに目を向けるということです。

  二つに、自分のもっているリソースにとらわれない『思考』です。

 自分には知識やスキル、経験が「ないからできない」とあきらめるのではなく、それなら新しい知識を学んでみよう、スキルをもつ人と組んでみよう、「こうやったらできるんじゃないか?」と様々な手段を模索してみるということです。

  三つに、失敗を前提に行動し、失敗から生み出す『学び』です。

 これまでの教育は、間違わないこと、失敗しないことが求められてきましたが、「アントレプレナーシップ」では失敗することこそが学びです。失敗を恐れず、いろんな方法でやってみて、うまくいかなければ、「どうしたらできるか?」、また違う方法でトライしてみるということです。 

 それでも、失敗すればくじけるし、上手くいかないと投げ出したくなるものです。

 そんなとき、私は玉置浩二さんの「しあわせのランプ」の歌い出し、「幸せになるために、生まれてきたんだから」のフレーズを口ずさんでみることにしています。 

 人は困難なことに向き合うと、つい複雑に考えすぎてこんがらがるものです。

  人生はシンプルです

 こんがらがった時こそ、シンプルに幸せになるためにどうすればよいか?と考えてみてください。そのとき、

 ① 課題に対して前向きに向き合う『姿勢』

 ② 自分のもっているリソースにとらわれない『思考』

 ③ 失敗を前提に行動し、失敗から生み出す『学び』

この3つが、あなたが、そして周りの人々が幸せなになるためのきっかけとなってくれるはずです。

 ここで、RADWIMPSが歌う「正解 - 18FES ver.」の最後の一節を紹介します。

 あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ だけど明日からは

 僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ また逢う日まで

 次の空欄に当てはまる言葉を

 書き入れなさい ここでの最後の問い 

 「君のいない 明日からの日々を

 僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□□」

 制限時間は あなたのこれからの人生

 解答用紙は あなたのこれからの人生

 答え合わせの 時に私はもういない

 だから 採点基準は あなたのこれからの人生

 「よーい、はじめ」

 歌詞では「君のいない 明日からの日々を 僕は/私は きっと」のあとに回答欄が続いています。

 さて、あなたはどんな答えを書くのでしょうか?

 今、この学び舎を巣立ち、『正解』のない世界に踏み出していくあなたへ、私から最後のメッセージを贈ります。

 『一歩踏み出した瞬間に未知は道となる』

 「未知」つまりまだ知らないことにはあこがれや期待とともに不安も伴います。しかし勇気を出して一歩を踏み出せば、「未知」は「道」となって未来につながります。これからの新しい人生、いろいろ思い悩むこともあるでしょう。困難に立ちすくむこともあるかもしれません。そんなとき、校長が「まず一歩を踏み出してみよう」と言っていたなと思い出してください。

 THIS IS YOUR LIFE  これは あなたの 人生です

 さあ、あなたが幸せになるための『正解』を探していってください。

 “西陵生しか勝たん” あなたのこれからの人生に幸あれ!!

 

 令和5年2月28日

 兵庫県立三田西陵高等学校

 校長 切原 賀子