〔本部事務局〕
兵庫県立小野高等学校
〒675-1375 兵庫県小野市西本町518番地
Tel:0794-63-2007 Fax:0794-63-2008
E-mail:kagakubukai@hyogo-c.ed.jp
基本的な洗浄
1.水洗い
〇洗浄の基本は水洗いである。汚れたものは一刻も早く水につけ洗う。これで汚れが落ちなければ次の段階へ進む。
〇水洗し、ガラス器具などが水を弾くようなら、磨き粉(クレンザー)をブラシまたは指先に少々つけて擦るときれいになる。ただし、ガラス壁に傷をつけることもあるので、ビュレットやメスシリンダーなどの計量器具、分光器のセルなどには使用しないようにする。
〇水または湯(50~60℃)に洗浄液を溶かし、その中に短時間または2~3日つけておき、ブラシやタワシで擦る。
〇洗浄液は種々市販されているが、家庭用洗剤から超音波洗浄器用、植物性洗剤など汚れや用途に応じて使用する。
〇上記の方法で取れない硬いものの付着は、水につけながら、ブラシの柄・割り箸の角などで擦る。
〇仕上げに湯又は純水ですすぐと水あかが残りにくい。
2.付着物を溶かす
〇酸を少量加えて溶かし、あと水洗いする。付着物にもよるが、酸でダメならアルカリを試みる。
〇付着している種類によって、有機溶剤などを使用する。
3.超音波洗浄機を利用する
汚れに応じた洗浄方法
汚れの種類 | 洗浄方法 |
アニリン | 合成洗剤につけておく 塩酸で溶かす |
硫黄 | そのまま乾燥させておくと時間の経過とともに少々の振動を与えることで固まりのまま取り出せる。取れない場合は濃い目の水酸化ナトリウム(6 mol /L)を汚れの部分が浸るまで入れ、しばらく浸しておく。 注)硫黄の実験に使用した試験管は、硫黄実験用として再度利用することができる。 |
過マンガン酸カリウム | 硫酸+過酸化水素水で溶かす。または塩酸で溶かす。衣服についたときは、薄いシュウ酸をつけた後に過酸化水素水をつけて落とす。 |
フェノールフタレイン | エタノールで溶かす |
銀鏡反応の銀 | 硝酸で溶かす。濃度はその汚れの程度で調節。硝酸を入れしばらくつけておく。 |
シリコングリース | 紙で拭き取り、洗浄液で洗った後、エーテルにつける。エーテルは白く濁るまで使用可能。空き瓶などを利用して一時保存する。使用の際は火気厳禁。また、麻酔性があるので蒸気を吸い込まないよう注意する。 |
ワセリン | 中性洗剤で落ちる。水酸化ナトリウムにつけるとよく落ちる。 |
水酸化カルシウムと塩化カルシウムの混合物(アンモニアの発生) | 加熱した試験管の汚れは取れないので、アンモニア発生用として壊れるまで使う。 |
石灰水による炭酸カルシウム | 塩酸で溶かす。 |
鉄の化合物 | 塩酸で溶かす。濃度はその汚れの程度で調節。落ちにくいときはしばらくつけておく。 |
ナフタレン パラジクロルベンゼン |
多量のナフタレンは他の利用を考える。少し付着したものは、お湯を使うと取れやすい。固体にして廃棄物として処理する。 |
フェ-リング反応の銅 | 硝酸で溶かす。 |
フェノール樹脂 | 水酸化ナトリウムに浸して溶かす |
ヨウ素 | ヨウ化カリウムに溶かし、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液として保存し、実験に利用する。 エタノールに溶かし、ヨウ素アルコール液として保存し、実験に利用する。 |
器具別の洗浄方法
試験管 | ・試験管すみずみブラシ(図a)を自作して使用するとよい。 | (図a) |
ピペット | ・ピペット洗浄器が便利 ・落ちにくい汚れはピペット用の細いブラシを使用する。 ・先端には、血沈ブラシ、歯間ブラシやピペット先端ブラシ(図b自作)を使用する。 ・生徒実験終了時に、ピペットを水につける。(例:右図) |
|
フラスコ | ・大きめのブラシを使用し、ブラシの柄をフラスコの口から入る程度に曲げて内壁を洗う。 ・汚れがひどいときは、洗浄液に1日つけておく。 |
|
乳鉢 | ・色素分離で使った乳鉢はエタノール、台所用漂白剤できれいになる。 | |
スライドガラス | ・洗剤で洗い,充分水洗する。 ・染色液を落とすためには台所用漂白剤の薄め液やエタノールにしばらく浸し,充分水洗いする。 ・乾燥はかごを利用するとよい。(乾燥の項参照) |
|
カバーガラス |
・染色液の付着で落ちにくいときはアルコールに浸すと溶けやすくなる。 |
(実践例) 1.ヒカリエースの水溶液に使用済みのカバーグラスを浸しておく。 |
ビュレット |
・活栓に付けたグリース・ワセリンはエーテルで取るか、中性洗剤入りぬるま湯で取れる。 |
|
キューネ発酵管 |
・超音波洗浄機を利用すると便利。 |
|
ツンベルグ管 |
・活栓に付けたグリース、ワセリンはエーテルで取るか、中性洗剤を入れて沸騰させると取れる。 |