〔本部事務局〕
兵庫県立小野高等学校
〒675-1375 兵庫県小野市西本町518番地
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以下の報告は、1995年7月に作製したものです。
はじめに
「関東大震災」という言葉は以前から目や耳にし、最近の報道などからも関東 に大地震が起こるらしいと誰しも思っていたところです。我々兵庫県に在住する 者にとっても遠いよそのことと捉えていた人が多いのではないでしょうか。
なのに平成7年1月17日午前5時46分、震度7の激震が阪神・淡路地方を 襲いました。ビル、家屋、高速道路の崩壊、そして5500余名の尊い命が奪わ れ、自然の猛威に成すすべもありませんでした。我々が勤務する学校も多くの被 害が出ました。現在も復旧作業に追われながらの授業状況があることと思われま す。
そこで震災現場の状況やその生の声、そして復旧作業について私達理科実習助 手の立場から一度整理してみてはどうだろうか。そして今後のために工夫できる ような事が一つでも見つかればという声が上がり、この度アンケートをお願いし たところ、計32校からご回答を頂きました。
すさまじい現状をご報告頂き、改めて地震のものすごさを思いました。もっと 多くの高校にお願いできれば良かったのにと残念に思っています。
時間の関係で学校数に限りがありましたことをお許し頂きたいと思います。こ のアンケートのまとめが今後の理科における震災対策に少しでも活かされたらと 願っております。
平成7年7月12日
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(備品その1)
【備品について】
立入禁止(取り壊しまたは修理)の学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
多数のため列記不可
(4件) |
学校の機能が完全に停止し、授業に使用可能な校舎がなかった
現在もすべて立入禁止状態 備品については現在設備復旧の国庫負担工事費にて見積もり中 薬品をかぶって使用不能(*1) 落下して使用不能 転倒または落下し、ガラス・プラスチック部分多数破損 転倒せずガラスを破って出た備品類多数 部品などが散乱状態 戸棚が倒れ中の物が破損(*2) 外見上は異常ないが修理不能の物がある |
(*1)当日使用予定あるいは常時使用するので実験台、机上等に設置していた また戸棚に入らない大きな物は戸棚の上に置いてあった (*2)戸棚が倒れるとは思っていなかった 今後は固定をし、前面に桟でもして転落防止を考えたい |
保管庫類
本棚・戸棚・薬品庫etc. (8件) |
ガラス器具ほとんど破損 天井までの戸棚が倒れる スチールがゆがんで使用不能 ガラス破損、使用可 開閉出来ず使用不能 使用不能 一部破損 |
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実験机 | 使用可能なもののみ業者の運び出しで仮設教室に設置 | |
ビデオデッキ |
落下破損(窓際台の上)(*3) |
(*3)昨年秋、校舎の修復工事に伴い実験室準備室は大幅に改修された そのとき備品類を整理し、棚に保管してあったのが意外と破損の少なかった理由と思われる |
重クロム混液 ピペット洗浄器 |
外側はそのまま柱についていたが中身が全部こぼれて、内槽とピペットが外に飛び出て薬液が散乱、2階から1階にこぼれおちた(準備室柱にくくりつけ) |
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純水製造装置 |
使用不能 |
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ドラフトチャンバー |
使用不能(化学準備室) |
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直示天秤 |
使用不能(スチール棚) |
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自動上皿天秤 |
使用不能(実験台上) |
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レーザー装置 |
使用不能(ガラス戸棚) |
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気柱共鳴装置 |
使用不能 |
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水平すだれ式波動実験器
波動説明器 |
落下のため全体にゆがむ 修理不能 (スチール棚)(ロッカー上) 落下のため上部か絡まる 修理不能 |
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衝突球 |
落下のため糸切れ 修理不可(ロッカー上) |
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顕微鏡 |
ロッカーごと倒れる |
(*4)BOXごとロッカーに入れるベきだが最近はBOXに入って売られていない |
生物液浸標本 |
ほとんど破損 将棋倒し(ガラス戸棚) |
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天体望遠鏡 |
使用不能 新品と交換(観測室) |
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岩石切断研磨機 |
使用不能 新品と交換(実験台上) |
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水銀気圧計 |
使用不能 新品と交換(壁面) |
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気圧計 |
表面のガラスが針のところにあたっている |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(備品その2)
【備品について】
修理を要する学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
保管庫類 本棚・戸棚・薬品庫・顕微鏡収納庫etc. (15件) |
使用不能 修理可 ガラス部分破損 戸棚が倒れ、試薬や薬品の一部が床に落ち散乱 (*1) 前倒れになりガラス戸が壊れて使用不能(*2) 化学室、生物室、物理室いずれのロッカーも2段に重ねていたもので、上段が落ちたり落ちそうになっていた 《化学》鍵が壊れただけで薬品被害無し 《生物》《物理》使用可 ガラス戸が壊れたが使用可(*3) 2段重ねの上部が転倒 《スチール製ロッカー》倒れたため使用不能(*4) |
(*1)壁に据えつけの戸棚は中の物だけが移動 準備室中央に背合わせで置いた木製戸棚(南北方向向きの物)が倒れた (*2)南北に設置(背合わせ) (*3)ロッカーは積み重ねにすると上が落ちる場合があるので良くない また下のほうには重い物を入れると倒れにくい 顕微鏡は箱入り(中止付き)で保管庫に収納していたので被害なし (*4)中の顕微鏡はすべて使用可 |
テレビ | 落下し破損、使用不能(窓際台の上) | |
純水製造装置 (5件) |
落下し使用不能(台の上に設置) | |
電子天秤 直示天秤 自動上皿天秤 上皿天秤 (8件) |
修理可能な電子天秤以外はほとんど使用不能(実験室教卓)(準備室)(戸棚の中) | |
ベックマン分子量測定器 |
ガラス部品が破損のため使用不能 | |
電気分解装置 |
1台使用不能 | |
pH計 |
落下したものはすべて点検に出す | |
デュア氏瓶 |
内部が粉々 | |
定温乾燥器 | 落下し使用不能 | |
卓上ドラフト | 落下し使用不能 | |
電源装置 (2件) |
ほとんど使用不能(ガラス戸棚) | |
電流計 電圧計 (3件) |
一部破損(2段ガラス戸棚上段) 修理可能なものは修理にだす(〃) |
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水平すだれ式波動実験器 (3件) |
中央部破損(床上) 一部破損(机上) 使用不能(3階準備室戸棚上) |
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気柱共鳴装置 (2件) |
2台使用不能(準備室床上) ガラス部破損(床上) |
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はく検電器 (2件) |
はくがはがれた(ガラス戸棚上段) 使用不能 |
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誘導コイル |
使用不能(*5) | (*5)収納してあったガラスと棚ごと倒れ、ガラスが割れて破損。壁にもたれかけないでしきり代わりに準備室の真ん中に置いてある棚が倒れている |
電磁力実験台 |
修理可 | |
ミクロトーム |
使用不能 | |
ブラウン管オシロスコープ |
落下のため破損 収納庫が転倒したため実験器具(オシロスコープ、シンクロスコープ、低周波発振器、線スペクトル光源、誘導コイル)が棚の中で転倒し破損していた それ自体に変化はなくても精密機器などは精度が悪くなっていた 断線していたものもあった |
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顕微鏡 |
破損使用不能(準備室、実験室ロッカー) 落ちてピントが合わなくなった |
(*6)鍵のかかった顕微鏡ロッカーの鍵を引きちぎって戸が開いた(設置の方向によって戸が開いたものと大丈夫だったものがある) |
生物液浸標本 |
倒れて破損(準備室戸棚)(教室戸棚) 倒れて一部破損 液がこぼれる 修理不能 ガラス容器が壊れ、ホルマリンが散乱 標本も散乱(東西の陳列棚、戸なし) 使用不能多数(3階) 転倒しほとんど破損(4階実験室、作り付け戸棚) |
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DNAモデル |
一部破損 | |
キモグラフ |
ホルマリンに浸かってしまった(2階実験室) | |
絶縁台 |
修理可 | |
岩石切断機 |
使用不能(台の上) | |
天球儀 |
全部粉々(机の上) | |
岩石標本 |
バラバラでどうしようもない(4階準備室) | |
科学写真投影機 |
使用不能(ロッカーの中施錠) |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(備品その3)
【備品について】
被害の少ない・ない学校 | ||
品目 | 被害の状況 |
備考 |
保管庫etc |
ガラス戸棚など少し位置がずれていた | |
天体望遠鏡 |
天体望遠鏡が動き、極軸がくるった |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(消耗品その1)
【実験用具など消耗品について】
立入禁止(取り壊しまたは修理)の学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
ガラス器具 | ガラス器具の50%程が破損 | |
ビーカー メスシリンダー フラスコ ピペット ビュレツト 瓶類 キューネ発酵管 その他 |
引き戸は、はずれて落下 (ガラス戸棚、一部施錠)(*1) 戸棚ごと転倒、施錠に関係なく全部粉々(天井までの戸棚)(*2) 破損、上段の戸棚倒れる (上下二段のガラス戸棚)(*3) 一部破損(ガラス戸棚施錠なし)(*4) 一部破損(ガラス戸棚) 七割方転落破損(開き戸の施錠なし)(*5) ロッカーごと床に倒れて破損(ロッカー) 洗浄後、乾燥中のものが多く破損。戸棚に入っていたものは大部分助かる(*6) 二段戸棚上部転倒、粉々になったもの多数 (スチール上下ガラス引き戸) 実験台上、乾燥中のもの全部粉々(*7) 0.5%の破損(ガラス引き戸)(*8) |
(*1)箱に入れていたものは無事 (*2)余分なガラス器具は棚に並べない (*3)ビーカー等は、かごまたはトレイに入れて収納したほうがよい 転倒防止金具を取り付けたい (*4)戸があいて前面の器具は落下 (*5)箱に整理して「桟」のある戸棚に入れた方がよい (*6)ビュレットは1本ずつ箱に入れて戸棚に保管、ピペット類は引き出し、ビーカー、瓶類は戸棚に収納 (*7)実験継続中、当日使用予定のもの、乾燥中のもの、洗浄未処理のものなど (*8)種類別にかごに入れて収納していた 途中まであいた戸にかごがかかって落下をまぬがれる |
実験小物 |
液体をかぶっていなくて無事 |
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薬包紙 ろ紙 ピンセット その他 |
(実験台の引き出し) 戸がはずれて一部外にでて散乱(*9) (木製引き戸棚、プラスチック引き出し) |
(*9)箱・ポリ袋等に入れて収納、汚れ破損は少ない |
パーツ類 | 棚転倒するも無事(スチール小引き出し) 小引き出しが工作台上で移動するにとどまる(プラスチック小引き出し) |
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水槽 | 使用中でないものは落下全部破損 (戸棚の上) |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(消耗品その2)
【実験用具など消耗品について】
修理を要する学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
ガラス器具 | 破損、全部粉々(ロッカー、施錠なし) | |
ビーカー メスシリンダー フラスコ ピペット ビュレツト 瓶類 キューネ発酵管 その他 |
一部破損(ガラス戸棚に収納) 戸棚の中で転倒、あけるときに落下破損(ガラス戸棚) ぶつかったり落下したりで破損 (つくりつけの戸棚、引き戸) 戸棚ごと転倒、全部破損(スチール戸棚) 一部破損(引き出し、実験台の下)(*1) 全部粉々(ガラス戸棚) 落下、転倒、ぶつかりあいで破損(*2) (二段重ねの戸棚) 棚の中で破損(*3) 全部破損(戸のない整理棚) 殆ど破損(保管庫) 数個が破損(戸棚) 試験管、ビーカーがそれぞれ10個程度 (木製戸棚、ワゴン上) 倒れた棚の中から飛び出したものは粉々(戸棚)(*4) 一部破損、ピペット類は使用不能 (備え付けサイドテーブル上) 一部破損(ガラス戸棚、施錠なし)(*5) 全部粉々(洗浄後かごの中) ボックスの中で破損 (ふた付きクリアボックスで収納)(*6) |
(*1)当時破損していなかったものでも、使用しはじめると破損することが目立つ (*2)バット、かご等にかためて入れてあったものは破損なし (*3)引き出しの中で仕切っている小物は破損なし (*4)ガラス器具は、箱、トレー、コンテナ等を利用して戸棚に収納すると破損しにくい (*5)安定な状態でおいておくと被害は少ない (*6)仕切りのあるケースで収納したものについては全く被害なし |
ビュレット | 先端破損(段ボール箱の中)(*7) | (*7)先端のみの破損は自分で修理可能 |
メスシリンダー | 立てて収納していたので、倒れて一部破損 (備え付け戸棚の最上段、ガラス戸棚施錠なし)(*8) |
(*8)安全リングをつける、または横に倒して収納するのがよいかもしれない |
水糟 | 一部破損 |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(消耗品その3)
【実験用具など消耗品について】
被害のない・少ない学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
ガラス器具 | 被害なし(*1) | (*1)校舎のガラス窓の破損あるもガラス器具の破損なし |
ビーカー | 被害なし | |
その他 | 戸棚の中、机上においているものも動かず 被害はないが1㎝程位置がずれていた(*2) 1~2個破損 (戸棚の中)(*3) |
(*2)戸棚に仕切りやすべりどめをした方がよい (*3)戸棚の位置が少々ずれたが戸をしめていたので器具の落下はまぬがれた |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(生物材料その1)
【生物材料について】
立入禁止(取り壊しまたは修理)の学校 | ||
品目 | 被害状況まとめ | 備考 |
プレパラート類 | 移動していたが無事(スチール引き出し) 被害なし(備え付け木製小引き出し)(*1) |
(*1)ケースに入れて |
微生物 | ほぼ全滅(定温器)(*2) 液が減っていた程度(*3) (恒温器、低温保管庫) インキュベーターが傾き容器が庫外へ落下もしくは中で散乱(*4) (ビーカー、シャーレをバットに入れて) |
(*2)ゾウリムシの種をワラと共にコーヒー瓶に入れてふたをしていた 飛び出してこわれなかったのが幸いした 生存 (*3)新たな培養液確保できずそのまま放置 (*4)シャーレの底にわずかに液が残ったがガス、水使用不能のため培養液作れず全滅 |
藻類 | 全滅(窓際に水槽を設置) | |
小動物 | 水槽から水と共に飛び出し死亡 | |
魚 イモリ |
停電、漏電、ヒーター破損のため死亡 (据え付け台上水槽) ガラス蓋破損のみで無事 (据え付け台上水槽) 池の内壁破壊、水がなくなる 魚は他校へ(コンクリート人工池) 水槽にひびが入り、上からも飛び出し水はなくなる |
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植物 |
棚から落下、鉢破損、土散乱(*5) 無事開花(戸外のもの) |
(*5)しばらくそのままの状態のため枯死 |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(生物材料その2)
【生物材料について】
修理を有する学校 | ||
品目 | 被害の状況 | 備考 |
プレパラート類 | 全部破損 落下して破損 |
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微生物 | 全滅 プランクトンは無事 (試験管に入れて実験台上試験管立て) |
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小動物 | 被害なし どの水槽も水が一定の分量でこぼれる |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(薬品その1)
【薬品について】
立入禁止(取り壊しまたは修理)の学校 | |
被害の状況 | 備考 |
薬品庫内は、倒れた棚や傾いた棚から数百本の薬品が落下、破損、混合状態で床上に堆積した(*1) 床は焼けただれ、壁が一部破壊されて穴があいている(作りつけの棚ではない) |
(*1)おおまかに分別し、スコップで緊急に除去、床表面に付着した酸については石灰で中和、内部に浸透したものについては未処置、廃棄すべき薬品については業者に処理を依頼する 作りつけの戸棚、はめ込み式試薬瓶整理棚等の必要性を痛感する |
薬品庫の中の棚や劇毒物用戸棚は転倒せず 戸棚の中で薬品瓶の転倒あり、引き戸があけられなかった 実験台上のものは落下物で一部破損しているが、当日の準備で教卓上、トレイのものは無事 全壊・立入禁止の割には被害は少ない(*2) |
(*2)下の階程被害は少ない化学が二階で不幸中の幸いであった |
薬品庫は試薬瓶が散乱して、ドアがあかない ホルマリン等の破損で刺激臭がひどく近寄れない(*3) 化学は薬品整理箱に収めていたので被害は少ない |
(*3)二ヶ月後にドアをこじあけ換気した後、業者に処理を依頼 耐震性薬品ロッカーを床に固定すると良い |
薬品庫内の薬品棚一つが傾き、上部の薬品が落下、破損、流出、水道管破裂で準備室は水浸し(*4) | (*4)流出した液体類は回収不能、固体物は回収搬出 昨年改修工事をしたので、震度の割に被害が少なかった |
コンクリート製薬品庫にひびが入る 薬品瓶庫内で転倒、落下破損、流出 反応して塩化アンモニウム生成 生徒用試薬瓶各種、棚より落下流出(*5) |
(*5)流出した液は雑巾で吸い取り、水で希釈 |
黄リン、アルカリ金属は無事(*6) | (*6)バケツに砂をいれ、容器を埋めて保管 |
薬品庫内の戸棚のガラス戸がはずれ、薬品瓶が落下散乱多くが破損して薬品が流出、飛散、混合状態となる(*7) (木製ガラス引き戸棚) |
(*7)有機溶剤の揮発を待ち、pHを調整し希釈して流す |
温度計の破損によって水銀飛散(*8) | (*8)水銀をガムテープなどで集めた |
毒物保管庫の重い金庫と耐震性薬品庫は、移動していたが中は異常なし アルカリ金属も無事(床面作りつけコンクリート戸棚) 生徒用試薬瓶、戸棚落下で飛び出して破損、溶液流出、混合(塩ビ製薬品庫二段重、開き戸施錠) |
|
木製戸棚の中は薬品瓶総倒れ、4本破損、劇毒物でなし調整液の流出多し 塩酸、さらし粉教卓トレー中より落下、ガス発生 臭素瓶実験台より落下破損(*9) |
(*9)しばらくドアをあけ広げて気体拡散 全て反応が終了してから片づける 水と反応しそうなものは少量ずつ処理する 水道管寸断で思うように作業できず |
薬品庫に保管していたものは、一部倒れ液体数本破損 戸棚の中で倒れるも戸開かず、転落まぬがれる(固定戸棚) アルカリ金属は無事(*10) |
(*10)薬品瓶は仕切りのある容器に入れて保管する必要がある アルカリ金属は砂利の中に保管 |
化学薬品庫廊下側壁一部崩壊、準備室側ドア開閉不能 内部は木製引き戸が動かず薬品瓶が一部転倒したのみ 生物は、下部ロッカーの奥行きがあったため転倒せず、瓶をゆったりと収納していたところが転倒した(*11) (作りつけ固定戸棚、上下二段ロッカー) |
(*11)建物破損の割に薬品被害が少なかったのは、作りつけ固定戸棚に転落防止の横棒が一本通っていたことと、木製で重い引き戸の薬品庫が開閉しにくかったという点が幸いした |
仕切り板のついた薬品箱に入った薬品は大部分助かる棚、机上にあった薬品の一部が転落、破損、流出 生徒用試薬は回収して大きな瓶で戸棚の下段に保管していたので無事(*12) |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(薬品その2)
【薬品について】
修理を有する学校 | |
被害の状況 | 備考 |
薬品庫の中で瓶が転倒、塩化亜鉛が散乱し真っ白になる薬品棚転倒、床、机が染色液で染まる 液浸標本破損、ホルマリン床一面に流出(*1) |
(*1)処理は業者に依頼 ホルマリンの床は水をまき希釈して揮発させた 薬品瓶は木箱等に入れてから戸棚に収納するのがよい 棚板に桟をつくってすべり止めとするとよい |
備え付け薬品庫がしっかりしていたので、中のものは全く被害なし 薬品庫の戸棚の下段に収納している劇毒物は倒れるも破損流出はなく無事 |
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引き戸があき薬品瓶落下の戸棚もあり(ガラス引き戸施錠なし)調整液の瓶は棚から落下、一部破損(戸なし)(*2) アルコール、色素などが破損流出のため無事な瓶のラベルが不明となる |
(*2)ポリビンが多かったため破損は少ない |
薬品庫の壁に亀裂が入りドアの開閉困難になる 生徒用試薬瓶が転倒、破損(薬品庫の中、戸なし)(*3) |
(*3)液体、粉末ともふきとり廃棄 |
保管庫上段が倒れ、傾いた状態で止まる 薬品瓶には殆ど被害なし(上下二段重薬品戸棚) 実験台上より2~3本の瓶が落下破損 |
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薬品庫の劇毒物は全く被害なし(作りつけ薬品庫)(*4) 酸を保管していた薬品庫の戸が破損するも被害なし(スチール製薬品庫) |
(*4)コンクリート製、砂を敷く |
有機薬品、実験用試薬の棚転倒 床に散乱、流出、混合、反応起こす(戸なしの棚)(*5) | (*5)流出薬品不明なので、まず換気を行い処理に入る 新聞紙と雑巾で吸い取る |
水銀散乱(*6) | (*6)寄せ集めて瓶に回収、洗浄して保管残りはアマルガムにする |
保管庫の中で倒れるもの多数、破損流出はベンゼンのみ | |
薬品戸棚より落下破損、流出 臭いがきつく白煙が広がる(*7) | (*7)薬品庫換気扇故障のため、戸棚、保管庫を少し開けていたため瓶落下 市の環境保全局へ安全の確認をしてもらってから処理をする |
強酸、有機薬品、その他化合物、劇薬品庫より落下破損流出一部黒く燃えた後あり(*8) | (*8)薬品庫の床には砂を敷いていたので二次災害なし 業者に廃薬品処理依頼(13種の薬品で¥90,743、不明物は分析費を含んで高くなる) |
試薬液が棚の中で傾いている程度で破損なし(戸棚、施錠)(*9) | (*9)隙間なく保管しているので倒れなかった |
希釈液が転倒破損流出 薬品庫内は煙が立ちこめ異臭あり(*10) 黄リンを砂を敷いたガラス水槽に入れていたが、水槽共々破損(スチール製薬品庫) |
(*10)1週間換気扇を回し続け、その後処理を業者に依頼 いつまでも異臭が残り処理に手間取る |
上段の薬品庫がずれて中でスチレンモノマーが流出、刺激臭たちこめる 転倒多数(二段重薬品庫) | |
薬品庫より落下したものなし、倒れていたもの少々(*11) (上下一体式の薬品庫) 生徒用調整液はバットごと棚より落下(戸なしのもの) |
(*11)上下一体式がよかった 隙間なく収納していたので転倒も少ない |
薬品庫の被害はなし(2校) |
前項Ⅱの分布に基づく理科室の被害状況まとめ一覧(薬品その3)
【薬品について】
被害のない・少ない学校 | |
被害の状況 | 備考 |
全く被害なし(*1) | (*1)6校 |
薬品庫の中で倒れている薬品瓶あるも大きな被害なし(*2) | (*2)薬品庫のガラス戸をビニールテープで補強した |
ガラス製の広口瓶の個体試薬は倒れてこぼれていた(*3) | (*3)ねじ式容器の方が良いと思った |
希釈液の瓶が棚から落下破損(*4) | (*4)棚に針金で桟を作った |
別紙 (御影高校被害状況報告書より)
化学薬品庫(補修)についての問題点
北川・梅田
場所 | 以下『留意点』の項目での要件をいくつか満たすためにも、現在の位置では、スペース的に不足と考えられる。しかしながら、別の場所に薬品庫を設置するとすれば、何処にどのような規模で設置するかを早急に詰めなければならない。 現在の位置に設置するのであれば、汚染の除去および以下の留意点についての問題を解決する必要がある。 |
留意点 | 1) 薬品庫内の汚染の除去。 今回の地震では、多数の薬品が薬品棚より転落し、薬品瓶が割れ各種の薬品が庫内で混合状態になったため反応を防ぐことができなかった。写真にある様な庫内の状況で、火災が起こらなかったのは奇跡的である。多くの薬品が混合状態で床の上に堆積し、危険な状態にあると判断したので、大まかに分別し、スコップで緊急に除去した。庫内の床は焼けただれており、表面に付着した酸については石灰で中和したが、内部に浸透したものに対しては、対策は施していない。また、多くの有機物による汚染に対して、処置をしていない。破損を免れた薬品については緊急避難として化学実験室へ移した。安全上ないしは、今後の使用上廃棄すベきと考えられるものについては、学校事務を通じ業者によって廃棄させた(3/24/FRI)。しかし、廃棄しなかった試薬についても、その試薬瓶の表面が各種の薬品によって汚染されているケースが、相当多数ある。薬品庫内部とその周辺は、現在もなお多くの化学物質で汚染されている。 2) 薬品棚は、倒れないよう壁に作り付ける必要がある。 今回の地震において、薬品棚が倒れたのは見逃せない。作り付けの棚であれば倒れなかったと推定される。 3) 倒れなかった薬品棚においても、並ベてある薬品瓶のほとんどが(数百本)落下した。棚が振動しても落下を防げるタイプの棚にすベきである(試薬瓶のはめ込み式等)。 4) 仮に落下しても、火災等を起こすような薬品の混合が起こらないような『隔離壁』を庫内に設けておくベきである。 今回は、たまたま運が良かっただけである。もし、塩素酸カリの瓶が、あと80センチ北に落ちて(転がって)同じように割れておれば多分火災が生じていたであろう。 5) また、薬品棚内部での衝突で破壊されたと考えられる薬品瓶が多数ある。これもはめ込み式等の棚にすれば相当防げるであろう。 6) 有機溶媒等には、常温で蒸気圧があるので強力な排気装置が必要である。 これを設備しないと、何十種類もの発ガン性物質に、常時さらされていることになる。特に夏季は深刻である。(ちなみに、昨夏は37~38℃に達する日が連日続いた。) 7) 常温での蒸気圧が高い薬品、引火性の強いもの、加水分解等分解しやすい薬品の保管のため低温防爆薬品保管庫(薬品冷蔵庫)が必要である。 多数の薬品の自然減量、分解、酸化、変質等を確認している。二硫化炭素の自然減量(蒸発の結果周辺へ拡激)、硫化ナトリウムが大気中の湿気と高温で加水分解し水酸化ナトリウム水溶液に変化、この時生じた硫化水素は、長年にわたって周辺を汚染し続けていたと考えられる。以上は一例である。 8) 薬品庫の壁は、鉄筋コンクリートにすベきである。 現在は、セッコウボード製と思われるが、一部破壊され穴があいている。頑丈なものにすることにより、仮に庫内で発火しても、庫外への延焼をくい止めるか、あるいは延焼を遅らすことが可能と考えられる。 |
《考察》
このまとめについてはあらかじめ下記の点を特に考慮していただきたいと思う。
① 兵庫県下7地区(神戸地区11校、阪神地区9校、東播地区2校、西播地区3校、丹有地区4校、但馬地区1校、淡路地区2校の合計32校)にわたってアンケートを依頼し、その回答を基にまとめを行った。
② 主として理科関係の設備を中心として分類を行っている。
Ⅰの震度別分布とⅡの被害別分布から被害状況が震度とどのような関係にあるのかを考えてみたが、すベて震度だけでは片づけられないことがわかる。学校の立地条件、建物の方向、さらには理科室が何階にあるのか、備品・器具等の保管状況はどうだったのか、などといった色々な条件が重なり合ってそれぞれの被害状況がかなり違ってきているように思われるのだが・・・・。
今回のような激震に襲われると本当に幸運を祈るしかなすすベがない訳だが、私たちにでき得る最大限の災害防止策はないものか、なにか少しでも参考になることが見つかればという観点より、寄せられた回答からそれぞれの項目に分けて考察していきたいと思う。
【備品について】
各学校ともに保管庫・戸棚などの収納庫の被害、そしてそこに収納してあった物品の被害が非常に多い。中でもスチール製の物、2段重ねの物、また壁につけず立ててある戸棚の転倒が特に目立つ。できれば壁に取り付け式の収納庫が望ましい。
ほとんどの備品類が転倒、落下によって破損している。今後の保管方法にはちょっとした工夫によって転落防止できることもあるのではないだろうか。
どこの学校でも備品類は新たに補給するための予算獲得が非常に困難と思われるので、災害による被害はできるだけ避けられるように工夫することが大切である。
【器具・消耗品について】
**ガラス器具類その他小物について**
震度7ではなすすべもないけれど、被害をできるだけ小さいものにするために収納方法を考えることだと思う。
①普段使用するための器具はかご・箱等容器に入れて引き戸戸棚に収納する。開き戸の場合は桟をつけたり必ず施錠をするとよい。かごの中はあまり余裕を持たせないこと。
②ピペット類・ガラス管類・小物類等は専用のプラスチックケースや整理箱、小引き出し等を利用するとよい。
③メスシリンダーはかごの中に横に倒して入れるか、また大きなものはパッケージの箱を利用して並べるとよい。(図1)
片方のみふたを取り重ねる →
④予備のガラス器具類はパッケージのまま戸棚に収納すると2mくらいの落下では被害がない。
⑤収納庫はつくりつけに越したことはない。スチール戸棚は固定が必要。奥行きのある戸棚の方が転倒しにくい。間仕切り用に設置するより壁際の設置がよい。
⑥常に整理整頓に心がけることが必要。
**生物材料について**
①培養容器は許す範囲で蓋物を使う(ビーカーよりシャーレ)
②種として残しておける状態を考える。(コーヒー瓶のゾウリムシ)
できるだけ速い対応で生存は可能である。各学校で飼育しておけば増やすことは容易である。
【薬品について】
一番被害が大きいのは薬品庫内の薬品収納戸棚や劇毒物用の薬品庫が転倒し、薬品類がすべて落下破損した場合である。震度7の直下型地震に襲われたらどうしようもないとは思うが、被害を少しでも軽くするには耐震性の薬品庫や、つくりつけの戸棚がよいと思われる。戸棚には転落防止用の柵や横棒を取り付ける。それに加えて酸やアルカリは別々に入れ、水と反応し易いもの、火気厳禁のもの、気体が混合すると良くないものを考慮して収納する。
また金属ナトリウムなどの下には砂利を敷いておく。
薬品同士がぶつかって破損しないように仕切のあるケースに入れて戸棚にしまう。施錠する事を習慣にする。さし込み鍵をしているだけで、戸が開かず助かった例が多い。
生徒用希釈液はオープンの棚に入れておくと使い勝手はよいが、落下して一番多くの被害が出ている。トレイやケースに入れ、必ず戸棚に入れておくとよい。
今回のような大地震が起きた場合、一番恐ろしいのは火災である。万一薬品が破損して発火してもコンクリート製の薬品庫で隔離壁があれば被害は少ないのではないかと思う。
地震の揺れは上の階ほど激しいので、薬品を取り扱う化学や生物は下の階にあるのが望ましい。
もしまたこのような地震が実習中に起きたとしたら、と考えるだけで恐ろしい気がする。しかし、何が出来るか、何をすベきかを常に頭の片隅に置いて置かなければいけないと思う。
【感想・意見など現場からの声】
●立入禁止の学校より★修理を要する学校より▲被害のない・被害の少ない学校より
●実験室が現在なく、実験が出来ないので早く予算をもらい、再開に向けて器具等を揃えていきたい。薬品庫の被害状況については多くの有機物による汚染に対して何の処置もしていない。薬品を置くところがないので、今は化学実験室に置いている。
薬品棚は倒れないように壁に作り付ける必要があると思う。棚が倒れなくても振動で薬品が落ちているので、試薬瓶のはめ込み式など落下を防げる棚がよい。隔離壁を庫内に設ける。強力な排気装置と薬品冷蔵庫が必要。
化学薬品庫(補修)についての問題点は前ペ一ジ別紙参照
●直下型の地震に襲われると、どう対処しようと被害は免れない。しかし化学科は薬品瓶を1本ずつ入れるケースに納めていたので被害は少なかった。破損すると危険な薬品は固定した耐震用薬品ロッカーに収納すると良い。余分にガラス器具を棚に並ベない。生物の場合、実験ごとに大きなコンテナに詰め込んでおく。
●実験準備の為に薬品を取りだした時も、必ずトレイや小箱に入れておく事。 すぐに取り出せるところに砂や炭酸水素ナトリウムを置く。薬品などが原因で火災が起きないように注意する。
●第一に薬品庫の被害状況確認が大事だと思った。
●地震などの災害で多種の薬品(不明薬品)が混ざった場合どのように処理すれば良いか? 薬品庫の鍵保管場所はどこが適当か? 災害などで建物が崩れた場合または立入禁止になった場合を考慮し、鍵保管場所は、2カ所(例えば事務室1階、理科準備室4階)に分けて保管するのが良いのか? 教えてほしい。
黄リン、アルカリ金属等の保管方法はバケツに砂を入れ、容器を砂に埋める、それを薬品庫で保管すると安全性が高くなる。
●震災が早朝、活動時間帯以前で、学校として理科として人的被害は免れ幸いだった。実験中震度7ではなすすべもなく、台の下にもぐるくらいしか出来ないのではないか。震度4くらいならガスを消して薬品の蓋をする余裕はあると思うが…。被害を出来るだけ少ない物にするために、今回の不幸中の幸いであったと思われる事、またこうしておけばよかった点などを以下にまとめた。
・予備ガラス器具類はパッケージのまま戸棚に収納。2m位の落下では被害なし。ただし中にパッキング必要。
・普段使用する為のガラス器具はかご(ざる)に入れて戸棚に収納。開き戸はだめだが、引き戸であったためかごがひっかかり、落下を免れた。各かごの中ではたまに1~2個破損している程度で済んだ。バラで入れてあったものは、ぶつかりあったり、落下したりして破損している。
・物理の生徒用器具類もかごにいれ、実験台の下部戸棚に収納してあったため助かった。
・小物入れのプラスチック整理箱、ひき出し等は被害ほとんどなし。
・薬品庫は耐震性のものが良い。ない場合は整理箱に入れて収納するのが良い。
箱がなく余裕をもたせて収納しているとお互いぶつかりあったり、倒れたりしている。
・はめ込み式でない薬品庫は2段に重ねない。
・準備室の希釈液は棚だけのものに入れない。施錠できなくても戸のついた戸棚に入れる。何かケースに入れてから収納するとなお良い。
・1階より2、3、4階と上の方がよく揺れている。戸棚の中のものの飛び出し方が違う。
・震度7では冷蔵庫もインキュベーターも重い金庫も倒れる。3階のつくり付けの戸棚が壁から20~30㎝動いていた。収納庫は固定するということを考えるように。
・机上及び本箱の中すベての書類、書籍がごちゃ混ぜ。準備室実験台と同じ部屋でなくて幸いだった。
・薬品庫の収納の仕方は考えておいて良かった。
・酸、アルカリは別々に入れる。
・水と反応しやすいもの、火気厳禁のもの、気体が混合すると良くないものなど考慮しておく。
・混ざると危険な薬品は近くに置かない。
・生徒試薬も仕切のある箱にいれて保管する。
・高い戸棚(特にガラス戸)に割れ易い物品は置かないこと。
●建物の破損のわりに薬品の被害が少なかったのは、つくり付けの固定棚に転落防止の横棒が1本通っていたことと、薬品戸棚が木製で重く引き戸で開閉しにくいという難点が今回幸いした。校舎の取り壊しがまだ決定していないため物品を取り出すかどうか決めかねている状態。
●長い勤務(同じ学校)だったのでともすれば私だけが知っているという事が多すぎたと今回の地震で反省している。
★地震発生が今回のように勤務時間以外の場合、また勤務時間中、特に実験中に起こった場合、それぞれに対処の仕方が違うと思う。自宅及び周辺の状況の混乱、交通の途絶、電話の不通等など、思うように即行動出来なかったと反省している。
従来より古い薬品及び廃液などの処理をどうにか出来ないかと相談していたが、今回の震災以降、事務室の手配でほとんどが処理出来た。今後は安全を重視し、出来るだけ必要以上の薬品を置かないように心がけると共に、廃液の処理回収が定期的にでもしていただけると有り難いと思う。
★準備室、実験室に戸棚などの保管庫が少なく、戸棚の上に積んで置く状態のため、各家庭と同様滑って落ちていた。地震以後、試薬・ガラス器具はダンボールに入れて床に置いている。試薬用の薬品整理箱を注文し、戸棚に入れようと考えている。
★流れ出た薬品の処理に悩まされたので、やはり薬品の管理にもっと工夫が必要だと思った。幸い今回は危険な薬品の流出がなかったので火災や毒ガスの発生がなくホッとしている。
今後の留意点危険な薬品類は実験が続いてもこまめに薬品庫に収納する。
希釈溶液の試薬瓶などはスペースをつめてセットにして収納する。
(薬品購入時に入っている仕切付きのダンボール箱を利用するなど)
ガラス器具などの収納もできるだけセットにして(箱、トレー、ふた付きのクリアボック ス、コンテナなどを利用)戸の閉まる棚に収納する。
キャスター付きの台は地震に強いという事がわかった。
★地震後一番に薬品の事が気になった。やはり使用する直前に薬品庫から出し、すぐに片づけるのがベストだが日常の業務の中では難しいことが多い。
交通が分断されなかなか職場に行けず、危険物(薬品等)処理が気がかりだった。自宅近くの学校をお互いにチェックしあう連絡網でもあればと思った。
★今回破損した棚はスチール製のもの、木製の棚は多少ずれてはいるけれど頑丈にできているのかほとんど無傷。化学室など特に薬品を多く使うので、耐久性を考えて備え付けの木製棚を採用するのが望ましい。さらに実験台の上は常に整理整頓が望ましい。
★幸いにも本校は被害が少なかった。心配していた薬品類の被害もほとんどなかった。今回の地震を教訓に、薬品の管理、ガラス器具、備品などの保管を一層強化したいと思う。
★戸棚の戸は必ず締めておくようにする。薬品がたくさん詰まっていたので被害からまぬがれたのではないかと思えることがあった。
★常日頃より整理整頓に気をつける。
★棚など3段に積み重ねた物は落ちてしまったので、積み重ねない。
備品庫、書棚、実験器具などを入れた棚など考えながら置き換えた。薬品庫内も棚の上に置くのではなく、木箱をつくり、その中に薬品を並ベてそれを棚に置く。木箱には薬品名を貼り付けておく。棚にも滑り止めをつくる。
★器具、薬品などの安全な保管を常に念頭においておかなければならないこと、また生徒実験中に起こった場合も安全の確保を考えておかなければならないこと、を特に強く感じた。
★地震など予想もしていなかったし、どこに何を置くにしても限られた場所では特別安全なスペースも確保できず、棚の上、足元に置かなければならない。
今回は早朝であったが、生徒が学校にいる間だったらと思うとぞっとする。ただ立ち尽くすだけでどうにも出来ないという事がよくわかった。これだけ大きく揺れると、私達の力ではどうする事も出来ない。せめて二次災害(火災、爆発、ガス発生、薬品反応)などが起こらないよう、薬品はできるだけ安全な場所(特に危険なものは床に近いところに置く。倒れないように工夫する。万一こぼれても安全であるよう工夫する。滑りの良い戸は少々の揺れでは開かないようにしておくなど)に保管するよう心がけ、ガス、電気、ストーブなど元栓を必ず確認しておかなければならないと思った。
▲今回の地震では被害はあまりなかったが、他校の状況などを聞いて、理科助手としてどういう行動をとればいいのか考えさせられた。
(注)
①Ⅰ震度別分布及びⅡ被害別分布に用いた地図は『兵庫のハイスクール兵庫県内公立学校ガイドブック』を活用させて頂きました。図中の………は、学区の境界を示しています。
②震度の分類はアンケートの回答により行ったもので公式発表とは異なっていることがあるかもしれません。また被害状況の分類についてもアンケートの回答内容に基づいたもので、特に理科施設・設備の被害を中心に行ったものです。
③被害状況別一覧表中の備考欄(*番号)印は、被害の状況欄(*番号)印に対応しています。
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この度このレポートを作成するにあたりアンケート調査を実施しましたところ、大変お忙しいにも関わらず、快くご協力くださいました先生方、また貴重な資料をご提供下さいました先生方に厚く感謝申し上げます。
平成7年7月12日
第27回理科実習助手研修会
地学班担当者
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