校長日誌(31年度)

宍粟市の校歌保存事業に拍手

本日午後、PTA総会及び各学年懇談会等を同窓会館を中心に開催致しましたところ多数の親御さんにお越し頂きました。心よりお礼を申し上げます。今年度瀧本新会長様を筆頭に新役員の皆様方には何かとお世話になります。1年間どうぞ宜しくお願い申し上げます。同時に、昨年度お世話になりました、阿山前会長様を始め旧役員の皆様方には、改めて厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。総会後の学年懇談会及び学級懇談会等では各学年の内容に応じてそれぞれの話があったかと思いますが、生徒(子供)がしっかりと成長するためには、学校と親との協力が不可欠ですので、今後共どうぞ宜しくお願い致します。

  

さて、今週の複数の新聞や『広報しそう』(4月号)等にも記事が掲載されましたのでご存知の方も多かろうと思いますが、宍粟市教育委員会様がこのたび「心のふるさと校歌保存事業」と銘打って現在宍粟市にある小学校・中学校・幼稚園等は勿論のこと、昭和30年代から近年にかけて廃校・閉校となった昔懐かしの各学校の校歌・園歌の歌詞と楽譜をすべて再現し、更には歌手の方による実際の歌が宍粟市のHP上で聞くことが出来るようにされました。平成24年から3年間千種高校の教頭をしていた時から、兵庫県内の高校や西播磨の小中学校の校歌調査を趣味の様にしてきた私としては、このたびの宍粟市様の事業は全国的にも極めて珍しい試みであり、大変貴重な教育財産を作り上げられたことに対し、拍手喝さいを送りたいという気持ちでいっぱいです。

『広報しそう』2019.4.pdf  神戸 R1.5.14(ふるさと校歌).pdf  讀賣 R1.5.15(ふるさと校歌).pdf

但馬地区を始め、この宍粟市や隣の佐用町及び西播磨一円で小学校や時には中学校の閉校や統合が続いてきました。そのたびに新しく統合した学校の校歌が作られるのですが、何十年にもわたって地域の皆さんが歌い親しんできた校歌が消えていくということが繰り返されてきています。私が校歌調査を始めたのは、千種高校に教頭として赴任し、同校の校歌(元は「千種分校の歌」)の作詞が松井利男先生(元兵庫県教育次長、姫路商業高校初代校長)、作曲が「山崎高校生徒会歌」の曲を作られた秋月直胤(なおかず)先生(昭和27~36年山崎高校音楽科教諭)であるということを知ったのがきっかけです。詳しくは、お二人の評伝を平成25年頃に書きましたので、お読みいただければ幸いです。
兵庫県立千種高等学校校歌の作詞者と作曲者について.pdf 同じお二人で、つい最近閉校となった旧一宮町立神戸小学校(現はりま一宮小学校)の校歌を作られていますし、秋月先生は旧神河中学校(現山崎東中学校の前身の一つ)の校歌と応援歌の作曲もされています。その神河中学校校歌の作詞を安田青風先生(大正14年~昭和12年山崎高等女学校教諭、太子町石海村出身の高名なる歌人)がされていることも今回初めて知ることが出来ました。安田先生についてはまた機会を改めて書きたいと思いますが、千種中学校と城原中学校(現山崎南中学校)の作詞もされています。なお「山崎高校生徒会歌」の作詞をされたのは、波賀町谷のご出身で、戦後から昭和40年代まで本校の英語科教諭であられた小倉悠丘(本名・崇義)先生です。昭和27年の作詞で、5回生の先輩方が卒業される時(昭和28年3月)に音楽科教諭秋月先生の作曲により初めて公式に披露されました。以来昭和54年11月の70周年記念式典で現在の校歌が発表されるまで、約30年間にわたって「校歌」として歌い継がれたのです。小倉先生が30代前半、秋月先生が40代前半頃のことです。小倉先生は、70歳を過ぎても非常勤講師として山崎高校で教鞭を執られ、私も高校2年の時に教えて頂きました。緻密な英文法論に裏付けられた明解なる英文解釈の授業は文字通り目から鱗の連続であったことをよく覚えています。そして、最晩年に山崎西中学校と山崎東中学校、両方の校歌の作詞をされています。話を戻しますが、神戸・讀賣の両新聞記事で取り上げられた旧染河内中学校校歌の作曲は高田浩平さんがされていることも今回初めて知りました。山崎高校6回生で安富町安志出身、大阪音楽大出のテノール歌手。確か、私はまだ中学生でしたが昭和50年頃に本校に来て頂いて、芸術鑑賞会で歌って頂いたはずです。校歌とは、まさに地域の希望や熱意を背負ったものであり、児童や生徒たちに生きていく上での大事な指針を与えてくれるものです。そういった昔懐かしい数々の校歌を改めて発掘し、歌詞と楽譜は勿論ですが、実際の歌唱まで付けて復元・公開された宍粟市教育委員会様の発想力と企画力に大いなる賛辞を贈りたいと思います。なお、この記事の右側にありますが、本HPの「関連情報」欄「宍粟市」のところに「心のふるさと校歌保存事業」というリンクを貼らせて頂きましたので、是非一度ご覧になって、聴いてみて下さい。