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令和五年度 兵庫県立高砂高等学校 入学式 式辞
令和五年度 兵庫県立高砂高等学校 入学式 式辞
穏やかな春の日差しが優しく降り注ぎ、校舎を取り巻く木々の新緑が爽やかな風に揺れる、彩り豊かな季節となりました。このよき日に令和5年度の入学式を執り行うにあたり、PTA会長 髙丸 江美子 様、同窓会長 西中 亮二 様のご臨席を賜り、入学生への祝福と激励をいただけますこと、高いところからではございますが厚くお礼申し上げます。
保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。本校は、今年度創立百周年を迎えます。この百年の伝統を持つ本校での学びに信頼と期待を持ってお子様をお預けいただきますことに深く感謝申し上げます。
さて、先ほど、入学を許可いたしました、高砂高校、第78期生、200名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。高砂高校を代表し、皆さんの入学を心から歓迎いたします。
皆さんは入学者選抜を見事突破し、めでたく入学することができました。これから始まる高校生活への期待に胸を膨らませ、大きな夢を抱いていることと思います。しかし、一方で、高砂高校入学という夢を叶えることができなかった人たちがたくさんいるということを忘れないでください。
また、この日を迎えることができたのは、新入生の皆さんの努力の成果であることは言うまでもありませんが、これまで皆さんを、時には優しく見守り、時には厳しく指導してくださった、保護者をはじめ、ご家族の皆様、小学校、中学校の先生方など、多くの方々の支えがあったからです。このこともしっかりと心にとめ、「感謝の気持ち」を忘れないでください。
さて、本校は、大正12年(1923年)に創立され、今年で創立百周年を迎える歴史と伝統のある学校です。創立以来、「敬愛・勤勉・奉仕」を校訓として、文武両道を実践して、発展してまいりました。
この恵まれた教育環境のもと、本校で高校生活をスタートする皆さんに、私の期待することを述べ、歓迎の言葉にしたいと思います。
それは皆さんに、この学校で、「真のリーダー」となるための素養を身に付けてほしいということです。皆さんは将来、さらに加速していくグローバル社会において、さまざまな課題に直面することになると考えられます。その時、皆さんはどうしますか。
ある人は、課題を解決することができるリーダーが現れるのをひたすら待ちます。ある人は、評論家となって、なぜこの課題が解決できないのかを語ります。でも、そのような人たちばかりでは、問題は先送りされていくだけです。
私は皆さんに、課題に向き合い、どうすれば解決できるのかを自ら考え、課題解決に向けて行動する人になってほしいと願っています。
様々な価値観、異なる文化や慣習など、多様性が高まる中、解決策を探すことは容易ではありません。しかし、正解はなくても、その時点での最適解は必ず存在します。多様性を理解し、自らの頭で考え、未来を切り拓いていく、真のリーダーになって欲しいのです。
そのために高校生活において大切なことを三つ伝えます。
1つめは「日々の学習習慣を確立すること」です。
中学校より質も量も増える学習内容に対応するために、「予習・授業・復習」という学習習慣をしっかり身に付けてください。そして、基礎学力をしっかり身に付けてください。
2つめは「新しい自分をつくること」です。
今までは、先生や周囲の方々から示されたレールに沿って行動し、成果をあげてきた人が多いのではないでしょうか。これからは、自ら目標を設定し、自ら道筋を見つけ、自ら責任を負い、試行錯誤しながら、目標に到達する経験を積むことが重要です。その経験を通して、今までとは異なる見方や考え方を身に付け、新しい自分をつくりあげてください。
3つめは「様々な価値観を理解する」ことです。
出身中学校が異なるさまざまな仲間との出会いを通じて、切磋琢磨し、豊かな人間関係を築き、自分とは異なる、いろいろな考え、価値観があることを学んでください。
将来、社会に出て自己実現を図るだけではなく、さまざまな分野で、人の心の痛みを分かり、自らの考えで行動し、逃げないで責任を果たす、これこそが、本校の校訓に込められた思いの一つだと考えます。
新入生の皆さん、今日のこの感激の気持ち、感謝の気持ちを忘れず、高砂高校生としての高い誇りをもって、有意義で実りのある高校生活を送ってください。
保護者の皆様、我々教職員一同、校訓である「敬愛・勤勉・奉仕」の精神の涵養に努め、生涯を通し主体的に学ぶ意欲や態度・能力を身に着け、人と社会に貢献できる、こころ豊かで自立する人づくりを進めてまいります。
本校の教育方針にご理解いただき、ご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、入学式の式辞といたします。
令和五年四月十日
兵庫県立高砂高等学校長 上出 正彦
PDFは、こちらから。
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令和5年度1学期始業式(令和5年4月10日) 式辞(要旨)
皆さん、おはようございます。 山根前校長先生の後任として、着任しました上出 正彦と申します。どうぞよろしくお願いします。本校は今年で創立100周年を迎えます。歴史と伝統の重みを感じながらの着任となりました。
さて、いよいよ令和5年度の始まりです。日も長くなり、すっかり春めいてきました。新型コロナ感染症もそろそろ出口が見えてきました。みなさん春休みはどうでしたか。部活、勉強、友人との遊びなどがあったのではないかと思いますが、何よりも元気に始業式に来ていることが一番です。新しいクラスとなり、これまでとは違う環境の中での学校生活が始まります。
新年度のスタートにあたって一つお話をします。それは、イソップ物語にある一節「旅人の話」です。
ある町がありました。 一人の旅人がその町にやってきました。
町の入り口の門のところに一人の老人が座っていました。
旅人は聞きます。「この町はどんな町?」
おじいさんは聞きます。「あなたが今までいた町はどんな町でしたか?」
旅人は答えます。「いやあ、前にいた町は嫌な人ばかりでろくな町じゃなかったよ」
それを聞いたおじいさんは答えます。「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」
また別の日に旅人が来ます。「おじいさん、この町はいったいどんな町ですか?」
おじいさんは聞きます。「あなたが今までいた町はどんな町でしたか?」
旅人は、「私が今までいた町は、すばらしい町で、人々は親切で、あんなにいい町はありませんでした」
おじいさんは答えます。「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」
先に訪れた旅人には、ろくでもない町、次に訪れた旅人には、いい町とおじいさんは答えますが、2人の旅人が訪れた町は同じ町です。皆さんはこの物語から何を感じますか。
この物語が伝えたいことは、環境というものは「その人の心が決める」ということです。“心の持ち方” “考え方”が、いかに大切かを考えさせられるお話です。
つまり、その人がいつも周りに対して、感謝しているか。それとも、いつも不平・不満を言っているかということです。同じ環境でもあなたがどう考えるかによって、楽しく充実した日々を送るか、苦痛の中での日々となるかということです。・・・この違いを高校3年間続けると、歩む人生に大きな差が生まれてきます。
環境は人の心がつくります。皆さん、協力して仲良く、楽しいクラス、楽しい学校にしていきましょう。皆さんひとりひとりに秘められた素晴らしい能力は、誠実にそして楽しみながら取り組む中で、大きく開花します。抑圧やいがみ合いの環境下では、大きな成長は期待できません。
相手の気持ちを理解してこそ、自分の為すべきことが見えてきます。社会マナーやルールは、「思いやり」の精神をもつことで十分に守れるはずです。他人を思いやり、親切な行動をとれば、光が鏡に反射するように、自分にもどってくるものです。自分を大切に、他者を大切にして互いに高めあっていきましょう。
以上、令和5年度 第1学期 始業式の「式辞」とします。
令和5年4月10日
兵庫県立高砂高等学校長 上出 正彦
PDFは、こちらから。
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新校長 上出正彦が着任いたしました。
令和5年度の人事異動で、本校校長に、上出正彦(かみで まさひこ)が着任しました。
ごあいさつ
令和5年4月、兵庫県立高砂高等学校長に着任しました上出正彦(かみで まさひこ)と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。兵庫県内有数の伝統を誇る高砂高校にご縁をいただけたことは大変光栄であり、大きな喜びを感じると同時に、本校に寄せられる生徒、保護者、同窓生、地域からの期待の大きさに身の引き締まる思いです。
本校は、大正12年に地域の方々の期待に応えて創立されました。それから約1世紀にわたり「敬愛・勤勉・奉仕」の校訓のもと、文武両道を実践し、明るく活気に満ちた校風と、地域に愛される学校づくりをすすめ、多くの有為な卒業生を世に送り出してきました。
さて、社会が目まぐるしく変化し、複雑で予測困難な時代を迎えている今、教育に求められていることは多岐にわたります。教育においては、どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)と、社会の変化を受け止め、「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)があります。生徒たちが、将来、自己実現を図りながら、変化の激しいこれからの社会をたくましく生きていく資質や能力を育むためには、これら「不易」と「流行」を見極めつつ教育を推し進めていく必要があります。また、新型コロナウイルス感染症の流行により、教育活動も一部制限を余儀なくされてきましたが、制限の緩和により、活発な展開が期待されます。
本校は本年度創立100周年という大きな節目の時期を迎えます。教職員一同、決意を新たにして、校訓「敬愛・勤勉・奉仕」の精神の涵養に努め、生涯を通し主体的に学ぶ意欲や態度・能力を身に着け、人と社会に貢献できる、こころ豊かで自立する人づくりを進めてまいります。
保護者や地域の皆様方の一層のご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
令和5年4月
兵庫県立高砂高等学校 第30代校長 上出 正彦