2024年9月の記事一覧
令和6年度 2学期始業式式辞
2学期始業式 学校長式辞
高砂高等学校長 上出 正彦
始業式の目的は二つです。一つは、長期休業を終えての再会の日に、元気な姿を互いに確認し合い、喜び合うこと。二つ目は、新たな学期の始まりにあって、重点的に取り組むことや大切にしたいあり方を確認し、共有することです。
まずは、今日朝元気に登校してくる生徒諸君を見て一安心しています。この夏休み期間は大きな風紀の乱れや、生死に関わる事故もなく、皆さんきちんと規律を守ってくれていたみたいです。
さて、夏休みはいかがでしたか。心身共にリフレッシュできたでしょうか。
今日は2学期始業式ということで、みなさんの将来の夢や目標についてお話ししたいと思います。将来の夢や目標はありますか?と尋ねられてはっきりと答えられる人もいれば、まだ決めかねていたり、あまり明確に決まっていない人もいるのではないでしょうか。今回は夢や目標を持つ大切さや、将来成功を収めるためのヒントを教えてくれる言葉を紹介します。
「夢なき者に成功なし」です。
この絵の人物は誰か分かりますか?幕末動乱の時代に活躍した江戸時代の思想家・教育者である吉田松陰です。そして、「夢なき者に成功なし」の言葉は、吉田松陰が遺した言葉です。
彼が教鞭をとっていた松下村塾は、高杉晋作や伊藤博文など、後の明治維新において多大な影響を与えた人物を多数輩出したことで知られています。
では、「夢なき者に成功なし」についてみていきます。
松陰は次のように述べています。
夢なき者に理想なし
理想なき者に計画なし
計画なき者に実行なし
実行なき者に成功なし
故に、夢なき者に成功なし。
「自分の夢のない人には、未来に向かって、このようなふうにしたいという理想がありません。未来に向かって理想のない人には、その理想を実現する ために、自分から計画したり予定を立てたりすることはできません。そして、自分から計画できない人 に何かを実行することはできませんから、自分のこれからの成功はない。そう考えると、夢のない人には、成功はなくなってしまう。」ということです。
「夢なきものに成功なし」と言われますが、本当に夢のない人に成功はないのでしょうか? 逆に、「夢があれば、成功する」のでしょうか? いいえ、夢があっても叶えられない人は世の中にたくさんいますから、「夢があれば、成功する」とは限りません。しかし、「成功する人に夢はある」は正しいと言えるでしょう。成功した人たちはみな夢 をもっていました。全ての成功の始まりは「夢」をもつことから始まります。
松陰の人生は、自分の信念をすぐに行動に移し、常に全力投球で突き進み続けるものでした。幕府の意向に背けば命の保証がなかった時代に、西洋文化を学び、それによって投獄や幽閉を命じられるなど、決して順風満帆であったとは言えませんが、強い意志を持って教育を推し進めた結果が明治維新に繋がりました。成し遂げたい夢・志があったからこそ、松陰は幕府の反対を押し切ってでも教鞭をとり続けられたのではないでしょうか。松陰自身は倒幕を企てた罪で、29 年の生涯に幕を閉じました。
夢(目標)を達成するためには、まずは達成すべき夢(目標)を設定し、成功への道筋を計画し、実行に移すことが不可欠です。まだ夢(目標)が決まっていない人は、自分の得意なことや好きなことから掘り下げて、夢(目標)を決めてみると良いかもしれません。
どうでしょうか。皆さんの中でも自分の夢を持って、いろいろなところで頑張っている人がいると思います。無理に自分の夢を持つ必要はありませんが、「自分はこんなことが好きだから、好きな事が大人になってできたらいいな」でもいいのです。そんな自分なりの夢を持ってほしいのです。夢は人生を 切り拓く原動力となるからだけではなく、どんな夢を持つかによってその人の「生き方」の方向性が決まるからです。夢が見つからないと言う人も、単に「やりたいこと」「興味関心のあること」を考えてみてはどうでしょうか。やりたいこと、興味関心のあることは自分の才能のありかを示し、自分に向いているからこそ「やってみたい」「面白そう」と感じるわけで、もともと自分の中に「芽」のないもの に感心さえ上がってこないからです。ただ、ここで重要なのは「夢」は必ずしも具体的な将来像すなわち職業とか職種、役割に限らなくともよいのです。抽象的なものでいいのです。自分の「夢」を大事に、この吉田松陰の「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、 計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に、夢なき者に成功なし」 と言うことを思い出してほしいのです。それぞれに、人と違う良さを必ず持っています。その良さを大事に、自分の夢をみつけ、20年・30年後の日本や 世界を支える一人一人になってほしいと思います。
また昨日9月1日は防災の日でした。南海トラフ地震の注意喚起の報道もありましたが、日頃から防災の意識も持ってください。これ生徒諸君だけではなく我々教職員にも大切なことだと再確認しているところです。
「理想をもち計画し、実行する」決意を実行に移し、自分の夢に向かって頑張る2学期にしてほしいと思います。
以上、2学期始業式の式辞とします。