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優しさを感じる空間

多可高校に赴任して間もない頃のことです。

 ある授業を見学に行きました。着任して初めての見学でした。授業の終わりの挨拶の後、自分の出した消しゴムの屑を丁寧に机の上で集めてゴミ箱に捨てに行っている人がありました。よく見るとその授業を受けていたほとんどの人が同じことをしていました。自分の出したゴミは自分で始末する。ごく当たり前のことなのですが、とても新鮮で爽やかな光景でした。このような心がけは、決して授業に取り組む姿勢や意欲と無関係ではないと思うのです。さらに、それをクラスのほぼ全員の人が行っている。ふと周囲を見回すと、やはりその教室はなんとも言えず美しい空間でした。床にゴミやほこりなどありません。黒板の溝は隅々までチョークの粉が拭き取ってあります。とても清々しくて、その場で勉強をはじめとしていろいろな活動をしている人が生み出している環境がまた温かく、心安らぐ気がしました。落ち着いて学習に集中できる快適な場所でした。「お互いが、しっかりした目標を持ち、前に進もうとする」ために、集団の中に良い「雰囲気」を作り出すことは必要だと思います。

 誰もが気持ちよく学校生活を送るために、本当の意味での優しさがここにはあると思いました。

 私が小学校時代に読んだ絵本「モチモチの木」の中で、じさまが「人間、優しささえあれば、やらなきゃならねえことはきっとやるもんだ」と言います。本当の意味で皆が優しい心を持っていれば、一緒にいる人の立場や気持ちをよく理解して、一緒に取り組める空間ができます。課題を解決して成果を生み出せる空間ができます。

 多可高等学校には、そのような空間がどこにでもあります。

 

卒業式前後に先生方に送ったものです。

校長から.pdf

卒業式を終えて.pdf