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蛍光X線分析装置の話

 

 

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蛍光X線分析装置

 これらの分析機器が入りました。

この中から蛍光X線のお話をしたいと思います。

蛍光X線分析装置とは・・・試料となる物質にX線を照射することにより発生する蛍光X線のエネルギーや強度から物質の成分元素を分析する装置です。

では今回はオーストラリア50セント・1000円・カルシウム入りお菓子・駒込ピペット・メスフラスコ(茶色瓶)を蛍光X線分析装置にかけてみましょう。

結果は以下の通りになりました。

Cu:73.9%

Ni:25.8%

Al:66.0%

S:16.7% 

 Cl:86.6%

K:7.5%

Ca:2.5%

ピペット

Si:80.2%

Al:7.2%

K:5.3%

メスフラスコ茶色瓶

Si:66.2%

Mn:11.1%

Fe:7.2% 

 たくさんの元素が含まれて色々なものが出来ていることがわかりますね。表に出ている元素はほんの一部です。割合の多いものだけを記載しています。

お菓子はCl(塩素)が多く含まれているのは食塩が使用されているからでしょう。K(カリウム)Ca(カルシウム)もしっかり入っています。

同じガラスでも色が違うと構成成分が違うこともわかります。茶色いガラスは鉄が含まれているといわれています。

今回の分析結果を見ると鉄があります。なので茶色い原因が鉄であることも判明しました。

このように、分析装置を使うことにより、どんなものでできているのかを知ることが可能です。もちろん他の機器や手分析でも様々なことを知ることが出来ます。

化学の面白いところです。

 

 高分子化合物の話

 

 分子量が非常に大きい化合物を高分子化合物(high molecular compound)という。

 「高分子化合物」と言われても想像つかない・難しそう・何それ?というイメージではないでしょうか?では、どんなものがあるのかを表にしたものを下に記載しました。

天然高分子化合物 合成高分子化合物

デンプン・セルロース・たんぱく質・

ゴムなど

合成樹脂(プラスチック)・

合成繊維(ナイロン)・合成ゴムなど

 

どうでしょう?身近なものばかりだと思いませんか?生活していく上で欠かせないもの・自分の体に必要なものが高分子化合物として登場してきます。このように考えると簡単じゃないですか?

では、違う角度から高分子化合物を見ていきましょう。

合成高分子化合物ってつくれるの?

工場でないと合成高分子化合物は作れないというイメージではないでしょうか?ところが実習でも合成高分子は作っているんです。
1年生では・・・ガラスを加工したりしています。ガラス棒を作成したりとんぼ玉を作ったりしています。1年生なので高分子を作るところまではいきませんが、どんなものがあるのかを知り、加工を行っています。
2年生では・・・ナイロン6-6を作成します。ナイロン6-6とは合成繊維のうちの1つです。ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を混ぜるとできるのですが、長い糸のように採取することが難しいのです。
3年生・・・1年2年生で勉強してきたことを生かし課題研究を行っていきます。この課題研究でも高分子化合物について勉強する生徒がいます。例えば・・・オムツの中にある吸水性ポリマーについていろんな角度から考え吸水性ポリマーを作成する者もいます。


ナノチューブ

 

鉛筆の芯は、黒鉛(グラファイト)からできています。この黒鉛は、炭素原子だけからなる六角形の網目状の薄いシートが何枚も重なった構造をしています。
鉛筆の芯は柔らかいのは、何層にも重なっている層がずれやすいからです。
また、この網目状シートは、電気を通すので、つまり、黒鉛も電気を通すことになります。
このシート状の板が円柱状になったものが ナノチューブなのです。
(頂上部は フラーレンの構造)このナノチューブに電気を通すと、ある条件では、先端から電子を出します。これを利用し、現在、液晶に代わる超薄型のディスプレイの研究がなされています。

ナノチューブの模型

この展開図でナノチューブの模型が作れます。フラーレンの模型展開図からも作れます。

ナノチューブの模型展開図

この展開図でナノチューブの模型が作れます。 フラーレンの模型展開図からも作れます。


☆★ここでブレイク★☆  ~ノーベル賞と科学技術~

 

 近年の科学技術の超ビッグニュースは、2019年ノーベル賞化学賞を受賞した吉野 彰氏。1981年、アジア初のノーベル化学賞を受賞した福井 謙一氏を師と仰いでいた。吉野氏はノートパソコンやスマートフォンなどに使われるリチウムイオン電池を発明した。
2010年には有機合成におけるパラジウム触媒を用いたクロスカップリング」に成功した、根岸 英一氏・鈴木 章氏がノーベル賞化学賞を受賞している。
そのことを思うと、 日本の科学技術のレベルがいかに高いかを証明するものであり、 兵庫県の科学技術の中心校・県工にとって、実にうれしいニュースである。

 特に県工 「総合理化学科」 の出発点において、 「理」「化」ともに「めでたい」 というのは実にうれしい。 ノーベル賞に限らず、感性豊かな高校生時代 の過ごし方が 大切であるといわれる。
科学技術に関しては、若いうちから 実験結果に対して、 鋭い観察力とこだわり を 養っておく事が大切である。 実験では失敗することがあたりまえである。極言すれば、 うまくいくほうが珍しい とまでいわれる。 本などの情報と、どうも違うのである。
 しかし、この知識と現実の違いが、 自分を謙虚 にさせ、 その 原因を捜す観察力とチエ をしぼらせることを課してくる。
 実験できる環境がなく「本だけの知識」で 考えることが多い高校生の中で、 多くの時間をかけた 「本格的な実験」に取り組む ことのできる県工の生徒たちは、実に幸せな貴重な体験ができる 存在だと思っている。
 大量の情報が溢れ、知らず知らずのうちに 与えられた情報だけで生活することの多い現代、 主体性を取り戻し、六感ともに研ぎすませておく 環境が整備されている県立兵庫工業高等学校 「総合理化学科」で学ぶ 事を薦めたい。

 


アスピリンの正式名称

 

 
構造式
化学表記法入門A4版123ページ(本校で編集)
アセチルサリチル酸 という名称は、サリチル酸 の H原子 がアセチル基 と置換したという意味の名称である。


サリチル酸 と アセチル基 との組み合わせからは①~⑤ 物質が考えられる。

そのうち、なぜ ① だけが アセチルサリチル酸 と呼ばれるのか・・・・?
多分、化学反応によって、①の物質が簡単に合成されたからであろう。
つまり、サリチル酸 に アセチル基 が置換したという名称ではなく、サリチル酸 を アセチル化 して合成できるという反応から来た便宜上の名称であろう。
1993年のIUPAC勧告では、サリチル酸 に置換基があるときはサリチル酸 の名称を使わないとなった。つまり、アセチルサリチル酸 という名称は確実に消えていく名称なのである。

サリチル酸 の名称は使えないが、命名に使ってよい基本構造は安息香酸、ベンゼン、フェノール であり、その優先順位は、


安息香酸>フェノール>ベンゼン

である。

よって 安息香酸 が基本構造になる。

安息香酸 だと、残った基は アセチル基 ではなく、アセチル基 に -O- がくっついた基、アセチルオキシ基 である。

アスピリンの構造式 
 
 

つまり、アスピリンは、命名上、安息香酸 の H原子 が アセチルオキシ基 と置換したという名称にすればよいわけだ。
よって、名称部分は、アセチルオキシ+安息香酸 となる。位置番号は、安息香酸 の-COOH 基 が優先されるのでアセチルオキシ基 の位置番号は2となる。よって、アスピリンの正式名称は

2-acetyloxybenzoic acid
2-アセチルオキシ安息香酸

 

 

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