総長・校長室

前期終業式―「創進」の精神で自覚と責任を、「カメなりと たゆまなければ ウサギ超ゆ」の気持ちで―(総長式辞、校長挨拶から)(R3.9.29)

 9月29日(木)、2学期制である本校(附属中学校並びに附属高等学校)は、前期終業式を迎えた。三密を避けるために総長・校長室から各HR教室へのWebでの配信によって実施した。

 総長式辞では「創進の精神で自覚と責任をもつこと」について、校長挨拶では「ウサギとカメの話を通して油断せず諦めない大切さ」を生徒たちに伝え、中学校と高校の校歌を清聴した。(式辞及び挨拶の詳細は後に掲載)

 終業式終了後、中学校生徒指導担当の下田先生と養護教諭の前川先生から、コロナ感染症対策について丁寧に説明があり、高校の生徒指導・寄宿舎運営部長の春名先生から、緊急事態宣言解除後の学校生活、寮生活についての話があった。また、高校の表彰式の後、9月末で異動される原田昌弥先生の離任式を行い、本校に対する熱い思いを伝えてもらった。

 生徒には4日間の秋季休業中に自己を振り返り、後期から新たなスタートを切って欲しいと強く願っている。

                              校長 小倉 裕史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 総長式辞

 前期の終業式を迎え、それぞれの学年の折り返し点となりました。 半年間の成績を受け取って、それぞれに喜んだり、反省したりすることでしょう。 これからの4日間でしっかりと振り返って、後期には新たな気持ちで学習とそれぞれの活動に取り組んでください。

  昨日、高校2年生の高大連携授業があり、わたくしも工学部教授として担当しました。 その他に、大学の5つの学部から教員が来て、それぞれの話題で授業をしてくれました。 先生方からは、生徒さんが迎えに来て、授業の司会とあいさつもする、 皆さんの自主性に高い評価をいただきました。 私から、自ら考え、自ら学ぶ「創進」の精神の表れですとお話ししたところ、 県立大学の附属学校の素晴らしいところですねと感心されました。 高校2年生に限らず、中学1年生から、高校3年生まで、 すべての生徒さんが自ら学ぶ学校であることを改めて実感しています。 これからも、「創進」の精神を発揮してくださることを期待いたしております。

  さて、今年度もコロナウィルスの影響を大きく受けています。 幸い、附属学校では、クラスターの発生など大きな感染がおこることなく、 今日にいたっております。 通学範囲が広いこと、バス通学が多く密になりやすいこと、寄宿舎での共同生活があることなど、他の学校とは異なる状況のある本校で 感染防止ができていることは大変すばらしいことです。 生徒の皆さん一人一人の取り組みの成果です。 総長として、たいへんうれしく思っております。 明日には緊急事態宣言が解除され、 10月1日の後期開始とともに、少しずつ規制が緩和されようとしています。 宣言が解除されても、コロナウィルスがなくなるわけではありません。

  10月からは、これまで以上に、 一人ひとりが、高い意識を持って感染防止に努力を続ける必要があります。 まさに、皆さんの「自覚と責任」が問われることになります。 「自覚と責任」覚えてくださっていますか? 附属の生徒として、社会の一員として、自覚と責任のある行動をお願いします。 皆さんが高く評価されている自主性には、自覚と責任が伴います。 本校の「創進」には、責任を伴うことを自覚してください。 これにて、総長式辞といたします。

                                                                                                                 附属学校総長 八重 真治

 校長挨拶

 今年度も新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令などで、本校の特色である海外交流事業ができませんでしたが、前期の半年を振り返ると、文化祭を初め多くの学校行事が実施でき、皆さんの頑張っている姿を見ることができたことは大変うれしく思っています。中学校の修学旅行や高校の研修旅行が延期となるなど、そのたびに行事の計画を見直して先生方にも大変なご苦労をかけています。

 今日は皆さんの前期の頑張りを記録した通知表を手にすることと思いますが、結果を真摯に受け止めて自分の取組を振り返ってください。

 中学生の皆さんは、①知識・技能、②思考・判断・表現、③主体的に学びに取り組む態度の3つの観点を標記した通知表を手にしたことでしょう。評定の点数だけに注目することなく、自分の取り組んできた半年を振り返ってください。

 高校生の皆さんは、先日成績会議で、学習面で大変頑張っている人が多いことに感動しました。一方、残念ながら成績不振で欠点がある人、欠席時数が多い人など、先生方から報告を受けました。定期考査だけでなく、課題の提出や授業態度などにおいて大いに反省すべき人がいるのは残念です。

 さて、ちょうど1年前の前期終業式で、「ウサギとカメ」のお話をしました。覚えている人もいるかと思いますが、ウサギとカメが普通に競争したら、ウサギが勝つのはあたりまえでしょう。「カメなりと、たゆまなければウサギ超ゆ」という言葉があります。ここで、ウサギの気持ち、カメの気持ちを考えてみてください。この「ウサギとカメ」の話は、大事な2つのことを伝えています。

 カメがウサギに勝つなど、本来ありえないと思います。しかし、カメは諦めなかったのです。自分がのろ間だと知っていたからこそ、ウサギが休んでいる間も、休まずコツコツコツコツ一歩ずつ前進したのです。自分の力を知って、最後の目的を達成するまで決してあきらめなかったからこそ、勝ったのです。ウサギはどうでしょうか?カメに負けるはずがないと油断しました。カメをのろ間と馬鹿にしていたかのかもしれません。自分が優れているとうぬぼれていたのかもしれません。うぬぼれと油断によって、結局目的を達成することができませんでした。「油断大敵」とも言われます。ウサギとカメの話は、諦めないことの大切さと、油断やうぬぼれの怖さを伝えています。「カメなりと、たゆまなければウサギ超ゆ」です。一見、力が劣っていると思われるカメであっても、たゆまない努力を続ければ、ウサギを超えることができる。

 私自身、学生時代も教員になってからも、ウサギと思ったことはありません。私よりも成績が優秀な友達はたくさんいましたし、教員としても教科の指導や部活動の指導で私よりも優秀で立派な人はたくさんいました。教員になったころは自分の力のなさに嘆いて辞めようかと思ったこともありました。今では誰も信じてくれませんが、私は実は恥ずかしがり屋で、人前で話すのが本来は大の苦手です。今でも自分はカメだとずっと思っています。負けず嫌いの性格なので、人よりも時間はかかっても、絶対に諦めない、人よりも劣っているなら人の何倍も頑張ろうと思ってきただけです。頑張れば結果が表れ、結果が表れるとそれが自信になります。自分の力を明らかに見て、決してうぬぼれたり油断せずに、謙虚な姿勢と感謝の気持ちを忘れず、コツコツと目的に向かって、一歩ずつでも絶対に諦めずに前進してください。目的が大事ですし、頑張りが自信になれば大丈夫です。

 本校の先生方は、皆さん一人一人の為に、時間や労力を使って温かく応援してくれる素晴らしい学校だと思います。皆さんは、そんな中で目的を持って取り組んで、新たなものを「創造」し、よりよい方向へ「進歩」する校訓「創進」の精神を忘れず、挑戦し続けてください。明日からは他校にはない秋季休業です。この機会にもう一度自己を見つめて、自分の目的は何かをしっかり定めて、後期からまた新たな気持ちで頑張ってくれることを期待しています。

 最後に、明日をもって緊急事態宣言が解除されることとなり、10月から部活動が通常に再開しますが、コロナが収束したわけではありませんので、引き続き感染症対策の徹底をお願いします。

                         附属高等学校長兼附属中学校長 小倉 裕史