総長・校長室

雪景色の中、中高で冬休み前の全校集会ー「日本サッカーの父」クラマーの名言からー(R4.12.23)

 12月23日(金)、今朝は県大附属は雪景色の朝を迎えました。中学生が青空コートに「祝積雪」と足形で文字を書いたり、高校生は早く登校した生徒は新雪を触ってはしゃいでいました。寒い中、冬休み前の最後の登校となりました。

 明日から例年よりも長い冬休みが始まりますので、感染症対策で中高別々で時間差を設けて、中学校は夢造館で、高校は体育館で全校集会を行いました。(本校は2学期制のため今日は終業式は実施せず)

 夢造館は暖房がありますが、体育館は寒いため急遽授業の空いている先生方と一緒に石油ストーブを運ぶという状況でしたが、若干暖かい中で実施しました。校長講話の後、中学生は29人、高校生は16人の表彰式(口頭紹介11人を除く)を行い、様々な活動で頑張ってくれたことをうれしく思います。

 中学生も高校生も、例年よりも様々な学校行事が実施でき、頑張っている姿を見ることができた1年だったと思います。三者懇談を終えて、明日からの冬休みを、目的を持って大事に過ごしてほしいと願っています。

 高校3年生は、1月の大学入学共通テストに向けて、自己との戦いで最後の頑張りを期待しています。

 

【校長講話の概要】

 今年もコロナ禍の中でしたが、これまで以上に様々な行事が可能な限り実施でき、皆さんの活躍した姿もたくさん見ることができました。

  中学校は、今年度は、9月に3年生の修学旅行が、3年ぶりに予定通りに3泊4日で69名全員で無事に実施することができました。普段できない様々な体験をして、解散式で「楽しかった人?」と聞くと、全員の手が素早くあがりました。生徒自ら、実行委員の仲間への感謝の気持ちをみんなで伝え、教職員に対しても全員で「ありがとうございました」と思いを伝えてくれた姿には感動しました。さすが3年生だと思います。3年生は、FIRST LEGO League Challenge(国際的なロボット競技会)で全国大会出場を果たしたり、はりま漫才グランプリで「空想ロケット」が最優秀グランプリに輝いたり、2年生は先輩に続いて科学の甲子園ジュニア全国大会を果たし、1年生を含めてアートフェスティバルでの頑張りは素晴らしかったと思います。

 高校は、3年生は、いよいよ来年は新しい自分の決めた進路にはばたく時です。最後まで諦めずに頑張ってください。進路の決まった人も、まだの人を応援しつつ、今自分ができることを考えて過ごしてください。2年生は、高校の中核として本気で自分の進路を目指して頑張る年になります。1年生は、それぞれのコース選択で、本格的に自分の進む路を歩み始める年になります。1年生でしか学ばない教科も、最後までしっかり頑張ってください。

  さて、先日まで、サッカーワールドカップが行われ、決勝も素晴らしい試合でした。日本はベスト8には進めませんでしたが、ドイツやスペインを破った活躍は素晴らしかったと思います。今ではこのように活躍している日本サッカーですが、「日本サッカーの父」と言われる人を知っていますか。デットマール・クラマーというドイツ人です。日本サッカー界初の外国人コーチで日本代表の基礎を作り、日本サッカーリーグの創設にも尽力した人です。

 スマホで「日本サッカーの父」と検索すれば、クラマーの多くの名言が出てきますので、是非興味ある人は見てください。今日は、そのクラマーの話をします。

 さて、今から60年前の昭和30年代前半の日本のサッカーは暗黒の時代で、国際試合で負けが続き、アジアで最も弱いチームでした。1960年のローマオリンピックには予選敗退で出場できず、1964年の東京オリンピックは地元で出場できましたが恥ずかしい試合はできないということで、サッカー協会はサッカー先進国の西ドイツに協力を求め、デットマール・クラマーが日本代表チームを指導することになりました。

 日本代表チームは西ドイツに向かいましたが、クラマ-は日本選手に基礎力が無いことと、その自覚がないことを見抜いて、キックの練習だけをさせたようです。日本チームの監督は、「お金と時間を使って西ドイツまで来ながら、キックの練習だけでは時間の無駄だ。もっと別の高等戦術を知りたい。」と言い始めたようです。クラマ-は、自ら模範を示し、「正確に」と何度も注意しながら練習を続けさせました。クラマ-のキックしたボールは20m先の目標に正確に一直線に飛んで行ったが、日本選手は誰一人できなかったようです。

 クラマ-は基本の大切さを、このように語っています。

 「建築物は、きちんと基礎を固めてこそ、その上に立派なものが立つ。ロケットはしっかりした発射台があってこそ、遠くに飛ばすことができる。基礎がしっかりしていないものは、いつかは崩壊する」

 必要な時に、必要な場所へ、正確にボールをパスすることができなかったら、どんな戦略も成り立たない。「ボールコントロールは、次の部屋に入る鍵だ。サッカーという競技では、この鍵さえあれば、何でもできる。」と言っています。1960年に来日したクラマ-は、「サッカーの上達に、近道はない。不断の(絶え間なく続く)努力だけである。」と、選手達に言い続けて、ひたすら練習を促して、名言になっています。

 日本がアジアのチームに勝てるようになってきたのは、3年くらい後からで、前回の東京オリンピックでは、強豪アルゼンチンを逆転で破って、ベスト8入りを果たしています。次の、1968年のメキシコオリンピックでは、サッカー大国のフランスも破り、銅メダルを獲得しています。

 日本のサッカーを、大きく生まれ変わらせたクラマ-は、「日本サッカーの父」と慕われ、その思いが今も引き継がれていると思います。基礎をおろそかにせず、絶え間ない努力の大切さを教えてくれています。

  明日から例年よりも長い冬休みになりますが、この1年間の行動を見直す機会にするとともに、新たな1年の目標をしっかりと決めて欲しいと思います。

 昨年にも言いましたが、「一年の計は、元旦にあり」と言われます。1年間の計画、1年間の目標は、年初めの元日の朝である元旦にしっかりと、心に刻みましょう。「今年の目標は〇〇する!」「今年は、●●を実現する!」など。

 新型コロナウイルス感染症は、第8波が訪れています。休み中も、三密対策を徹底して、マスクの着用や手指消毒など感染症対策を徹底してください。健康に気を付けて、「自覚と責任」ある行動で過ごしてください。また新年の1月10日にお会いしましょう。

                                          校長 小倉 裕史