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人と自然科 ひとはく連携セミナー4回目 鳥たちの多彩なコミュニケーションについて学ぶ

 9月20日(金)人と自然科1年生学校設定科目「人と自然」の授業で、今年度第4回目となる「ひとはく連携セミナー」を行いました。

 人と自然科教育課程表はこちら.pdf

 有馬高校人と自然科と県立人と自然の博物館の間では生徒のセミナー受講について協定を結んでおり、年間8回、県立人と自然の博物館を訪れ、博物館の専門員から、各分野のユニークかつ専門的な講義を直接受講することができます。前回第3回目も高橋 鉄美研究員より、『タンガニイカ湖での調査』をテーマに古代湖に住む魚の生態やそれを通した進化について講義をいただきました。

 ひとはく連携セミナー3回目 アフリカの古代湖の魚から進化について学ぶ・・・に関する記事はこちら

 第4回目のセミナーは太田菜央研究員より『鳥たちの多彩なコミュニケーション』と題し講義をいただきました。

 皆さんも毎日、通勤通学の途中や公園での散策などの時に鳥たちの鳴き声を耳にすると思います。またTVの特集などでも、鳥たちがダンスをしたり羽を広げたり、つつき合ったりする姿を見たことがあるのではないでしょうか。このような生き物の行動が、どのようになぜ行われているのかを生物学的な視点から調べる学問を『動物行動学』と言います。早速先生からは鳥たちが繰り広げる行動の意味についてたくさん紹介いただきました。

 先生のお話によると、鳥たちコミュニケーションを行う行動とヒトの言葉とは共通性があるとのことで、例えば鳥のさえずりは学習によって獲得されること、そしてその行動はお手本を聞いて練習をすることが必要、さらに音の並びには規則性があり、私たちが話す文法とよく似ていることなどが挙げられます。そこに手足や胴体、頭など体の一部を動かすことで情報の送受信を行う鳥もおり、このような行動を『マルチモーダルコミュニケーション』と呼ぶそうです。

 具体的な一例として『ルリガシラセイキチョウ』の求愛行動について説明いただきました。この鳥はオス・メスともに歌とダンスで求愛行動をとるそうで、巣材を咥えながらまるでタップダンスをしているかのようにジャンプを繰り返し、歌を歌います。そしてパートナーが近くにいるときにはジャンプのテンポが増え、歌の量が減るという行動を見せるそうです。このような一例のように、鳥たちは多様な信号を使ってオスとメスが双方向的にコミュニケーションをとっているとのことです。

 

 また、鳥たちが最もコミュニケーションツールとして活用しているのは音ですが、これは伝わる範囲が広く、姿が見えなくても視界が悪くても伝わるという利点があります。その音は『声』だけではありません。例えば『アカオタガモ』という鳥はくちばしを使ったドラミングを行ったり、『ヤシオウム』という鳥は、木の実などをたたいて音を出します。さらに『キガタヒメマイコドリ』や『レンジャクバト』などの鳥は羽を震わせたり大きく羽ばたくことで音を出し、警戒音を仲間に伝えるという行動をとります。本当に鳥の行動は奥が深いですね。生徒はノートやタブレットにメモを取りながら、真剣に講義を聞いていました。

  最後に先生から、『発声行動以外のコミュニケーションの研究はまだまだ発展途上。録画や解析などの手法が発展してきた現在、これから様々なことが解明される可能性がある』とのことでした。そして『オウフクチョウ』のはく製も間近でみせて下さり、生徒は熱心に観察していました。講義後の感想を見てみると、かなりの生徒が興味を持って講義を聞いていたようで『通学中や屋外での活動中に鳥を見つけたら、気にして観察したい』という声も多かったです。太田先生、興味深い講義をありがとうございました。

 

 さて、次回第5回目のひとはく連携セミナーは、10月4日(金)『種子散布の生態学』と題して、藤井俊夫研究員より、植物が生息域を広げていく技ついて学ぶ予定です。次回の講義も楽しみなテーマですね。