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理科の散歩道 浮沈子

 浮沈子
 青少年の科学の祭典が毎年各地で開かれていますが、その中で子どもたちに人気のあるコーナーの一つに「浮沈子」があります。兵庫県の物理の先生のオリジナルで魚の形をした醤油差しに重りとしてナットを付けたものがよく知られています。作り方は極めて簡単で、ペットボトルにほぼいっぱいの水を入れ、その中に沈まないように空気の量を調節した重り付き醤油差しを入れます。ペットボトルのフタを閉め、両手でギュッと横から押してやると醤油差しが沈んだり、浮いたりを繰り返し、ちょうど魚が上下して泳いでいるように見えます。小さな子どもにはとても人気があり、青少年の科学の祭典以外でもいろいろなところでよく見かけます。これは「パスカルの原理」という水の圧力に関する性質を利用したものです。水のような圧力をかけてもほとんど圧縮されない液体の場合、それが入った容器に圧力をかけると、その力は等しく全体に伝わっていきます。このため、圧力をかけたときに容器に穴が開いていると、そこから勢いよく水が飛び出していきます。おもちゃの水鉄砲もこの原理を応用したものです。「浮沈子」の場合は、圧力をかけたときに、醤油差しの中の空気が圧縮され、その分水が入って重くなるために沈んで行きます。何となく見ていると不思議な現象ですが、原理がわかってみるとなかなか面白いものです。これと似たような性質に「アルキメデスの原理」というものがあります。水の中にある重さのものを沈めるとき、それが押しのけた水と同じ重さの浮力を受けます。アルキメデスが金の王冠が本物か偽物かを調べるのに、お風呂に入っていてあふれ出したお湯からこのことを思いついたのは有名な話です。「・・・の原理」や「・・・の法則」というと何だか難しいことのように考えてしまいますが、身近な現象の中からいろいろな発見があるかもしれません。