校長室より

理科の散歩道3

相生の松 雌雄同株と雌雄異株
 今は9月ですが、6月といえばジューンブライドです。結婚式と言えば,「高砂や~この浦舟に~」の謡曲「高砂」。
 謡曲発祥地の高砂市高砂神社には「相生の松」が祀られています。今の高砂神社にある相生の松は五代目で、表面をよく見ると、赤っぽいアカマツの部分と黒っぽいクロマツの部分がそれぞれの色でよくわかりますし、Y字型に分かれたところから上の部分はアカマツ、クロマツにそれぞれはっきりと分かれているのがわかります。
 この「相生の松」は、山地に生えるアカマツの種が川の流れに乗って,海辺のクロマツと出合い、たまたま同じ場所で芽を出し、成長するにつれてお互いがくっつき合い、一つの幹のように見えているものです。そして上の部分はY字型に分かれて、それぞれアカマツ、クロマツとして成長しているのです。
 マツは,雄花と雌花が同じ木に咲き、このような植物を雌雄同株といいます。枝の先端には雌花が、付け根には雄花が咲き、風によって花粉が運ばれ受精します。雌雄同株の植物にはクリやクスノキなどもあります。
 雄花と雌花が別の木に分かれて咲く植物もあります。雌雄異株と呼ばれ、イチョウやキウイフルーツなどです。秋,イチョウの木の下にギンナンが落ちていると臭いが大変ですので踏まないように注意しますが,これは雌株だけで雄株ではこの心配はありません。
 高砂の「尉と姥伝説」の伝説では、一本の根から雌雄の幹が左右に分かれた松が生えたと言われていますが,今の「相生の松」は大変珍しい偶然が作ったものですね。
自然の偶然は,夫婦仲良く相手を思い,末永く暮らすという、人と人との繋がりの大切さを私たちに教えてくれています。