理科の散歩道5
オランダの涙 簡単に出来る強化ガラス
ガラスというと「割れやすいもの」,「壊れやすいもの」というイメージがあります。私もガラスのコップを落として割ってしまうことがよくあります。この欠点を改良して作られたものが強化ガラスです。強化ガラスには次の3種類があります。一つ目は「物理強化ガラス」です。これはガラスが軟らかくなる温度まで十分に加熱し,その後急に冷やすことにより作られます。二つ目は「化学強化ガラス」です。ガラスはその成分中にナトリウムを含んでおり,表面のナトリウムをそれよりも大きなカリウムに置き換えたものです。三つ目は「積層強化ガラス」です。これは性質の異なるガラスを重ねることにより作られています。
ここで物理強化ガラスを作ってみましょう。材料は並ガラス(ソーダ石灰ガラス)のガラス棒(直径6mm程度)です。必要な道具はガストーチ,水の入った容器,ビニール袋,ハンマー,ペンチです。
作り方は次の通りです。まず,ガラス棒を水平な状態に固定し,これを横からガストーチで加熱します。一定の速度でガラス棒を回転させ,溶けたガラスがすぐに落ちないようにします。そして十分加熱して真っ赤な状態になったら自然に水中に落下させます。うまくいくと直径1cm程の大きな涙状のかたまりができます。4~5cm程の長いシッポもできますが,これを折らないように十分気を付けて下さい。
さて,この涙状のかたまりは「オランダの涙」と呼ばれています。何ともロマンチックな名前です。この「オランダの涙」が強化ガラスであるということを実験で確認してみましょう。最初にハンマーで上から叩いてみます(このとき,シッポの部分を叩かないように十分気を付けて下さい)。強化ガラスになっているためびくともしません。次にビニール袋に入れ,シッポの部分をペンチで折って下さい。突然爆発したように,粉々になります。
この現象は流動性をもったガラスのかたまりが急に冷やされることにより,表面と中心の収縮に時間差ができるために起きます。先に冷えた表面を中心が引っ張りながら収縮するために,表面に多少傷がついても中心が強く引っ張ることにより傷が広がらず,強く割れにくくなります。
ここで注意することは,熱したガラスは高温であるためすぐに触らないことこと。そしてできあがったガラスを叩く際,くれぐれもハンマーで手を叩かないように,またシッポは必ずビニール袋の中で折って下さい。これらの実験は学校の先生の指導を受けて行って下さい。くれぐれもケガをすることのないように十分気を付けましょう。