校長室より

理科の散歩道7

毒 「食い合わせ」とは

 「食い合わせ」という言葉を辞書で引くと、「2種類以上の特定の食物を同時に食べて中毒を起こすこと。また、その食物のとり合わせ。」(旺文社 国語辞典)とあります。昔の人はいろいろな食い合わせを残しています。いろいろと調べてみました。代表的なものには次のようなものがあります。
  「ウナギ-梅干し」、「スイカ-天ぷら」、「ニンジン-大根」、「タコ-ワラビ」、「そば-タニシ」、「カニ-氷」、さるかに合戦からきているとは思えませんが、「カニ-柿」というのもあります。
 実に様々な組み合わせがあります。ただ、この21世紀の世の中にこれらが残っているということは何か理由があるはずです。これらの組み合わせをよく見てみると、腐りやすいものが含まれていたり、「スイカ-天ぷら」のように「水-油」といった混ざりにくいものになっている場合が多いということです。昔は冷蔵庫などもなく食品の保存状態はよくありませんでした。食品自体が腐っていたり、体力が落ちているときに混ざりにくい組み合わせのものを食べて体調を崩すことは大いに考えられます。ただ食品が新鮮で体の調子も十分なときに、これらのものを食べて「毒」ができるということはありません。
 ところが本当に毒ができる食い合わせがあります。それはジメチルアミン(漁港などでよく嗅ぐ魚の匂いのもと)と亜硝酸(野菜などに含まれる成分)の組み合わせです。これらを一緒に食べると、胃の中の酸性の条件下で、発ガン性や急性毒性の高いジメチルニトロソアミンが生成します。サンマの塩焼きと大根おろしの組み合わせを考えてみます。サンマ、大根はそれぞれジメチルアミン、亜硝酸を成分として含んでいるので大変です。しかし、このジメチルニトロソアミンの生成を止める特効薬があります。それがビタミンCです。実は生の大根にはこの成分も多く含まれており、大根おろしを食べればこの毒の生成が抑えられます。ビタミンCは果実や緑黄色野菜に多く含まれています。食事のときにこれらのものを食べることは、ガンを予防するためにも大変効果的かも知れません。