校長室より

校長室より

「キホン」~令和5年度 第1学期終業式にて~

 みなさんおはようございます。本日よりサッカー女子ワールドカップが開催されますが、今日はスポーツでよく言われる基本についてお話ししたいと思います。

 「基本や基本。」私が部活動顧問の時、よく言っていたことです。「反復練習で忍耐力と基本を身に付ける。できなければまた基本に戻る。その繰り返しで体に覚えさせ、自然に動けることが大切である。」と。基本には技術だけではなく、「挨拶をする、返事をする、嘘をつかない、感謝する、道具を大切にする。」などもありますが、これらは、社会で生きていく上での基本的なルールです。人と人との間では、当たり前のことです。

 私は長い間にわたって、高校生に接してきました。今も昔も高校生は純真で、素晴らしい可能性を持った存在です。けれども、私が今の高校生を見て一番残念に思うことは、弱々しさが目立つということです。精神面でも身体面でも、そのように感じます。

 人は時代の流れの中で生きていますから、社会の変化につれて高校生も変化してきたのは当然です。高校生は大人の世界を映しているとも言えます。そういう意味では、大人一般とも共通することです。

世の中には、平気で嘘をつく人がいます。言い逃れをしてごまかそうとする人がいます。他人への配慮が乏しく自己中心的な人がいます。大人の中にもそのような人がいます。自分に対して甘い人です。

 生きる力という言葉がしばしば使われていますが、私は、社会の基本的なルールの本旨(本来の趣旨・意図のことです。)それを理解し、しっかりと身に付けることこそが、生きる力であると考えています。そういう意味では、本校のリーガルマインドは基本であり、生きる力であると思います。

 そして、自分のことは自分でするということが大切です。自分に与えられたことを、弱音を吐かずにやり抜くことです。世の中はあまりにも過保護な世界になっています。他人に手助けしてもらうことを当然だと考えている人がいます。親切であることと過保護であることとは全く違うのですが、そのことに気づいていない人がいます。過保護から抜け出すには、自分で責任をとるということしかありません。

 今日は終業式です。学校生活の区切りの日です。自分自身を振り返ってみてください。自分自身の中に巣くっている甘え心に気づきませんか。自分のことは自分でするのだという気構えを、改めて強く持ってほしいと思います。その気持ち一つが、勉強への取り組みも、部活動の姿勢も、社会生活する考えや態度も変えていくのだと思います。一歩一歩、大人の世界に仲間入りしようとしている君たちにとって、“甘え心を捨て去ること”そして“基本に徹した生き方をすること”それが必要だということを、強く言いたいと思います。そして、充実した夏休みになることを願っています。

校長 塙 守久