校長室より

校長室より

平和の有難さ ~2学期始業式にて~

 

 皆さん、おはようございます。7月下旬からの長い夏季休業期間が終わりました。正規の授業がないというだけであって、補習、部活、模擬試験などで、普段と変わらないような生活をした人も多かったことと思います。事故や怪我なく無事に過ごせたでしょうか。

 1学期の終業式では、「甘え心を捨てること」「基本に徹すること」の話をしました。甘え心は払拭できましたか。基本は身に付きましたか。それができた人は、必ず2学期にグングンと成長します。楽しみにしておきましょう。

  

 さて、毎年のことですが、8月は、戦争と平和や、人の命のことを考える機会が多くありました。8月6日は広島に原子爆弾が投下された日、9日は長崎の日、そして15日は終戦の日と、連日、新聞やテレビで関連のニュースや番組 が多く取り上げられました。

 私は、この時期に必ず「火垂るの墓」という映画を観ることにしています。野坂昭如の原作で、戦時中、神戸を舞台に子供の兄と妹だけで生き抜こうと、必死で生きたが、はかなく二人とも亡くなってしまう物語です。この映画を観る度、涙が流れます。涙する度、生きていることを実感します。生きていることを実感する度、平和の有難さを感じます。

 第2次世界大戦によって、心ならずも犠牲になった方々が大勢おられました。日本では300万人以上の方が亡くなられたと言われています。その中には君たちと同世代の若い人たちも多数含まれていました。戦争末期、片道限りの特攻隊が組織され、出撃した特攻隊員の多くが20歳前後の若者でした。陸軍少年飛行兵学校や予科練習生を経た少年、学徒出陣で動員された大学生もいました。戦争の時代と言える昭和初期に育ち、"お国のために"戦争におもむくのは当然、戦場で命を散らすのは名誉なことだという価値観の中で生きていました。特攻隊員になることは志願制とされましたが、そこには命令や指名もあり、拒否することはできませんでした。そのなかで、万に一つも生き残る可能性のない特攻を前に、苦悩したり疑問を感じたりした若者も少なくなかったでしょう。痛ましいことです。

 戦争は、まともな人間らしさを持つことが許されません。ですから、人間らしさを保てる平和な時代に生きている私たちは、次の世代に歴史を語り継ぎ、同じ過ちをせず、平和の大切さを伝えなければなりません。

 今、ウクライナでは、ロシアの侵攻による戦争が1年半も続いています。多くの命が奪われています。ウクライナ国民は、いつ平和が訪れるのか、いつ日常が戻ってくるのか、不安な日々を過ごしていることでしょう。同じ時代に生きている私たちは、しっかりと関心を持ち続け、ウクライナが平和へ近づくため、何らかの支援をすることが今後も大切です。

 

 平和な日本といえども、コロナの第9波が必ず来ると言われています。9度目の波ということで「またか」と辟易している人もいるかと思います。しかし、私たちひとり一人の命は、平和が繋いだ大切な命です。その時には、人間らしさを忘れず、防止対策を徹底して、ひとり一人の命を守っていきましょう。今日は防災の日です。災害伝言ダイヤル覚えていますか?私の身長、171です。

 この2学期に君たちひとり一人の命が、より一層輝くことを願っています。

 以上で、校長の話を終わります。

 

校長 塙 守久