1学期始業式式辞

皆さんおはようございます。新年度を迎えました。5月からは元号が「令和」に替わります。さまざまな意味で大きな節目を迎えます。皆さんも、3年生は最高学年、そして受験生という自覚、2年生は学校の中核、そして先輩という自覚を持ち、気持ちも新たに今日を迎えていることと思います。大切なのは、思うことではなく、"Practice makes perfect." つまり思うことを実践し継続して力に変えること、自己の成長に結びつけることです。このことを強く肝に銘じてください。


ところで、唐突ですが、質問します。皆さんの夢は何ですか。


皆さんは『下町ロケット』というテレビ番組を知っていると思います。この『下町ロケット』のモデルと言われているのが植松努さんです。植松さんが社長を務めるのは北海道にある社員数20名ほどの町工場「植松電機」です。この「植松電機」は2004年からロケットの研究開発に取り組み、現在、国内外の研究者が集まる宇宙開発の拠点になっています。ロケット以外にも人工衛星の研究開発などにも取り組んでおり、無重力状態を作り出す実験装置も完成させたそうです。その植松さんですが、母親から「思いは招く」という言葉を繰り返し教えられたそうです。これは「思ったらそうなるよ」という意味で、思い続ければ必ず夢は実現するということを教えられたといいます。


植松さんは、「やったことのないことは、やれないと思い込んでいるだけ。ものづくりの基本は諦めずに続けること。諦めたりやめたりせずに考えるんだ。考えるのを決してやめちゃいけない。やめない限り、夢が潰えることはないんだから」と語っています。なるほど、その通りですね。また、植松さんは、「どうせ無理ではなく、だったらこうしたらできるかもしれないと頭を切り替えて考え続けることで道は拓ける」とも語っています。心が折れそうな時、植松さんを支えてくれたのが、ライト兄弟であったり、エジソンであったり、それらは皆、植松さんが出会った本の主人公です。その意味では、読書好きが功を奏したとも言えそうです。


さて、皆さんは、する前からできない理由をいくつも考えて「どうせ無理」と諦めていませんか。「もう無理」と勝手に限界を決めつけていませんか。楽な方に逃げていませんか。自分自身に問いかけてください。皆さんには無限の可能性があります。そして、その基盤をなす優れた能力もあります。私達は繰り返しの利かない一回性の人生を生きています。悔いのないように、「思いは招く」という言葉を心に刻んで、それぞれの夢を追い求め続けてほしいと思います。そして、一回性の人生を、世のため人のために貢献できる人間であってほしいと願っています。ちなみに、日本には古く『万葉集』の時代から言霊信仰、つまり言葉に発することそのままが実現するという考え方があります。その意味では、思いを繰り返し言葉に発して招いてほしいと思います。


今日は皆さんに、"Practice makes perfect."、「思いは招く」という言葉を伝え、今年度の皆さんの大いなる飛躍と成長、そして頑張りを期待して式辞とします。