2学期終業式式辞

コロナ禍に翻弄された令和3年、そして2学期が終わります。皆さんにとってどんな1年、どんな2学期でしたか。

ところで、幕末の志士の一人である吉田松陰の言葉の中に「ごくにありては、ごくでできることをする」というものがあります。「ごく」とは、獄中のことです。1853年、アメリカの黒船が下田に来航した時、松陰は、当時の鎖国の禁を破り、密航を図ろうとして失敗し、捕らえられて山口県の萩に投獄されました。その時の言葉であると言われています。

そもそも松陰が鎖国の禁を破った理由は、日本が世界の中で発展していくためには、外国の状況を知っておかなければならないという、将来に向けた野心から生まれた行動でした。松陰は、獄中であっても、限りある時間を一時も無為に過ごしてはならないと、自ら学ぶとともに他の囚人やまたその監視の役人にまで、中国の古典である『論語』や『孟子』を講義したと言われています。そして、その影響を受けた人たちが、後の日本を創り上げていくことになります。

松陰の発した言葉には、彼の思想的信条がよく表れており、時代を超えて人生を豊かにするための教訓が数多くありますが、先の言葉には、万人に等しく与えられている時間をもっと有効に使うべきだという教えが込められています。

時間は有効に活用すれば精神的にも、物質的にもその人の人生に大きくプラスになります。しかし、時間を自分のものとして活用するには、それなりの意思と努力が必要です。人はとかく困難を避け、安きに流れやすいものです。困難なことから何かしらの理由をつけて一時的に逃避したい、回避したいという心理が働きますが、それはいつか自分に返ってきます。その代償は必ず自分で払うことになります。

『日本書紀』に引用されていることで知られる中国の書物『淮南子』の中に「学ぶに暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦た学ぶ能はず」という言葉があります。勉強する時間がないという人は、時間があっても勉強しないという意味ですが、皆さんの実態はどうでしょうか。過去は過去として、大切なのは今後です。

さて、私たちは繰り返しの利かない一回性の人生を生きています。時間とは貴重な財産であり、それを持ち腐れにさせないためにも、また後悔しないためにも、やるべきことに順位をつけ、確実にやり切る、この冬休みから、ぜひこれを実践してほしいと願っています。

3年生は受験に向けた最後の追い込みです。現役生は今も、そして今からでも伸びます。模試でE判定でありながら合格した人を私は数え切れないほど見てきました。最後まで諦めず、やるべきことを確実にやり切ってください。

最後に、明日から冬休みに入りますが、オミクロン株が拡大を見せています。不要不急の外出、3密の場所への出入りは避け、やむなく外出した場合も、手洗い・消毒とマスクの着用を徹底し、皆さん一人一人が新型コロナウイルス感染予防に努めてください。

それでは、1月11日にこうして全員が元気に登校してくれること、令和4年が皆さんにとってすばらしい1年となることを祈念して、式辞とします。