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校長室の窓から
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2021/01/14

科学の探究 その18 PCR検査

| by 校長

科学の探究 その18 PCR検査

 新型コロナウィルス感染症の流行によって、ほぼ全ての皆さんが聞いたことがあるPCR検査について、詳しく調べてみましょう。
 PCRは、ポリメラーゼ・チェーン・リアクションの略語で、ポリメラーゼ連鎖反応ともいいます。1983年にアメリカのキャリー・マリスによって発明された技術で、この発明により、彼は1993年にノーベル化学賞を受賞しました。DNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きを利用して、一連の温度変化のサイクルを経て任意の遺伝子領域のコピーを指数関数的に増幅することで、少量のDNAサンプルからその詳細を研究するために十分な量にまで増幅する方法です。新型コロナウィルスに感染した人は、唾液等にウィルスが含まれるのですが、極めて微量なため、そのままでは検出できません。その微量なウィルスの遺伝子をPCRを用いて増幅させて、陽性か陰性を判定するわけです。
 何か難しそうに感じるかもしれませんが、もう少し原理を説明します。まず4つの試薬を用意します。
① 増幅対象(テンプレート)のDNAサンプル 
これが元となり、これを増幅する。少量しかなくても大丈夫。人の鼻の奥や唾液から得られる、検体を用いる。
② 大量のプライマー(標的DNA領域に相補的な配列を持つ短い一本鎖DNA)
  増幅させて新たにつくるDNAの起点となるもので、これがないとスタートできない。コロナウィルスがもつ遺伝子そのものを用いる。
③ DNAの構成要素である遊離ヌクレオチド
  DNAを構成する3つの物質である糖、リン酸、塩基(4種類)が結合した、DNAをつくる材料。
④ DNAポリメラーゼ
  増幅対象のDNAを鋳型として、それに相補的な塩基配列を持つDNAを合成する酵素。
 ①~④を混ぜて、反応させます。①に新型コロナウィルスが含まれるときは、②がくっついて、③を材料にして、④がウィルスの遺伝子を増幅させます。家を建てることに例えると、①が設計図で、②が家の柱、③が屋根とか壁で、④が大工さんということになります。反応を進めるために必要なものは、温度の上げ下げだけで良いので、簡便な方法といえます。
 この方法は新型コロナウィルスに感染しているかどうかを調べるために、世界中で使用されています。他にも古代のネアンデルタール人の骨や、マンモスの凍結組織からDNAを取り出して復元したり、いわゆる出生前診断や、がんの遺伝子分析に利用されたり、応用範囲が広い手法です。約100年前に世界中で大流行した「スペインかぜ」は、当時PCR検査もワクチンもありませんでしたが、約2年ほどかけて終息しました。今回のコロナウィルスも、もうぼちぼち終息するコロナのですが。


 


14:37
2021/01/12

物事の見方、考え方  その25  大学スポーツ

| by 校長

物事の見方、考え方  その25  大学スポーツ

 高校生の皆さんの中には、大学に進学して自分がやってきたスポーツを続けていきたいと思っている人がいると思います。今回は大学でのスポーツ事情について、考えてみたいと思います。
 1月11日、ラグビーの大学選手権決勝が、東京国立競技場で開催され、天理大学が早稲田大学を55-28で破り、初優勝を遂げました。天理大学ラグビー部は関西では強豪大学ですが、全国優勝はなかなかできませんでした。また今年はコロナ禍で、寮でクラスターが発生して、寮を閉鎖して練習できない時期が続きました。それを乗り越えての優勝ですから、喜びも大きなものがあったと思います。監督やキャプテンのインタビューを聞いていても、多くの人たちの支えと、選手たちの努力の成果が伝わってきました。
 今回は第57回ということですが、そのうち早稲田大学が16回、明治大学が13回等、いわゆる「関東勢」が52回優勝しており、「関西勢」は同志社大学の4回と、今回天理大学の1回を加えて5回しかありません。このような状況になっている最大の理由は、関東の大学が強いため、有力な選手が進学先として関東の大学を選んでしまうためです。その最も典型的な競技が、駅伝です。
 大学駅伝は、大きな大会が3つありますが、毎年1月2日、3日に行われる「箱根駅伝」が飛び抜けて有名です。しかし、箱根駅伝は全国大会ではありません。関東大会です。関東の大学だけが出場することができるので、箱根を走りたい高校生はみんな関東の大学に進学していきます。実際他の2つの大学駅伝でも、様々な地域から大学が出場しますが、上位に入るのは箱根駅伝で有名な関東の大学ばかりです。今年の箱根駅伝では、創価大学(もちろん関東の大学です ああそうか)がよく頑張りましたが、終わってみれば強豪である駒澤大学の優勝でした。
 力のある選手が強豪チームを目指すのは当たり前で、他の競技でも、また大学に限らず中学や高校、実業団のチームでもその傾向があります。しかし毎年同じようなチームが優勝争いをするということは、その競技の発展のことを考えると、いかがなものか、という気もします。今回の天理(てんり)大学ラグビー部の優勝は、千里(せんり)の道も一歩からということを教えてくれました。

 


18:03
2021/01/04

現在に生きる  その19  渋沢栄一

| by 校長

現在に生きる  その19  渋沢栄一

 皆様、新年明けましておめでとうございます。2021年が始まりました。先が見通せない時代が続いていますが、少しでもより良い社会になっていくことを願わずにはいられません。私事ですが、私もまもなく還暦を迎え、今年の3月で定年退職となります。教員としての最後の2年間を、この伝統ある県立加古川西高等学校で過ごすことができ、大変ありがたく思っています。残りの3ヶ月を全力で勤めていくつもりです。
 さて、年頭に際して「渋沢栄一」の「論語と算盤」を取り上げます。渋沢栄一は、21年のNHK大河ドラマの主人公であり、その肖像が次の一万札に使用されます。幕末から明治の時代に、数多くの会社、事業を立ち上げ、日本の資本主義の父とも呼ばれた人です。渋沢は、商売を行う際にも、論語に書かれている内容を重視していました。著書である「論語と算盤」は当時の文語調で書かれているため、現在の我々からすると、とっつきにくいところがあります。ちくま新書から、守屋淳さんが「訳した」「現代語訳 論語と算盤」が出版されていますので、これを元にします。
 「論語と算盤」には、私が2学期の終業式で生徒の皆さんに話をした「これを知る者は、これを好む者にしかず これを好む者は、これを楽しむ者にしかず」が取り上げられています。「物事を理解し知っている者は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる人には及ばない」という意味でした。また、悪い習慣づけが続くと、溌剌とした元気がなくなってしまう。このため、昔の人もこんな教えを述べている、として「殷(いん)王朝を創始した湯王(とうおう)は、自分の顔を洗うタライに『1日を新たな気持ちで、日々を新たな気持ちで、また1日を新たな気持ちで』と刻み込んでいた」という話を紹介しています。
 物事を好きになり、それを楽しめる境地に至るようにしよう。毎日の日々の取り組みを、新たな気持ちで頑張っていこう。新年にあたり「論語と算盤」から2つの話を取り上げました。そう言えば、そろばんは使わなくなりました。教室でもこくばんを使用することは減っています。このまま、はいばんになっていくのでしょうか。


 


11:32
2020/12/28

物事の見方、考え方  その24  煉獄さんの母親

| by 校長

物事の見方、考え方  その24  煉獄さんの母親

 やっとこさ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」の登場です。今年大ブレイクしましたが、知らないと読めない漢字がたくさん出てきます。週刊少年ジャンプに連載されていた吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる この名前も読めませんが、女性です)さん原作のアニメです。ジャンプでの連載は終了し、先日最後のコミック第23巻が発売され、物語は完結しました。主人公は竈門炭治郎(かまど たんじろう)。家族を鬼に皆殺しにされ、唯一生き残ったものの、鬼に変貌した妹の禰豆子(ねずこ)を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、旅立ちます。現在公開中で、興行収入でこれまでの「千と千尋の神隠し」を抜いて、トップをマークしそうな映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、この物語の一部分を取り出したものです。
 この映画では、炭治郎よりも鬼殺隊(きさつたい 鬼を倒す剣士たち)の柱(はしら 鬼殺隊の中心となる人たち)である煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅうろう)が圧倒的に目立っています。「煉獄さんを300億円の男にしよう(映画の興行収入を伸ばして、トップにしようということ)」というフレーズが流行したのも、頷けます。私が一番感動したのは煉獄さんの母親である「煉獄瑠火(れんごく るか)」さんの言葉です。病気(?)のため、余命幾ばくもない母親が、杏寿郎に話をします。
 「なぜ自分が、人よりも強く生まれたのかわかりますか。弱き人を助けるためです。生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は、その力を世のため人のために使わねばなりません。天から賜りし力で人を傷つけること、私腹を肥やすことは許されません。弱き人を助けることは、強く生まれた者の責務です。責任を持って、果たさなければならない使命なのです」どこかの国の「政治家」に聞かせてやりたい言葉です。
 煉獄さんは自分が強いだけではなく、若い炭治郎たちに戦術や見本を示し、正しく評価をしていきます。このあたりも、中間管理職としてのおばさん、おじさんたちの見本とされているような気もします。
 私が煉獄さんと無理矢理にでもくっつけたいことは、P.Fドラッカーが書いた「マネジメント 基本と原則」です。この本では、企業や政府機関がどのように仕事をしていくかのヒントが述べられています。例えば次の5つの必要な能力です。目標を設定する能力、組織化する能力、コミュニケーション能力、評価測定能力、問題解決能力。煉獄さんは、まさにこれらの能力を備えていたと思い、取り上げることにしました。
 2020年もあと数日となりました。皆さん、良いお年をお迎え下さい。



 


09:16
2020/12/22

科学の探究 その17 木星と土星の大接近

| by 校長

科学の探究 その17 木星と土星の大接近

 12月21日、22日の夜に、太陽系の5番目の惑星である木星と、6番目の惑星である土星が、地球から見て、大接近します。木星と土星は、日の入り後の南西の空に見え始め、その後2時間ほどで西の地平線に沈んでしまいます。最接近は22日の午前3時頃のため、日本からは見えない時間帯なので、21日と22日の日の入り後が観測のチャンスです。新聞等には21日の夜に撮影された写真が掲載されていました。木星は大きく、土星はご存じの通り輪っかを持っているので、素晴らしい写真が撮れています。また、肉眼で見ると、二つの惑星が別々に見えるのか、非常に接近しているので一つの星に見えるのか、議論になっているようです。
 もちろん、木星と土星が近づいてくるのではなく、地球から見たときの方向が同じになり、近くに見えるだけのことですが、この現象は約20年周期で起こります。公転角度のずれの影響のため、これほどの大接近となるのは、1623年7月17日(日本では徳川家光が江戸幕府3代将軍になる1ヶ月ほど前)以来、397年ぶりということです。
 木星には多くの衛星(地球から見たお月さん)があることが知られています。現在ではその数は79個確認されていますが、大きくて有名なものは1610年にガリレオが発見した4個の「ガリレオ衛星」です。それぞれ、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという名前がつけられています。少し性能の良い天体望遠鏡を用いると、木星と4つのガリレオ衛星と、土星が一つの視野の中で見ることができます。これもまた画期的なことです。
 このような天文ショーは、毎年どこかで何かが起こっています。今年はコロナ禍のため、ショービジネスは災難の年でしたが、ショーがないですね。

 


09:30
2020/12/04

科学の探究 その16 飼いならす

| by 校長

科学の探究 その16 飼いならす

 日夜、科学は進歩しています。新型コロナウィルスのワクチンが実用化されようとしているのも、その一つです。今回はイギリスの人類学者であるアリス・ロバーツさんが書いた「飼いならす」という本の紹介です。副題は「世界を変えた10種の動植物」ということで、順に、イヌ、コムギ、ウシ、トウモロコシ、ジャガイモ、ニワトリ、イネ、ウマ、リンゴ、ヒトの10種の動植物について、飼いならされていった様子が述べられています。
 古来、人間(ホモ・サピエンス)は狩猟採集民として、実や種を摘んだり、野生動物を狩ったりすることで食物を得てきました。やがて人間は農耕・牧畜を始め(新石器革命)、人間と自然との関わりが大きく変わります。人間は他の野生種を飼いならすことで、人口増を支えることができ、文明や社会を発展させる事ができるようになりました。例えばイヌは、野生のオオカミが飼いならされたものと考えられています。昔であれば、その根拠になるものは化石や遺跡から見つかるものだけでした。現在では、オオカミの骨の化石が見つかれば、そこからDNAを取り出し、現代のイヌのDNAと比較することができます。その結果、どれぐらいの年代にオオカミからイヌへの進化が起こったのか、イヌの遺伝子にはどれくらいオオカミの遺伝子が残されているのかが、分かるようになりました。ウシやウマも同様です。 
 また世界中で栽培されているコムギ、トウモロコシ、ジャガイモ、イネ等も、DNAの研究からどの時期に、世界中のどの地域で栽培が始まったのかが、分かるようになってきました。人間の都合で、単一種の栽培を続けた結果、1845、46、48年にアイルランドでジャガイモ飢饉が起こりました。このときは「胴枯れ病」の原因の胞子が広がり、アイルランドのジャガイモにはこの新たな病原体への抵抗力がなく、同時にチフスとコレラの流行もあり、3年間で百万人が亡くなったと言われています。
 拡大する人間の活動は、地球規模で自然界・生態系に大きな影響、悪影響を及ぼすようになってしまいました。温室効果ガスによる地球温暖化も気になる所です。作者のアリス・ロバーツさんは「人間は多くの動植物を飼いならしてきたが、同時に人間もこれらの動植物に飼いならされてきたのではないか」と述べています。同じ地球という船に乗っているのだから、人間は科学の進歩を用いて、生態系を守っていく、生物多様性を確保していくことが求められています。それにしてもDNAを調べると色々な事が分かります。DeNAはラミちゃんの後、三浦大輔監督がリーゼントヘアで頑張ってくれるのでしょうか。


 


14:55
2020/11/24

現在に生きる その18 三島由紀夫

| by 校長

現在に生きる その18 三島由紀夫

 小説だけではなく、戯曲や評論、映画の制作も行った三島由紀夫です。ノーベル文学賞の候補にもなったようですが、やはり衝撃的だったのは、1970年11月25日陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での割腹自殺です。当時9歳だった私も、事件の報道があったことをよく覚えています。あれから50年が経ちます。三島由紀夫については、これまでにも莫大な量の研究書が出版されていますから、素人の私が何を書くのか、ということですが、今年の10月に出版された「三島由紀夫 悲劇への欲動」佐藤秀明著、岩波新書を参照しながら書いてみます。
 三島由紀夫は、45年の生涯を通じて、多くの出来事が話題になりました。
・「仮面の告白」で自分は同性愛者であるとカミングアウトした。
・小さい頃はひ弱だったが、30歳からボディビルを始めて、ムキムキになった。
・「楯の会」を作り、自衛隊や天皇陛下に親近感を持った。
 本名は「平岡公威(ひらおか きみたけ)」、1925年東京で生まれ、学習院から東京大学法学部に進み、旧大蔵省に入りますが、文筆活動に進みます。父親の平岡梓の地元はなんと、印南郡志方村、現在の加古川市志方町。1945年2月三島に召集令状が届き、志方村で入隊となりますが、入隊検査で「肺湿潤」と診断(誤診?)され「即日帰郷」となります。「お国のために」兵隊にはならないことになりました。割腹自殺するときには「天皇陛下万歳」と叫んだそうですから、私に言わせると一貫性がないようにも思います。
 三島由紀夫は時代の寵児であり、普通の人から見れば「なぜ自殺しなければならなかったのか」と思います。この本の著者の佐藤氏は、三島に対する視点を「前意味論的欲動」と名付けます。心身の根深いところから湧き出た欲動で、言語化以前の欲望や情念とします。そこから、三島自身が書いている「悲劇的なもの」「身を挺している」につながりが生まれ、これが数多くの作品の背景にあり、自殺につながったのではないか、と書いています。
 私自身はこの説明と解説ではよく分かりません。ただ三島は最後の小説である「豊饒の海」の第4巻「天人五衰」の末尾に「豊饒の海 完 昭和45年11月25日」と書きましたから、この日に自殺をすることは、本人の中では以前から決まっていたものと思われます。
「豊饒の海」の一つのテーマは「輪廻転生(りんねてんせい)」ですが、三島もペンネを食べながら、じんせいを考えていたのでしょうか。
 



 


08:52
2020/11/19

科学の探究 その15 ABC予想

| by 校長

科学の探究 その15 ABC予想

 何回読んでも、全く分かりません。私が分からないものを、皆さんに紹介しようというのですから、これを「無謀なこと」と言わずに、何と言うのでしょうか。
 望月新一さんが研究を続けています。1969年に東京で生まれ、お父さんの仕事の都合でアメリカに行き、16歳でプリンストン大学へ進学、23歳でPhD博士号もプリンストン大学で取りました。日本に戻り、京都大学数理解析研究所に入り、32歳(異常に早い)で教授になりました。専門は自分では「双曲的代数曲線の数論」と言われていますが、ここからもう既に意味不明です。そして、ABC予想です。1985年にジョゼフ・オステルレとデイヴィッド・マッサーにより提起された数論の予想で、次のように示されています。
 a+b=cを満たす、互いに素な自然数の組(a、b、c)に対し、積abcの互いに異なる素因数の積をdと表す。このとき、任意のε>0に対して、c>d1+ε を満たす組(a、b、c)は高々有限個しか存在しないであろうか?
    望月さんは2012年8月30日にABC予想を証明したという論文をインターネット上に公開しました。望月さんは証明に用いた理論を「宇宙際(うちゅうさい)タイヒミュラー理論」と呼んでいます。「タイヒミュラー」はドイツの数学者の名前です。この論文が正しいのか、雑誌に掲載すべき価値があるのかという判断(査読といいます)に7年以上かかりました。2020年11月17日になり、この論文が2021年前半に、国際専門誌である「PRIMS」に掲載されることが決定したとの報道がありました。論文は全部で約600ページもあるそうです。
    世界中でも理解できている人が何人いるのか、という世界ですから、私たち凡人には理解不可能です。ただ、私が想像できるのは、望月さんは、お金や名声や受賞のために研究を進めているのではないだろうということです。本当に純粋に自分が研究することが面白くて仕方ないのだと思います。これはイチロー選手が毎日野球をするのが面白くて仕方ない、藤井聡太さんが毎日将棋を指し続けても飽きない、というのと一緒だと思います。
 平安時代、藤原道長は「この世をば わが世とぞ思う 望月の かけたることも なしと思えば」と詠んだとのことですが、現在の望月さんも同じような心境でしょうか。

 


 


10:59
2020/11/13

現在に生きる その17 ドナルド・トランプ

| by 校長

現在に生きる その17 ドナルド・トランプ

 これまでの「現在に生きる」シリーズは、私が「素晴らしい」と思っている人物を取り上げてきました。今回は趣向を変えて、私が「とんでもない」と思う人を取り上げます。アメリカ大統領だったドナルド・トランプです。
 4年前のアメリカ大統領選挙で、びっくりしたことはたくさんありました。まさか、共和党の候補にトランプが選ばれるとは思っていなかったし、大統領選挙では民主党のヒラリー・クリントンが当選するものとばかり思っていたからです。大方の予想に反してトランプが大統領になり、私に言わせると「やりたい放題」の4年間でした。トランプについては、多くの暴露本が出版されていますが、トランプの姪であるメアリー・トランプが書いた「TOO MUCH and NEVER ENOUGH」日本語訳「世界で最も危険な男」を取り上げます。この本に書かれている内容が全て正しいとは思いません。メアリー・トランプは、ドナルドの兄フレディの娘であり、ドナルドにひどい目に遭わされているからです。しかし肉親であるメアリーが書いた中身を読むと、なぜトランプがあのような言動、行動をするようになってしまったのかが、ある程度理解できました。
 ドナルド・トランプの父親はフレッド・トランプといい、不動産事業を中心に莫大な財産を築きます。このフレッドの「racism」「人種差別主義」や「misogyny」「女性嫌悪」である姿勢が、そのままトランプに引き継がれます。フレッドには5人の子どもができ、順にマリアン(女)、フレディ(男)、エリザベス(女)、ドナルド(男)、ロバート(男)です。フレッドは当然男の子を自分の後継者にしようとしますが、長男のフレディは自分とは異なる性格のため、次男のドナルドに目をかけます。ドナルドのやりたい放題を放置し、自分の事業を継がせます。ドナルドが何度失敗しても、莫大な財産でそれを支えます。「タフであれ、無敵の男であれ」「敗北しても、それを敗北と認めなければ、敗北とはならない」「上司のミスは、部下に押しつけて、解任すれば良い」大統領期間中に見られた言動や行動は、まさにドナルドの成長過程、不動産事業におけるものと一致します。
これらのことから、今回2020年の選挙結果に対しても、自ら敗北宣言をすることは基本的にありえないことが分かります。また、積極的であったかどうかは別にして、ドナルドには多数の票が投じられたという現実もあります。ドナルドが共和党支持者を利用したのか、共和党支持者がドナルドを利用し続けたかったのか、今後が心配です。ドナルドはダックは可愛くて良いのですが、トランプは七並べをするくらいで十分です。

 


 


10:09
2020/11/09

物事の見方、考え方  その23 Black Lives Matter

| by 校長

物事の見方、考え方  その23 Black Lives Matter

 「Black Lives Matter」という言葉があります。日本語では「黒人の命は大切」や「黒人の命は軽くない」と訳されているようです。アメリカ大陸に黒人奴隷が到着したのは1502年、コロンブスの上陸からわずか10年後のことのようです。それ以来、主としてアメリカ南部の綿花栽培に従事するため、数多くの黒人奴隷が「輸入」されました。1776年のアメリカ独立宣言後も奴隷のまま留め置かれ、1865年の南北戦争終了後には一部黒人の権利が認められようとしますが、特に南部では「ジム・クロウ法」が合憲とされ、黒人に対する差別が合法化されます。そんな状況の中、黒人たちも抵抗運動を起こします。1960年代に入り「公民権運動」が盛んになり、1963年マーティン・ルーサー・キング牧師によるワシントン大行進や、有名な「I have a dream」「私には夢がある」という演説が行われました。多くの人たちが関わってきた人種差別の解消運動ですが、うまく進まないこともあったようです。
 アメリカでは長い歴史をもつ「黒人差別」「人種差別」ですが、今回の「Black Lives Matter」運動の出発点になったのは、2013年、アリシア・ガルザ、パトリック・カラーズ、オパール・トメティの3人の黒人女性です。彼女たちは2013年に、17歳の黒人少年を不審者と勝手に思い込んで射殺した市民が、裁判で無罪になったことを知り、フェイスブックに書き込みをしました。「How little black lives matter」「どれだけ黒人の命が大事にされていないことでしょう」このフレーズがツィッターで拡散したことが始まりとされています。この運動は、単に「黒人対白人」だけではなく、女性や性的マイノリティー、障がい者等、いわゆる差別を受けてきた人々全体に広がっています。そして決定打となったのが2020年5月25日にミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドが、白人警官に首を押さえつけられ、殺害された様子が映像として世界中に報道されたことです。このときのジョージ・フロイドの言葉「I can't breathe」「息ができない」もツィッターで拡散しました。
 この問題は歴史的にも古くから存在し、解決は難しく感じますが、私は人間が作り出したものを、人間が作り直せないはずがないと思っています。もちろん、日本に今なお存在する数多くの差別問題についても、私は解消に向かっていると信じています。さべつもキャベツもさっさと炒めて食べてしまいましょう。

 


 


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