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日誌

校長室の窓から
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2020/07/10new

科学の探究 その4

| by:校長

科学の探究 その4 量子力学

 私は常々、生徒の皆さんには「チャレンジすることが大切だ」と言っていますので、今回は「量子力学」の全体像を数式も用いずに、わずかな文字数で解説することにチャレンジしてみます。無理を承知の上で、三つのトピックスに絞って考えてみます。生徒の皆さんも、文系や理系にとらわれずに読んでみて下さい。
1 相対論とニュートン力学と量子論の関係
 身の回りで見かける程度の範囲であれば、物体の運動は高校の物理で習う「ニュートン力学」で解説できます。自由落下とか、鉛直投げ上げとかです。もっと大きな世界である、恒星や宇宙や光の運動については、アインシュタインが考えた「相対性理論」を用いて説明ができます。反対に原子や電子のような、小さな世界の運動状態を明らかにするのが「量子力学」です。大事なことは、この三つの考え方は、互いに矛盾するのではなく、滑らかにつながっていると考えられるということです。
2 ハイゼンベルクの「不確定性原理」
 原子や電子などの小さな粒子が運動しているときには、ある時間に、その粒子の位置と運動量を同時に決定することができないという原理です。その存在は「確率」であるとされます。これは私たちの日常生活から考えると、大変不思議なことです。例えば、8時に家を出て、加古川西高校まで5kmの道のりを、10km/hの速度で自転車を飛ばすと、何時に到着するでしょう。という問題が、自転車の運動なら「8時30分」となりますが、電子の運動なら「解なし」あるいは「8時30分には、電子全体のうちの○○%が到着しているだろう」という事になるわけです。
3 光は「波」でもあるし、「粒」でもある
 昔から「光とは何者か」という議論が行われてきました。光には「波動」としての性質があります。屈折とか、干渉という現象は、光が波の性質を持つ証拠です。しかし光には光電効果という、「粒子」の性質を持たなければ説明できない現象もあります。ということで、量子論では、光に限らず電子のような小さな粒子も、波の性質と粒の性質の両方を持つことが知られています。
 このように「量子力学」の世界では、日常生活とは違った考え方や概念が出てきます。興味のある人は、「量子(ようし)、勉強してみよう」と思ってもらいたいものです。



 


08:33
2020/07/08new

物事の見方、考え方  その11 

| by:校長

物事の見方、考え方  その11 ベーシックインカム

 最近はカタカナ語が多くて困ってしまいますが、「ベーシックインカム」という言葉があります。日本語では「基礎的な所得」ということでしょうか。年齢、性別、職業のあるなしに関わらず、どんな人にも、毎月一定のお金を一律に配布するというシステムです。
 私も初めて聞いたときは「そんなことができるんか」という感想が一番でした。また「そんなお金がどこにあんねん」「そんなことしたら、みんな働かんようになる」生徒の皆さんもそう思いませんか。しかし、少し勉強してみた現在の私は「これは政策として、ありやな」と思っています。
 今の日本で考えてみましょう。コロナの影響で、最初国は所得の低い人と、去年に比べて著しく所得が減少した人に対して、一律30万円を配ることを考えました。いろいろ揉めた結果、どんな人にも一律10万円を配ることに変更され、実際配布されつつあります。これこそベーシックインカムそのものです。また、生活保護という政策もベーシックインカムですし、高齢者に対する「年金」もこれに当たるかもしれません。ただ年金はそれまでに自分が掛けてきたもの、という認識があるので、少し違うかもしれませんが、出所は国の予算であることは同じです。ということで、日本でも決してベーシックインカムという言葉を使いませんが、政策として実施している実態があります。世界中を見ても、アメリカのアラスカ州、ドイツ、オランダ、ケニア等では試験運用を開始または進行しているそうです。
 では、財源はどうするのでしょうか。実は今でも年金福祉等には、たくさんのお金が使われています。現物支給に使用されているお金もあります。それらを全部まとめて、ベーシックインカムとして使用すると、かなりの金額を賄うことができるでしょう。もし実施するとするならば、私が一番問題だと思うのは、財源の問題ではなくて、人々の思いや気持ちの部分だと考えます。「仕事をしないのにお金がもらえるのか」「なぜあの人は、私が同じ金額をもらえるのか」こういった「不公平感」「嫉妬心」等を拭い去れるのかという問題です。しかし、これからの社会ではAIの進展によって、職業がなくなっていくという話もあるので、失業問題にも対処できるというメリットもあります。今すぐ実施することはできないと思いますが、一度考えてみるに値する政策だと考えています。インカムをcome inするのもありでしょうか。

 



 


09:27
2020/07/06

物事の見方、考え方  その10  

| by:校長

物事の見方、考え方  その10  民主主義

 昔の高等学校は教科の授業をして、部活動をやっていれば、ほとんど終了だったと思います。最近では、文部科学省や県の教育委員会から「○○教育」を実施せよ、という話がたくさんやってきます。○○の部分には、消費者、情報モラル、薬物乱用防止等、いろいろありますが、そのうちの一つに「主権者教育」というのがあります。
 民法の改正で、18歳から大人とすることになったため、高校生で18歳になった生徒は選挙権を持つようになりました。「主権者教育」というのは簡単に言うと、選挙に行きましょうということです。7月5日に東京都の知事選挙がありましたが、投票率は55%であったようです。100人のうち、45人は投票していません。18歳の人たちの投票率はどれくらいだったのでしょうか。多分55%よりは少なかったと思います。
 ところで日本に「民主主義」が根付いたのはいつごろからでしょうか。江戸時代は違いますね。明治時代も違うかもしれませんが、憲法ができ、議会ができ、制約がありましたが、選挙権ができたことは事実です。やはり、1945年からの戦後になると思います。ということは、たかだか75年ほどの歴史しかありません。政府は「丁寧な説明」や「ご理解が得られるように」活動をしているということのようですが、私にはこれらが民主主義を実践しているようには思えません。
 福田歓一(ふくだ かんいち)(1923-2007)という政治学者がいました。神戸の出身で、戦争にも行き、東京大学で丸山真男らとともに、南原繁から薫陶を受けました。彼は民主主義について、次のように書いています。「民主主義はまさにそれが民主主義であるがゆえに、そもそもそれが機能するためには、この社会をつくっている一人一人の人間の資質を厳しく問い、一人一人の人間に対して、公共のために大きな献身と負担とを要求する、そういう体制にほかなりません。ただ、この民主主義に根本的な一つの特徴、ほかに求めがたい長所があるとすれば、それのみが、人間が政治活動を営むうえに、人間の尊厳と両立するという一点であります。このことを忘れて民主主義を論ずることは、すべて無意味なことであると私は思います」
 私はこの一節を読み、是非生徒の皆さんに紹介したいと思い、この文章を書いています。歴史を振り返り、他の国の現状とも比較して、民主主義や選挙権の意味をもう一度考え直してみることが必要かもしれません。選挙に行く人が、隠居しているような人ばかりでは困ります。



 


13:12
2020/06/30

科学の探究 その3

| by:校長

科学の探究 その3 地球の年齢

 地球の年齢をご存じですか。どうやって測定したのでしょうか。生徒の皆さんは、もうこの時点で読むことを止めないで下さいね。実は、地球が誕生してからどれくらいの年月が経っているのかが分かったのは、そんなに古い話ではありません。
 キリスト教社会であったヨーロッパでは、長い間、地球や生物は神様がつくったと信じられてきた歴史があります。だから旧約聖書の創世記をもとに、地球の年齢を考えた人もいました。今から考えると、全く科学的ではありません。
18世紀の終わりにウィリアム・トムソン(のちのケルビン郷)が「地球は初めは溶けている液体だったが、冷えることで地表から固まっていった」と考え、熱力学をもとにして、地球の年齢を4000万年から2000万年と推定しました。絶対温度の単位である(K ケルビン)は、彼の名前に因んでつけられました。困ったのは、進化論を唱えていたダーウィンでした。4000万年は、複雑な生物が進化するためには短すぎる時間だったのです。ダーウィンが書いた有名な「種の起源」という書籍では、地球の年齢について、ケルビンの説を取り入れて、初版本から訂正したという事実もあります。
20世紀直前になって、ベクレルやキュリー夫妻により「放射能」が発見され、ここから放射性元素量の分析による地球の年齢測定法が発案されます。ウランが放射線を出して、最終的には鉛に変化する事を利用して、10~15億年という結果も得られましたが、これではウランから変化した鉛と、もとからあった鉛を区別することができません。1956年(こんなに最近の話!)クレア・パターソンが隕石の年齢を測定し、45億5000年という数字を提出しました。ここでの問題は、地球の年齢と隕石の年齢を同じとしてよいのかということです。他の方法で測定された結果も、45~46億年という数値になっていて、現在では地球の年齢は約46億年ということになっています。地球の年齢(ねんれい)を測定していただき、慣例(かんれい)に従い、御礼(おんれい)申し上げます。



 


09:04
2020/06/26

科学の探究 その2

| by:校長

科学の探究 その2 フェルミ問題

 エンリコ・フェルミ(1901-1954)という物理学者がいました。イタリアの生まれで、1938年にノーベル物理学賞を受賞しましたが、第二次世界大戦でムッソリーニを嫌ってアメリカで研究を続けました。多方面にわたり業績を残したので、彼の名前にちなんで、原子番号100番の元素はフェルミウム(Ferminm)と名付けられました。彼がシカゴ大学教授であったとき、学生に出した問題として、有名なものが「フェルミ問題」と呼ばれているものです。次のようなものでした。
 「シカゴにはピアノの調教師は何人いるか」
 「えっ、そんなんわからんわ」「100人から1000人くらい?」ではダメです。
 この問題の狙いは「物事を数量化して考える」「未知の対象には手持ちの知識を総動員で見当をつけろ」ということです。だから本当の答は誰も分かりません。どのように考えるか、ということです。では、やってみましょう。
 当時のシカゴの人口を約500万人とし(まずここからすでに仮定の話)、1世帯平均5人家族とすると約100万世帯となる。ピアノの保有率を大雑把に(大雑把で良いのです)1割としてピアノの数は10万台、1年に1回調律を頼むとして、調律の需要は10万回/1年 (1年につき10万回という意味) となる。次に1人の調律師が1年間に何回の調律ができるかの供給を概算する。家庭への出張だから1日に2回、1週5日で50週働いたとすれば、フルの供給は500回/1人・1年 (1人の調律師が1年あたり500回の調律が可能という意味) となる。したがって、需要と供給が釣り合っているとすれば、10万回を500回で割って、200人という数字になる。
 どうですか。本当に当時のシカゴには、ピアノの調教師が200人いたのかどうかは分かりませんが、何かもっともらしい感じがしませんか。前提となる数字には、誤差があってもかまいませんし、推定で考えてかまいません。これと同じような問題にはこんなものもあります。
「東京都内にあるマンホールの総数はいくらか」
「地球上に蟻は何匹いるか」
どうですか。生徒の皆さんも一度考えてみてください。このような「フェルミ問題」はコンサルティング会社や、外資系企業等の面接試験で用いられたり、大学等で科学的思考力の養成に用いられることもあるそうです。シカゴのピアノの調教師の数だから、4か5(しかご)人ではないのですよ。



 


08:05
2020/06/24

科学の探究 その1

| by:校長

科学の探究 その1 チバニアン

 さて、次のシリーズ「科学の探究」を始めます。多くの生徒の皆さんは「理科の話なんて、リカちゃん人形ではあるまいし、どうせ難しいし、私には関係ない」と思うかもしれませんが、まあ、ちょっとだけでも読んでみてください。
 今回は「チバニアン」です。ニュースにもなりましたから、聞いたことがあるでしょうか。2020年1月、国際地質科学連合が、千葉県市原市の「千葉セクション」をもとにして、地質学上の時代にチバニアンという名前をつけました。地質時代は地球の46億年の歴史を、100を超える地質学上の時代に区分しています。今回およそ77万年前から12万年前をチバニアンの時代としました。この時代に地球の南北地磁気極が最後に逆転したようです。「南北地磁気極の逆転」とは何でしょうか。私も知りませんでした。方位磁石を見ると、北極方向が北、南極方向が南を指すのが常識だと思いますが、地球の歴史を振り返ると、これが何回か逆転したことがあったようです。なぜこのような現象が起こったのかは分かっていません。この現象が起こった証拠を示す岩石が見つけられた、世界の3カ所のうちから、千葉が選ばれ、ラテン語由来の接尾辞-ian(~の時代、~の人)をつけてChibanian(千葉の時代)という名前になりました。Canada からCanadian(カナダの カナダ人) music からmusician(ミュージシャン 音楽家)となるようなものです。英語では、アクセントの位置が変わるのでご注意を。地質学上の時代の名称に、日本の名前がつけられるのは初めてです。
 この「南北地磁気極の逆転」は別名「松山―ブリュンヌ逆転」ともいい、1929年日本の松山基載(まつやま もとのり)が見つけたものです。京都大学教授だった松山さんがこの研究を行った場所が、兵庫県北部豊岡市にある「玄武洞」です。生徒の皆さんは「玄武洞」に行ったことがありますか。是非城崎温泉と一緒に、一度行ってみることをお勧めします。玄武洞という名前は1807年幕府の儒学者である柴野栗山(しばの りつざん)によって、中国の伝説上の動物「玄武」の姿に見えることから命名されました。そして1884年小藤文次郎(ことう ぶんじろう)によって玄武洞にちなみ、この地域の岩石に「玄武岩」という名前がつけられました。理科の教科書に岩石の種類として「玄武岩」という記載があったと思いますが、その起源はここ兵庫県にありました。
「チバニアン」「南北地磁気極の逆転」「玄武洞」「玄武岩」いろいろな時代のいろいろな出来事、名称、物体が関係していることが分かると、私は面白いなと感じます。生徒の皆さんも先生方も、加古西ian(kakonishian) 加古西の人 として頑張っていきましょう。


 


09:47
2020/06/11

通常の西高に戻ります

| by:校長

通常の西高に戻ります

 6月から分散登校が始まり、午前と午後に分けて、1日3時間ずつの授業を実施してきました。15日からは、全員朝から登校して、通常の6時間(7時間)の授業が始まります。クラブ活動も、公式大会も順次通常運転に戻っていきます。生徒の皆さん、保護者の皆様、先生方、これからが本番です。
 今年度の文化祭は中止になりました。1年生の皆さん対象の教育合宿もありません。オーストラリア語学研修もなくなりました。夏休みも10日程度短縮されます。9月に予定されている体育大会は、実施の方向で、内容を検討中です。例年にないことだらけですが、これから生徒の皆さんと一緒に考えていきましょう。
 今回の新型コロナウィルス感染症のマイナス面は数限りなくありますから、プラス面を考えてみます。
① マスク着用、手洗いとうがいの励行、消毒の徹底、密を避ける等の習慣が身についた
 これらの習慣は、これまでにも冬場にインフルエンザが流行したときに呼びかけられてきたことですが、今回は非常に徹底されたと思います。そのためかどうか、例年であればもっと流行していたであろう、季節性インフルエンザがあまり流行りませんでした。これは良かったと思います。今後も、この良い習慣は続けていきましょう。
② 教育現場にICTの活用が進んだ
 日本の公立学校では、これまでICTの活用はあまり進んでいませんでした。コンピューター等の機材、ネット環境そして活用できる先生方の養成が今一つでした。今回は国や県の予算がつき、これらがある程度進んできました。西高でも、YouTubeでの授業配信やZoomを使ってのHRや個人面談を実施してきました。私もZoomを使って、校長室にいながら科学部会の会議に参加することができました。今後もこの流れは続いていくと思います。生徒の皆さんも、先生方も引き続き研修を深めていきましょう。
③ 国の予算の使い方に関心を持つようになった
 これまでは国の予算がどのように使われているかについて、ほとんど関心がないか、また報道はされてこなかったと思います。今回は「アベノマスク」にいくらかかったとか、「持続化給付金事業」がどんどん再委託されて、中抜きされていたこと等が報道され、これまでの使い方に問題があったことが明らかになってきました。これはコロナのおかげと言えます。今後も関心を持ち続けていきましょう。



 


12:50
2020/05/29

物事の見方、考え方  その9

| by:校長

物事の見方、考え方  その9 リニア中央新幹線

 思えば、たくさん書いてきました。4月が9回、5月が16回になります。「学問のすすめ」「現在に生きる」「物事の見方、考え方」と名前を変えて、続けてきました。5月も終わり、6月から授業が始まります。生徒の皆さんに、休業中に少しでも自分でいろいろな物事を考えてもらいたい、そのヒントになればいいなと思ってきました。これからは、西高での生活が忙しくなってくると思いますので、私の文章も少し頻度を落としていこうと思います。なくなるわけではないので、ご安心(?)ください。
 リニア中央新幹線の建設が続いています。とりあえず、東京(品川)名古屋間を40分で結ぶ、超伝導磁気浮上式リニアモーターカーです。何か難しそうですが、電磁石のごっついやつで、車体を浮かせて走らせようという仕組みです。普通の電磁石だと、電気代がすごいことになるので、液体ヘリウムで―269℃に冷やして超伝導現象を生じさせると、一度流した電流が抵抗なく流れ続けて、電気代はぐっと安くなります。夢のような話ですが、当然課題はたくさんあります。
 一つ目は、線路(鉄でできた普通の線路ではないが)をほとんどまっすぐにしなければなりません。普通の新幹線の線路は在来線ほどではないですが、カーブや坂はあります。リニアはその許容範囲が狭いので、カーブも坂もないのが望ましいのです。だから名古屋までのルートでは、ほとんど地下を走り、山梨県を通り、アルプスの地下にものすごいトンネルを掘っています。当然難工事になっています。大丈夫でしょうか。
 二つ目は、車体を浮かせるほどの超強力磁石が、人体やいろいろなものに影響しないか、ということです。当然研究は進んでいるのですが、長い期間になるとどういう影響があるのかは、誰も分かっていません。
 最後に、最大の問題点は、従来の新幹線や航空機、長距離バス等があるのに、更にリニアが必要なのかということです。今回の新型コロナウィルス騒ぎにより、人の移動に制限がかかりました。在宅勤務・テレワークが進んだ企業もあります。「満員電車に揺られなくても、仕事はできる」と実感した人々、事業所は数多くあります。ものすごい予算を使って、リニアの建設を進めていくことが、素晴らしいとは言えなくなってきたと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックの実施についてでも触れましたが、もう既に動き出したものだから、後戻りできないので、やってしまうというパターンは、考え直すべきだと思います。リニアは、シニアやマニアのためにあるものではありません。

 


 


08:35
2020/05/28

現在に生きる その9

| by:校長

現在に生きる その9 ピーター・ドラッカー

 ピーター・ドラッカー(1909-2005)という人がいました。「マネジメント」という有名な著作があります。2009年に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」通称「もしドラ」という小説、アニメ、映画が流行したので、それで聞いたことがある人がいるかもしれません。
 「マネジメント」は主として企業がどのようにイノベーションやマーケティングを行って、利益を上げ、社会に認められていくかについて書かれた本です。企業や会社の経営者の皆さん達がよく読んでいる本です。ですから「高校野球」とは直接関係がないはずですが、組織をまとめて強くしていくやり方としては共通するところが多くあります。またドラッカーの著作には、名言・格言が数多く含まれているので、この機会にたくさん紹介します。
 「選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたらよいかではなく、自分を使って何をしたいかである」
「最も重要なことから始めなさい」
「寝床につくときに、翌朝起きることを楽しみにしている人間は幸福である」
「我々が行動可能なのは現在であり、また未来のみである」
「21世紀に重要視される唯一のスキルは、新しいものを学ぶスキルである。それ以外はすべて時間とともに廃れていく」
「教養ある人間は、勉強し続けなければならないということを自覚している」
「コミュニケーションで一番大切なことは、相手が口にしていない言葉を、聞き分ける力である」
「成功する人間に必要な生まれつきの能力などありはしない。ただ、あなたが成し遂げたいことに、必要な能力だけを身に付ければいいのだ」
「重要なことは、明日何をするかではなく、今日、何をしたかである」
「人間は、自らが望む未来の大きさに合わせて、成長する」
「すべての偉大な成功は、地味で面倒なことの積み重ねの上に成り立っている」
「優れた者ほど、間違いは多い。それだけ新しいことを試みるからである」
「基本と原則に則っていないものは、必ず破綻する」
「数千のアイデアを育てて、やっと一つの成果を得ることができる」
 どうですか。たくさんある彼の言葉から、私の感覚で選んでみました。企業の経営だけではない、多くのことに生かせる名言・格言ではないでしょうか。ドラッカーがお酒を飲むのが好きだったかどうかは分かりませんが、「もしドラッカーが酒飲みだったら」「If Drucker was a drunker」という書籍ができていたでしょうか。いや、決してそんなことはない。



 


11:51
2020/05/27

物事の見方、考え方  その8

| by:校長

物事の見方、考え方  その8 花は盛りに

 「花は盛りに、月はくまなきをのみみるものかは」
「桜の花は満開だけを、月は曇ったところが何一つもなく、はっきりと見えるときだけを見るものなのだろうか、いや、決してそうではない」兼好法師による「徒然草」137段の冒頭です。有名な書き出しですので、生徒の皆さんもよく知っていると思います。
 花見は桜の花を見に行くわけですから、まだ咲いていなかったり、散ってしまった後では花見の意味がありません。お月さんを見るのも曇り空で見ても仕方ありません。これが普通の考え方です。高校生だった私は「兼好法師という人は、なんて天邪鬼(何と読むでしょう)な人だろう」と思ったものです。なぜ彼は語尾を「反語」にしたのでしょうか。それは、芸術や人生の趣といったものは、全て完璧な状態ばかりではなく、むしろ欠陥があったり、未熟なままの方が多いもので、そのこと自身にも価値があるのだ、という感じですか。おじさんになった今の私たちにとっては、心にしみる文章ですが、高校生の皆さんにとってはどうでしょうか。
 今回の新型コロナウィルスにより、特に高校3年生の皆さんは大変な被害を被っています。勉強も部活動も十分とは言えません。全国総体は中止になりました。夏の甲子園もなくなってしまいました。総合文化祭も通常の形式ではありません。就職や進学についても不安が一杯です。「これまで頑張ってきたのだから、最後の大会で練習の成果を思い切り発揮したい」と思うのが当然です。しかし、どうやらその願いをかなえることは難しそうです。では、これまでの苦労は「水の泡」なのでしょうか。「いや、決してそうではない」およそ700年前に、兼好法師がこう言ってくれています。気持ちを切り替えて、次のステージでの活動を目指していく励みにしてもらいたいと思っています。兼好法師も健康が一番大切だと、これは言っていませんかね。

 


 


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